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こちらの記事の監修医師
東京医科大学八王子医療センター
泌尿器科科長/講師 宍戸 俊英 先生

ぜんりつせんがん前立腺がん

概要

男性だけにある前立腺という生殖器において、細胞ががん化し、無秩序に増殖を繰り返してしまうこと。日本においては高齢化社会を背景に、ライフスタイルや食事の変化、検査技術の向上などが重なり、年々前立腺がんの患者が増加中。中高年の男性にかかりやすい病気で、特に65歳以上での発症が増えている。がんが進行するとリンパ節や脊椎、骨盤、大腿骨などの骨に転移するが、ほかの悪性腫瘍と比較した場合、進行がゆっくりであることが多く、死後の解剖で前立腺がんが見つかるケースもある。そのため、早期に発見して適切に治療を行えば、多くの場合通常の暮らしを長く続けることができる。

原因

決定的な原因は明らかになっていないが、遺伝や食生活、男性ホルモン、加齢などが関連すると考えられている。特に家族に前立腺がんの患者がいる人は、注意が必要。父親や兄弟が前立腺がんだとリスクが2倍、2人以上いる場合は5~11倍に跳ね上がることがわかっている。また、高齢者の発症率が高いことから、加齢も強く関わっているとされる。そのほか、もともと前立腺がんは欧米人が多くかかる病気であったため、食事の欧米化も懸念材料に。近年、日本人も赤身肉や乳製品などを多く摂取するようになったことも、前立腺がんの患者が増えてきた一因と疑われている。

症状

初期の段階では、自覚症状はほとんどない。がんが進行すると、「トイレが近い」、「尿が出にくい」、「排尿時に痛みを感じる」、「排尿後でもスッキリとしない」、「尿や精液に血が混ざっている」などの症状が現れてくる。しかし、これらの症状は前立腺肥大症や前立腺炎など、ほかの病気でも見られるため鑑別が必要。中には、前立腺がんと前立腺肥大症が合併して発生し、前立腺肥大症の検査中に早期のがんが見つかるケースもある。また、がんが進行すると、リンパ節や骨などに転移する可能性も。特に骨への転移が多いため、骨の痛みを感じやすくなるのが特徴。腰痛や下半身のまひ、骨折などをきっかけに整形外科を受診したことが、がんの発見につながることもある。

検査・診断

問診後、まずは血液検査であるPSA(前立腺特異抗原)検査を実施。PSAとは、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパクのこと。がんの場合、血液中でPSAの値が高くなるため、精度の高い診断ができる。しかし、前立腺肥大症や前立腺炎など、ほかの病気でもPSAの値が高くなることがあるため、鑑別が必要。そのため、直腸診や直腸からプローブとよばれる機械を挿入して前立腺の状態を調べる経直腸的前立腺超音波(エコー)検査などを行い、がんの可能性を探っていく。これらの検査でがんが疑われた場合、前立腺の組織の一部を針で採取して病理検査を行う。前立腺がんの診断がついた場合、さらに、エックス線やCT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなどの画像診断を行い、がんの進行度や転移の有無などを確認する。

治療

がんの発症年齢や進行度、全身の状態、合併症の有無などをチェックした上で、治療方針を決める。主な治療法は3つ。1つめは前立腺と精嚢、骨盤内のリンパ節を取り除く「手術療法(前立腺全摘出術)」で、近年では特に、出血や勃起障害、尿失禁の合併症が少ない「ロボット補助下腹腔鏡手術」が普及しつつある。2つ目は体への負担が少なく、体の内外のいずれかから放射線をがんに当てる「放射線療法」がある。3つ目は前立腺がんを増殖させる働きを持つアンドロゲンという男性ホルモンの分泌を抑える「ホルモン療法」。これら3つの治療の中から最適な治療法を選んでいくことになる。なお、がんの広がりや悪性度に応じて、これらの治療法を併用することもある。一般に前立腺がんは比較的進行が遅いことから、ごく初期のがんで悪性度が低い場合経過観察になることも。その場合、定期的に血液検査を行い、PSAの値が高くなっていないかを確認する「PSA監視療法」に取り組んでいく。また、超高齢者の場合、すぐに治療を開始せず、転移出現などの明らかな病勢の進行を待ってホルモン療法を開始する「待機療法」もある。

予防/治療後の注意

家族に前立腺がんの患者がいる人は、自らも発症する可能性が高まるため要注意。定期的にPSA検査を受けるなど、気を付けていく必要がある。また、食生活の欧米化と前立腺がんの関連性も疑われているため、バランスのよい食事を取るように心がけていくこと。前立腺がんを発症してしまった場合、進行が遅いとはいえ、経過観察を怠らないことが大切。定期的にPSA検査を受け、数値の変動を確認していくこと。さらに、前立腺全摘手術を受けた人は、後遺症として尿漏れと勃起不全に悩まされるケースもある。

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こちらの記事の監修医師

東京医科大学八王子医療センター

泌尿器科科長/講師 宍戸 俊英 先生

1994年東京医科大学医学部卒業。同大学病院、癌研究会附属病院(現・がん研究会有明病院)勤務、杏林大学医学部付属病院泌尿器科講師などを経て2014年より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。