
こちらの記事の監修医師
社会福祉法人恩賜財団 済生会横浜市東部病院
西本 周平 先生
ひふがん皮膚がん
最終更新日:2022/01/05
概要
皮膚に生じる悪性腫瘍のこと。皮膚は表皮(ひょうひ)、真皮(しんぴ)、皮下脂肪の3つの組織が重なってできており、表皮角化細胞のほか、汗腺、脂腺、毛、血管、リンパ管、神経、筋などさまざまな成分で構成されている。皮膚がんの種類は多岐にわたるが、その多くが表皮内の組織で発生する。日本人では「基底細胞がん」が多く、次いで「有棘細胞がん」が多い。悪性度が高い皮膚がんとしてはホクロのがんの「メラノーマ」(悪性黒色腫)が知られている。
原因
皮膚がんの種類によって原因はそれぞれ異なるが、長期にわたる紫外線の曝露(ばくろ)などで起こることもある。「基底細胞がん」はまだ明確な原因ははっきりしていないが、顔や頭に発症することから、日光による紫外線に長くさらされていることが原因の1つと推測されている。「有棘細胞がん」も紫外線や外傷、熱傷などの慢性的な刺激が原因になることも。加えて、子宮頸がんを引き起こすことで知られるヒトパピローマウイルスとの関連性も近年疑われている。「メラノーマ」は、日本人では手や足の裏などに発生することが多く、皮膚への継続的な刺激が原因として挙げられる。
症状
「基底細胞がん」では、黒い皮疹(発疹のようなできもの)が現れる。その後数年間の間に徐々に大きくなったり、潰瘍ができたりする。「有棘細胞がん」は、しこりとして出現し徐々に増大する場合や、潰瘍をつくる場合などさまざまな形態をとる。巨大化すると悪臭を伴うことも。
「メラノーマ」は、最初は黒いしみとして始まり、徐々に不規則な形をとって広がったり、色むらが生じたり、結節をつくったりする。
初期段階ではほくろやしみのように見えて、違いがわかりづらい。形が左右非対称、りんかく線がギザギザしていたり、どこが境界かはっきりしないところがある、色むらがある、だんだん大きくなっていることが特徴。こうした特徴があれば、メラノーマを疑う必要がある。なお、いずれの皮膚がんも、初期症状で痛みを感じることは基本的にはない。
検査・診断
まずは視診で状態を確認し、ダーモスコピー検査を行う。ダーモスコピー検査とは、ダーモスコープという拡大鏡を使って、皮膚にある腫瘍やほくろなどを確認する検査。皮膚がんの可能性が高ければ、病変部分の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる病理検査を行い、腫瘍が良性か悪性かどうかを調べる。メラノーマであれば、病変部の全体を切除して調べることが多い。転移する可能性のあるものについてはエコーやCT、MRI、PET-CTなどの画像検査により腫瘍の性状や広がりを調べる。
治療
皮膚がんの種類や進行状況など、患者それぞれの状態によって選択肢は変わる。基本的には腫瘍を切除するために手術を行う。腫瘍だけでなくその周囲の皮膚まで切除し、場所が広範に及ぶ場合は、太ももなどの部位から皮膚を移植する植皮手術を加えて行う。また、状況に応じて、化学療法や免疫療法、放射線療法を実施する。有棘細胞がんやメラノーマはリンパへの転移の可能性を考え、センチネルリンパ節生検を行うこともある。転移の状況によりリンパ節郭清(かくせい)も行う。
予防/治療後の注意
できる限り紫外線を避けるために、帽子や日傘を使ったり、日焼け止めクリームをこまめに塗ったりといった対策を行う。こうしたことは、有棘細胞がんの前がん状態である「日光角化症」を防ぐことにもつながる。また、ほくろやしみが大きくなる、形が変わる、数が増えるなどの変化が見られたら、皮膚科を受診することが大切。早期発見できれば治療で治せる確率は高くなる。皮膚がんは自分で見つけることが可能ながんのため、ほくろやしみの状態をよく確認するようにしたい。

こちらの記事の監修医師
西本 周平 先生
2006年慶應義塾大学卒業。専門分野は皮膚病一般で、特に専門としている領域は乾癬、小児皮膚科。日本皮膚科学会皮膚科専門医の資格を持つ。
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