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東京都済生会向島病院 脳神経内科部長 大野 英樹 先生

こちらの記事の監修医師
東京都済生会向島病院
脳神経内科部長 大野 英樹 先生

へんずつう片頭痛

概要

こめかみから目のあたりが、ズキズキと心臓の動きに合わせるようなリズムで痛むのが特徴。吐き気や嘔吐を伴い、光・音・気圧や温度の変化に対して敏感になることも多い。個人差があるが、1ヵ月に1~2度、多い人だと1週間に1度などのペースで周期的に痛みが起こり、体を動かすことで痛みが増すため、日常生活に支障を来たすこともある。原因ははっきりと解明されていないが、脳の血管を取り巻く三叉神経の炎症が関わっていると考えられている。20代~40代の女性に多く、生理前から生理中にかけて頭痛が起こりがちであるため、女性ホルモンとの関係性も疑われているが、男性にも起こる。

原因

何らかの理由で脳の視床下部が刺激されることで、顔の感覚を脳に伝える三叉神経に炎症が起こったり、脳の血管が急激に拡張したりすることで、独特の脈打つような痛みが生じるという説があるが、はっきりとした原因は解明されていない。脳の視床下部は自律神経、睡眠、食欲、女性ホルモンの分泌などをつかさどっていることから、寝不足、寝すぎ、空腹、疲労、ストレス、ストレスからの解放、大きな音、強い光、強いにおい、人混み、気圧・温度・湿度の変化、飲酒や喫煙、女性なら出産、更年期、月経や排卵といった、ふとした日常生活の行動や環境の変化、女性ホルモンの変動などが、片頭痛を誘発するといわれている。ほかにも、電車などの移動中に見る窓越しの風景や、車やバスなどのエンジンの振動も脳の刺激につながるという。また、血管を拡張・収縮させるポリフェノールなどが含まれるオリーブオイル、チーズ、赤ワインなどの摂り過ぎも、片頭痛の引き金になることがある。

症状

片側あるいは両方のこめかみから目のあたりにかけて、心臓のリズムに合わせて脈を打つようにズキズキと痛むことが多い。個人差があるが、月に1~2度、週に1~2度といった頻度で周期的に起こるのが特徴。痛みは1~2時間でピークに達して4時間程度で終わることもあれば、3日ほど痛みが続くこともある。体を動かすと痛みが増し、吐き気、嘔吐、下痢といった症状も伴うため、仕事や家事といった日常生活に影響が出やすい。人によっては、ギザギザした光が見える、空腹感がある、生あくびを繰り返す、イライラする、手足がむくむといった痛みの予兆がある。

検査・診断

症状とその経過、頻度など診断基準をもとにした問診が最も重要。また、脳腫瘍などの頭痛を起こす原因となる病気がないことを調べるために、頭部CT、MRI、血液検査などを行うこともある。

治療

中心となる治療は薬物療法で、三叉神経周辺の炎症を抑え脳の血管を収縮する働きで、片頭痛発作を抑えるトリプタンが最も使用される。内服して約30分で薬の作用が現れる。水がなくても飲める口腔内崩壊錠、吐き気があるときにも使える点鼻薬もある。ただし、高血圧や心疾患、脳血管障害、肝臓病などがある場合は、これらの病気を悪化させるおそれがあるため、医師との相談が必要。一般的な痛み止めの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)も用いられる。また、日常生活に支障を来たすほど片頭痛の発作が多く起きたり、痛みの持続時間が長かったりする場合には、片頭痛の回数を半分以下に抑えることを目標に、予防薬が使われることもある。痛みが強い部分に冷やしたタオルを乗せることも、痛みをやわらげるのに役立つ。

予防/治療後の注意

片頭痛は、過労やストレスによって起こりやすくなるため、これらをためないようにすることが予防につながる。また、片頭痛にはビタミンB2やマグネシウムが良いとされており、食生活の改善も効果的だ。なお、頭痛が起きている時は入浴や運動、マッサージなどで悪化するため、痛む部分を冷やし、横になって静かな部屋で休むことが望ましい。月に10日以上頭痛薬を飲んでいる場合には、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)に陥っている可能性もあるため、注意が必要だ。

東京都済生会向島病院 脳神経内科部長 大野 英樹 先生

こちらの記事の監修医師

東京都済生会向島病院

脳神経内科部長 大野 英樹 先生

脳神経内科を専門分野とし、脳卒中診療のスペシャリストであるとともに、末梢神経疾患にも精通。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医。