こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
田中 京子 先生
しきゅうけいがん子宮頸がん
最終更新日:2022/01/06
概要
子宮下部の管状の部分で「子宮頸部」と呼ばれる部分に発生するがん。通常は一定の時間をかけてゆっくりと増殖し、がんに進行する可能性がある細胞が増えてくる。これを異形成と呼ぶ。検診によって発見しやすく、早期に発見すれば比較的治療しやすいとされる。多くの場合、性交などによるヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)感染が関連している。また、喫煙もリスク因子であることがわかっている。年齢的には30代後半~40代に多く発症するが、最近は若い女性にも増加している。
原因
性交渉などによって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が関係している。子宮頸がん患者の約9割から検出されており、感染はめずらしいことではない。男性も女性も感染するありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の約8割は、生涯で一度は感染経験があるといわれている。多くの場合は発症することなく免疫の力によって自然にHPVが排除されるが、排除されないまま感染が続くことで、一部に異形成が起き、数年をかけて子宮頸がんに進行する。
症状
早期にはほとんど自覚症状がない。進行するに従って性交後の出血、不正出血、おりものの異変や増量などの症状がみられ、さらに進行すると下腹部痛や腰痛、背部痛を伴うこともある。前がん病変である異形成を経てがん化するため、がん細胞に進行する前に細胞診検査で発見することができる。そのため特に症状がなくても、定期的な検診を受けることが大切。
検査・診断
問診や視診のほか、スクリーニング検査(子宮頸がん検診)として、子宮頸部をブラシ、またはヘラのような器具でこすって細胞を集め、顕微鏡でがん細胞を見つける細胞診検査を実施。その結果細胞診異常と診断されたときには、精密検査として組織診・コルポスコピー(拡大鏡)診検査を行う。がんの広がり具合をみる検査としては、内診、直腸診、超音波(エコー)検査、CT、MRIなどがある。また膀胱(ぼうこう)鏡、直腸鏡による検査や尿路検査などを行うことも。これらの検査を経て「がんの深さ」「がんの大きさ」「他臓器への転移の程度」を合わせて子宮頸がんのステージが決定される。
治療
手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つを単独または組み合わせて行う。がんの進行状況や広がり具合、妊娠や子宮温存希望、基礎疾患の有無によって、適切な治療法を選択することが大切。手術では、妊娠の希望がある場合は、子宮を残すためにレーザー治療や子宮頸部の一部のみを円錐型に切除する手術を行う。子宮温存希望のない場合や子宮を残すのが難しい場合は、子宮全摘出の手術が行われるが、子宮や腟の一部または周辺組織などを広範囲にわたって摘出するなどさまざまな方法がある。また放射線療法は体の外から照射する方法と腟を通してがんのある部分に照射する方法がある。抗がん剤による化学療法と併用すると放射線治療を単独で行う場合よりも有効性が高まるといわれている。
予防/治療後の注意
初期に発見できれば治癒率も高まり、子宮を温存することも可能。治療後の妊娠も可能なことから、定期的な検診が非常に重要となる。比較的若い年齢で発症することが多いため、20歳を超えた女性には、2年に1度の検診が推奨されている。また喫煙が一因となっているといわれていることから、たばこを吸わないことが予防につながる。
こちらの記事の監修医師
田中 京子 先生
慶応義塾大学卒業後、同大学病院、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て、東邦大学医療センター大橋病院の准教授へ就任。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持つ。
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