膀胱がんや前立腺がんのフォローアップに
身近なクリニックを活用
要町駅前クリニック
(豊島区/要町駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
泌尿器がんは、手術をしたら終わりではなく、再発の早期発見のために定期的な診察・検診でフォローアップすることが大切だ。そうしたフォローアップは手術を受けた大学や総合病院などで受けるのが一般的と考えている人も多いかもしれないが、実は身近な泌尿器科クリニックを活用することもできる。総合病院の受診には時間も体力も要するためつい足が遠のいてしまうという人も、クリニックであれば負担を軽減できる可能性も。今回は大学病院での診療経験を生かして専門性の高い泌尿器科診療を行い、がん患者のケアにも注力している「要町駅前クリニック」の堀祐太郎院長に、がんのフォローアップの重要性や泌尿器科クリニックの活用方法などを聞いた。
(取材日2021年7月3日)
目次
再発リスクのある泌尿器がんは定期検査・診察が必要。術後のケアは泌尿器科クリニックを活用して負担を軽減
- Qまず、泌尿器科はどんな疾患を診る科なのか教えてください。
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A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる堀院長
泌尿器科は、後腹膜臓器といい腹膜の後ろにある臓器を診る、外科分野です。具体的には副腎、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、精巣、子宮などです。主に扱う疾患は急性前立腺炎・慢性前立腺炎、前立腺肥大症などの前立腺の病気、腎臓に細菌感染症が生じる腎盂腎炎(じんうじんえん)などです。他にも当院では排尿障害、男性の更年期障害、性感染症や、頻尿などの症状が現れる過活動膀胱、尿失禁なども診療しています。私は小児泌尿器科診療にも長年携わっているので、その経験を生かして小児のおねしょ・夜尿症、包茎、停留精巣、先天性疾患の相談にも応じます。副腎、腎臓、前立腺、膀胱などの臓器で生じたがんの診療に対応するのも泌尿器科です。
- Q泌尿器のがんで代表的なものの特徴を教えてください。
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A
▲気になることは気軽に相談しよう
2018年の国立がん研究センターの統計では、男性のがん罹患で前立腺がんは1位、全体で5位。2019年には前立腺がんで12544人、膀胱がんで8911人、腎・尿路上皮がんで9375人の方が亡くなっており、前立腺がん、膀胱がんは近年増加傾向です。前立腺がんは中高年の男性に見つかりやすいですが、初期段階の自覚症状はほぼありません。進行するとトイレが近くなったり尿が出にくくなったりしますが、前立腺炎や前立腺肥大症と症状が近いため慎重な診断が必要です。膀胱がんは血尿を自覚して受診することが多く早期の治療も可能ですが、再発も一定数あるため注意深い経過観察が必要です。喫煙が大きな発症要因と考えられています。
- Q泌尿器がんは、どのように治療するのでしょうか。
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A
▲ライフスタイルに合った治療を
がんの種類に応じて、さまざまな治療方法があります。一般に、泌尿器科のがんはまず手術で摘除します。特に、前立腺がんは高齢で見つかることから、内分泌療法と放射線を組み合わせ、手術と同等の治療を行うことがあります。膀胱がんなどは周囲への転移、再発の場合は化学療法を行いますが、近年免疫チェックポイント阻害薬(I-O製剤)と呼ばれる薬物療法も行います。腎臓がんは化学療法の効果が出にくいため、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬で治療します。治療後は、再発予防のため定期的な診察と検査で経過観察することが大切です。腎臓がんは手術から10年後以降の再発もあるので、年に1回程度の検査が理想です。
- Qがんのフォローアップは、大学病院で受けるべきでしょうか?
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A
▲治療後の定期的なフォローもクリニックで可能
必ずしも手術や治療を受けた総合病院に行かなくても、クリニックをうまく活用してほしいと思っています。「総合病院は時間がかかる」「仕事を休まなければいけない」といった理由で、手術後に病院から足が遠のいてしまう人もいるかもしれません。しかし、がんは再発のリスクがあるので定期的な診察と検査が必要です。当院では、そういったがん患者さんのフォローアップに注力しています。CTやMRI検査は連携病院に迅速にお願いできますし、私が大学病院でがん診療に携わってきた経験を生かし、しっかり患者さんをサポートします。
- Q末期の患者さんに、さまざまな選択肢を提案しているそうですね。
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A
▲さまざまな患者の背景に寄り添いながら診断を行う
ご自宅で最期を迎えるか、病院で最期を迎えるか、人生の最期をどこでどのように過ごすか、さまざまな選択肢がありますよね。当院では、患者さんと一緒に相談したり、希望に応じて専門の医療機関を紹介しています。高齢の患者さんの中には、積極的な治療を希望しない方もいらっしゃいます。その場合は、本人の意思を尊重しながら、がんを放置することのリスクもしっかりお伝えします。デリケートな問題ではありますが、患者さんの目線に立ち、そういった話ができるクリニックでありたいと思っています。治療方針や最期の過ごし方については家族の意思も重要ですので、家族にも理解・納得していただけるように私から話すこともあります。