
こちらの記事の監修医師
同愛記念病院
アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生
ぜんそく喘息
最終更新日:2022/02/25
概要
ハウスダスト、ペットの毛、ダニといったアレルギー物質などがきっかけとなって、空気の通り道である気道に炎症が起こる疾患。炎症を起こしている気道はとても敏感で、健康な人にとっては何でもないホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなり、発作を繰り返す。治療は、発作を起こさないための気道炎症の治療が中心となる。日本では喘息の患者は増加傾向で、家屋構造の変化によるアレルゲンの増加、排気ガスや工場排煙などによる大気汚染、食品や住宅建材などに含まれる化学物質、長時間労働による過労やストレスが増えたこと、清潔過ぎる環境などが喘息を発症させる要因になっていると考えられる。
原因
喘息の人は、空気の通り道である気道が炎症により敏感になっているため、わずかな刺激でも発作が起こってしまう。刺激となるものは、ダニやホコリ、ペットの毛、花粉、カビなど、吸い込むとアレルギー反応を起こす「アレルゲン」だけではない。タバコの煙、解熱剤や鎮痛剤などの薬、風邪・感染症、過労・ストレス、運動、排気ガスや光化学スモッグ、天気や気圧の変化など、アレルゲン以外のものも影響していると考えられている。実際にはいくつかの誘因が絡み合って発作が起こるため、これらの誘因をできるだけ遠ざけることが発作の予防になる。
症状
発作的に咳やたんが出て息苦しくなる。さらに、呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が出る喘鳴(ぜんめい)を伴うこともあり、また胸の痛みや喉の違和感などの症状が現れることもある。近年は咳喘息(咳だけの喘息)も増加している。喘息の発作は夜間や明け方にかけて起こることが多く、また季節の変わり目や気温差が激しいとき、天気が悪いときや空模様が変わりやすいとき、疲れがたまっているとき、風邪をひいたとき、運動の後などにも起こりやすい。
検査・診断
問診で、発作的な咳やたんが出る症状を繰り返しているかどうかを確かめる。また、家族歴や生活環境因子(ペット飼育の有無など)のほか、喘息症状を引き起こす可能性のある薬の服用がないかなども確認する。その上で呼吸機能を調べる検査、気道の過敏の程度を測定する気道過敏性試験、どのアレルゲンに対してアレルギー反応が起こりやすいかを調べる血液検査や皮膚反応テスト、喘息以外の呼吸器疾患との判別や肺炎などの合併症を知るために行う胸部エックス線検査のほか、必要に応じて心電図検査や心エコー検査、胸部CT検査、気管支鏡検査などを行う。
治療
喘息には、「症状が起こらないように毎日行う治療」と「症状や発作が起こったときに行う治療」、2種類の治療が必要である。症状が起こらないようにするには、慢性の気道の炎症を抑えることが重要。基本となる治療薬は吸入ステロイド薬で、炎症を抑える効果が高い薬剤である。吸入ステロイド薬と、気道を広げて長時間呼吸を楽にする薬を一緒に吸入できる配合剤が使用されることもある。一方、症状が起きたときには、狭くなった気道を速やかに広げ、発作を抑える薬を使う。気道に直接届いて、少量で効果が得られる吸入薬が主に用いられる。吸入薬には、粉を吸入するドライパウダー製剤、霧状の薬剤を噴霧して吸入するエアゾール製剤、液体を霧状にして吸入する電動ネブライザーなどのタイプがある。
予防/治療後の注意
生活環境からダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛など、アレルギーの原因となる物質をできるだけ排除することが予防方法の一つとして挙げられる。また、風邪をこじらせて喘息へと移行するケースも少なくないため、風邪の後の長引く咳などを放置しないことも大切である。喘息と診断されたら、医師の指導に従って吸入ステロイド薬や配合剤などによる治療を欠かさず行うとともに、ストレスをためず、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、規則正しい生活を送ることが、発作を抑えるための重要なポイントとなる。

こちらの記事の監修医師
アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生
1991年佐賀医科大学卒業。国立国際医療研究センター、東京大学、都立駒込病院、英国インペリアルカレッジ留学を経て2008年より現職。専門領域の講演・論文多数。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。
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