全国のドクター9,113人の想いを取材
クリニック・病院 159,385件の情報を掲載(2023年12月07日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 全身のむくみの原因と考えられる病気一覧
  4. 急性腎障害(急性腎不全)
  1. TOP
  2. その他の病気一覧
  3. 急性腎障害(急性腎不全)
独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院 木村 健二郎 院長

こちらの記事の監修医師
独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院
木村 健二郎 院長

きゅうせいじんしょうがい(きゅうせいじんふぜん)急性腎障害(急性腎不全)

概要

何らかの理由で、腎臓の機能(血液をろ過して老廃物を取り除く働き)が急激に低下し、体の水分のバランスや、血液中の成分のバランスが保てなくなってしまう状態。急性腎障害の機序は、尿が作られて排出されるまでの経路によって以下の3つに分けられる。1つ目は、腎臓に流れてくる血液が減る「腎前性腎不全」。2つ目は、腎臓そのものに異常が起こる「腎性腎不全」。そして3つ目は、腎臓で作られた尿が流れる道(尿路:腎盂、尿管、膀胱、尿道)が詰まって腎臓がダメージを受ける「腎後性腎不全」である。重篤な合併症として、心不全や高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高くなること)などがある。

原因

急性腎障害の原因はさまざまで、腎前性、腎性、腎後性の3種類の機序でそれぞれ異なる。「腎前性腎不全」の場合は、腎臓に流れる血液量が減少することが主な原因。具体的には、外傷による大量出血、消化管出血、脱水、頻発する嘔吐・下痢などによる体液量の減少や、心不全による腎臓への血液量の低下、重篤な細菌感染症による腎臓への血液量の低下、過量な降圧薬による腎血流量の低下などが挙げられる。「腎性腎不全」は腎臓そのものの障害により発症する。例えば、糸球体に障害が起きる糸球体腎炎、間質や尿細管に炎症が起きる間質性腎炎や腎盂腎炎などがこれにあたる。また、腎臓内の小血管に炎症が起こる血管炎や小血管が詰まる血栓症・塞栓症も急性腎障害の原因となる。腎臓へ流れ込む腎動脈の流れが何らかの原因(粥腫による塞栓、大動脈解離など)で急激に途絶した場合も急性腎障害となる。「腎後性腎不全」は尿の排出経路が閉塞することで発症し、著しい前立腺肥大、前立腺がん、左右両側の尿路結石、子宮頸がんなどによる尿管の圧迫などが原因として挙げられる。

症状

足と足首、顔、手のむくみに加え、尿量が1日当たり約500ml以下まで減少したり(ほとんどの健康な成人の尿量は1日当たり約750ml)、完全に尿が出なくなったりする場合がある。急性腎障害が続いて体内に老廃物が蓄積してくると、疲労を感じるようになり、集中力の低下、食欲不振、吐き気、全身の痒み、倦怠感などが起きてくる。さらに、心拍数の増加やめまいが生じることも。ただし、症状は人により大きく異なる。血液に関しては、血中尿素窒素、血清クレアチニン、カリウムの値が上昇する。早急に原因を突き止め、治療を開始しなければ重篤な状態に陥る危険性もあるため、速やかに検査を行い治療を開始する必要がある。

検査・診断

診断を確定するには血液検査を行い、腎機能や、腎機能の低下によって起こる電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)の異常、貧血や脱水の有無、炎症反応の有無などを調べる。また、尿路感染や尿タンパクの有無、腎機能が低下した原因を調べるための尿検査を実施。さらには腹部超音波(エコー)検査や腹部CT、MRI検査を行い、水腎症(尿管が何らかの原因で詰まって尿がうまく流れなくなり、尿管や腎盂に尿がたまり広がった状態)の有無や腎臓の大きさ・形を確認することも。腎動脈の閉塞が疑われる場合は血管造影検査を、腎性腎不全が疑われる場合には腎生検を行う場合もある。

治療

腎前性腎不全の場合、血液が体中を十分に回るよう点滴や輸血を行う。また原因となっている病気の治療を速やかに開始し、腎臓の負担を軽減させ、合併症を予防するために食事療法(低タンパク質・減塩・低カリウムの食事を心がける)と薬物療法(降圧薬や利尿薬の服用など)を行う。なお薬剤性の腎性腎不全が疑われる場合には、すぐに投薬を中止する。腎後性腎不全の場合は、尿路をふさいでいるものを取り去り、速やかに尿が流れるようになれば回復するが、尿路をふさいでいる原因によってその方法が変わるため、まずは原因を突き止める。腎機能障害が重度の場合、老廃物と過剰な水分を体内から取り除く必要があるため、通常は血液透析を行う。急性腎障害は適切な治療によって元の腎機能への回復が期待できることが多いが、集中治療室などで起こる急性腎障害は一般的に生命予後が悪い。

予防/治療後の注意

特に高齢者の場合、夏場に脱水症状を起こしたり、過度に血圧が下がったりすることがあり、これが急性腎障害の原因になり得る。脱水症状を防ぐためには、こまめに水分と食塩を補給することが大切となる。また、薬剤のアレルギー反応や副作用により発症することも少なくないため、薬剤は自己判断でむやみに飲用せず必ず医師に確認すること。降圧薬を内服している人は毎日血圧測定を行い、普段より極端に低くなっている場合、あるいは最高血圧が100以下の場合は、降圧薬の服用を一旦中断して主治医に相談することが重要。

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院 木村 健二郎 院長

こちらの記事の監修医師

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院

木村 健二郎 院長

1974年東京大学卒業後、同大学医学部第二内科入局。1981年よりデンマークコペンハーゲン大学医学部病理学研究所に2年間留学。帰国後は東京大学第二内科講師、東京大学医学部附属病院治験管理センター副センター長(兼任)、聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科学教授、同大学病院副院長(兼任)などを経験。2014年9月より現職。2019年5月より日本病院会常任理事