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こちらの記事の監修医師
独立行政法人地域医療機能推進機構 JCHO 千葉病院
院長 室谷 典義 先生

じんうじんえん 腎盂腎炎

概要

腎臓は、血液中の老廃物や有害物質をろ過して尿を作り、排泄する役割を担っています。腎臓の中で尿を溜めておく部分を腎盂(じんう)といいますが、この腎盂やその周囲の組織が細菌に感染して起きるのが腎盂腎炎です。ほとんどの場合は尿の出口から侵入した細菌が、尿道、膀胱、尿管とさかのぼって腎盂にまで達して炎症を起こします。また、腎盂腎炎は女性に多い病気です。女性は尿道が短く、大腸菌などが存在する肛門と距離が近いといったことが理由に挙げられます。多くの場合は薬による治療で治癒しますが、細菌が血流に乗って全身に広がってしまうと、命に関わるほど重症化する場合もあります。

原因

腎盂腎炎の感染経路は3つあります。ほとんどの場合は、細菌が尿道から侵入し、膀胱、尿管、腎盂と順にさかのぼって感染する上行性感染ですが、まれに、他の感染部位から細菌が血流に乗って腎盂に達した血行性感染、リンパ管に乗って腎盂に達したリンパ行性感染もあります。原因菌は大腸菌が最も多く、緑膿菌、腸球菌、ブドウ球菌なども原因となります。また、腎盂腎炎には急激に発症して単発で終わる急性腎盂腎炎と、発症を何度も繰り返す慢性腎盂腎炎がありますが、慢性腎盂腎炎は泌尿器に別の病気があって感染症を起こしやすくなっている可能性が高いといえます。特に、尿路結石があったり、尿が出にくい病気で尿路にカテーテルを入れていたりすると、細菌が繁殖する温床になりやすいので注意が必要です。

症状

尿道から感染した急性腎盂腎炎では、膀胱炎でも出る排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿の濁りなどの症状に加え、発熱や全身のだるさ、腎盂腎炎の特徴である背中や腰の痛みなどの症状が出てきます。吐き気や嘔吐などの消化器症状が出ることもあります。膀胱炎など尿路全体の炎症を伴うことが多いのですが、腎臓にまで細菌が達した腎盂腎炎は膀胱炎や尿道炎などより重症で、悪寒や震えがくるほどの高熱が特徴です。さらに、炎症が全身に広がって敗血症という状態になると、急激な血圧低下や多臓器不全を起こし、生命が脅かされます。一方、慢性腎盂腎炎は比較的症状が軽く、微熱や食欲不振などが主な症状で、まったく自覚症状のない場合もあります。しかし、ときには強い症状が出ることもありますし、何度も繰り返すうちに腎機能が低下することもあります。

検査・診断

まず、尿検査を行い、炎症が起きると増加する白血球の数や、どのような細菌があるかを調べます。白血球数が一定以上で、高熱、背中や腰の痛みといった症状があれば、急性腎盂腎炎と診断されます。高熱、背中や腰の痛みがなくても、過去に急性腎盂腎炎や膀胱炎を起こしたことがあれば、慢性腎盂腎炎が疑われます。続いて、尿の細菌培養検査を行い、原因となる菌を特定し、どの抗菌薬が効くかを調べる感受性検査を行います。炎症の状態を調べる血液検査を併用することもあります。また、重症化したときは血液培養検査などで血液中の細菌も調べます。さらに排尿しにくい症状があるとき、腎臓の機能低下が疑われるようなときには、超音波検査、腹部造影CT検査など、患者の状態よってさまざまな検査を行います。

治療

抗菌薬を使用して、原因となる細菌を排除していく治療が基本です。軽症の場合は、内服の抗菌薬を使用しますが、中等度、重症になると注射薬、点滴を用い、場合によっては入院が必要となります。基本的な手順は、腎盂腎炎の診断がついたら、想定される幅広い原因菌に効くような薬を使います。尿細菌培養検査、感受性検査の結果を見て、必要であれば、原因菌に対して効果のある別の抗菌薬に変更します。また、別の泌尿器の病気などがあれば、その治療も合わせて実施します。多くの場合は、1〜2週間の治療で回復します。注射薬で治療している場合は、症状が軽快したら内服薬に戻します。内服の抗菌薬による治療は、一定の期間に定められた量の薬を服用しなければ十分な効果が得られません。また、症状が治まっても、まだ体内に菌が残っている状態で服用をやめてしまうと、そのまま菌が体に残ったり、再び増えてしまったりすることもあります。医師から処方された薬は、指示に従って必ず飲み切るようにしましょう。

予防/治療後の注意

できるだけ、腎盂腎炎になる前の膀胱炎の段階で気づいて医療機関を受診することが大切です。膀胱炎は自覚症状が乏しいこともありますが、排尿時の痛み、頻尿、尿の濁りなどに気づいたら早めに受診しましょう。尿路の感染症に共有する生活上の注意は、入浴やシャワー、排便時の拭き取りなどで陰部を清潔に保つことです。また、尿道に入り込んだ細菌を尿で流してしまうことも大切です。水分を多めに取って、トイレを我慢せず、膀胱に尿をためないようにすれば、細菌が繁殖しにくくなります。

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こちらの記事の監修医師

独立行政法人地域医療機能推進機構 JCHO 千葉病院

院長 室谷 典義 先生

東京大学薬学部製薬科学科卒業後、千葉大学医学部進学過程入学。卒業後、千葉大学医学部第二外科に入局。消化器外科において手術などを担当する。1991年に当時の千葉社会保険病院(現・JCHO千葉病院)に赴任後は、透析・外科にて手術と管理を担当している。日本透析医学会透析専門医、千葉県透析研究会会長も務める。