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東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
田中 京子 先生

げっけいふじゅん・むげっけい月経不順・無月経

概要

正常月経は月経周期日数が25日~38日、出血持続日数が3~7日でかつ変動は6日以内、卵胞期日数17.9±6.2日といわれる。しかしこれにあてはまらず、25日未満で出血したり、次の月経までの間隔が39日以上かかったりといった状態のことを月経不順という。無月経は、妊娠していないにもかかわらず3ヵ月以上月経がない状態を指す。18歳以上になっても月経が始まらない原発性無月経と、過度のダイエットなどを原因とする続発性無月経がある。無月経の場合、放置するとホルモン異常につながるため、早めの受診が必要である。また、妊娠・授乳期でないのに乳汁が出て、無月経状態を伴う内分泌代謝疾患の場合もある。

原因

月経不順の原因は、疲労やストレスによるホルモンバランスの乱れが考えられる。ホルモンバランスが乱れることで、機能性子宮出血、黄体機能不全症、多嚢胞性卵巣症候群といった病気を引き起こし、ホルモン分泌の異常が生じることもある。また、更年期が近づくにつれ、月経不順が起こりやすくなると考えられている。原発性無月経の原因は、染色体異常、腟や子宮の先天異常など性器の異常、ホルモン異常と考えられる。続発性無月経は、妊娠、授乳、急激なダイエット、肥満、強いストレスや環境の変化などによるホルモンバランスの乱れが主な原因といわれている。女性ホルモンをコントロールする脳下垂体の腫瘍や他の病気、早発閉経が原因の場合もある。

症状

月経不順の症状は、月に2回月経が来る(頻発月経)、月経が2日で終わってしまう、8日以上続く、月経周期が39日以上と遅れがちである(稀発月経)などがある。月経時の経血量が異常に少なかったり、多かったりといった月経困難症の症状を伴うこともある。無月経は症状がない場合もある。原発性無月経の場合、乳房の発達や陰毛の出現などの第二次性徴がないのが特徴である。続発性無月経において、脳下垂体腫瘍などが原因の場合は頭痛や吐き気、めまい、視覚異常などの症状を伴うこともある。無月経、月経不順ともに不妊につながることも多い。

検査・診断

月経不順の場合、ストレスが原因のことも考えられるため、問診で生活習慣についてや仕事のこと、既往歴、家族歴について聞いていく。内診して子宮の環境を確認し、子宮内膜症などの異常が見られた場合には、各症状に応じて経口避妊薬やホルモン剤を処方し、月経周期を整えていく。無月経の場合、まず妊娠の可能性の有無を検査し、妊娠していなければ問診で最終月経がいつだったかなどを聞いていく。18歳を過ぎても月経を迎えたことがない場合には原発性無月経の診断のために原因疾患の鑑別を行う。月経の経験がある場合、続発性無月経と診断され、月経不順と同様に問診・内診で原因を探っていく。必要に応じて子宮がん検診を行うこともある。

治療

月経不順または続発性無月経でかつ妊娠希望の場合には、クロミフェン療法による排卵誘発を行う。妊娠が目的となる治療であるが、結果として排卵が促され月経周期が整っていく。妊娠希望でない場合は、ゲスターゲンの周期的投与により月経周期を正常化させる。それでも月経が来ない場合にはカウフマン療法を行い、エストロゲンとゲスターゲンという女性ホルモンを周期的に内服する。男性ホルモン過多による多毛、ニキビが見られる場合には、経口避妊薬の投薬治療を行うこともある。原発性無月経の場合、処女膜や腟が閉鎖していれば手術療法、ホルモン系統に異常が見られる場合はホルモン療法を行う。ターナー症候群などの染色体異常の場合、根治が望めない場合には主にカウンセリングを行う。

予防/治療後の注意

月経不順や無月経を引き起こす女性ホルモンの乱れはストレスが原因となることが多いので、できるだけストレスフリーの生活を心がけることや、規則正しい生活をし食生活を整えることが予防につながる。定期的に子宮がん検診を受ける、月経で気になることがあれば放置せず早めに受診することも大切である。

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 田中 京子 先生

こちらの記事の監修医師

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科

田中 京子 先生

慶応義塾大学卒業後、同大学病院、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て、東邦大学医療センター大橋病院の准教授へ就任。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持つ。