心身の不調が続いているときは
早めに心療内科へ相談を
漢方心療内科 藤井医院
(京都市左京区/松ヶ崎駅)
最終更新日:2022/08/23
- 保険診療
誰にでも、なんとなく体調が優れない日や気分が沈んでしまう時はある。しかし、それが長引いているようなら、放置せずできるだけ早めに心療内科に相談したい。心療内科は精神的な不調やストレスなどが原因で身体に現れるさまざまな症状を扱う診療科。医師との面談や薬の処方などを通して改善をめざす。「漢方心療内科 藤井医院」の藤井英子院長は、こうした心療内科の治療に漢方薬や東洋医学的なアプローチを取り入れ、ストレス社会を生きる現代人のいろいろな不調に応えている。新型コロナウイルス流行以来増えているという患者の抱える不調の種類や、漢方を生かした同院の治療の特色などについて藤井院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2022年7月27日)
目次
「心」と「体」は表裏一体。生き生きとした毎日のために、漢方で心身のバランスを整える
- Qこちらにはどのような患者さんが来院されますか?
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A
心の不調を扱う診療科には精神科と心療内科がありますが、精神科は統合失調症やうつ病、双極性障害といった精神疾患が主な対象です。一方、心療内科は心の不調とそれが引き起こす体の症状を診る診療科で、当院は漢方による治療を提供しています。東洋医学では「心身一如(しんしんいちにょ)」といって心と体は互いに影響し合うと考えます。ストレスなどで抑うつ状態になって胃痛、不眠症、倦怠感、集中力の低下などで心身に不調を来した場合、こうした方の心身のバランスを整えるために漢方を活用します。新型コロナウイルスの流行以降、年齢、性別を問わず不調を訴える方が増え、何となく調子がすぐれないと受診される方も少なくありません。
- Q女性特有の不調も診てもらえるとお聞きしました。
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A
成人女性の生理前にいろいろな不調が現れるPMS(月経前症候群)に加えて、最近はより重症のPMDD(月経前不快気分障害)の方が増えています。焦燥感やイライラ、不安を感じるなど抑うつ状態になっているのが特徴で、心療内科や精神科できちんと対応する必要があるといわれている疾患です。また、産婦人科での知見を生かして、月経不順・無月経、めまいなどを伴う更年期障害にも対応しています。一方、最近は男性の更年期障害と呼ばれる症状の方も来院されます。加齢によるホルモンバランスの変化もありますが、年齢が上がると社会的に責任も増えて、さまざまなところに気を配らなければならないストレスが大いに関係していると思います。
- Q診療はどのように進めるのですか?
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A
お話を聞きながら患者さんのお顔や姿を見る望診や聞診、脈を診る脈診、舌をチェックする舌診他を行います。新型コロナウイルスの流行以降、腹部を診る切診は控えることもありますが、舌を診れば胃腸の状態やむくみの原因になりやすい水滞(すいたい)も確認できます。うつ病が疑わしい方には心理テストを行って抑うつ尺度を見て診断します。一人暮らしの方なら実家へ帰られるように勧め、勤務形態を考慮してもらえるよう職場との交渉をアドバイスすることもありますね。さらに、必要と判断した場合には、カウンセリングを受けていただけるように臨床心理士を紹介することもあります。
- Q漢方にも副作用はあるのですか?
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A
もちろん漢方薬にも副作用はあり、副作用が起こることを考えて処方することが大切です。実は娘が風邪をひいた時に漢方薬を飲ませたところ、副作用で間質性肺炎を起こしてしまったことがあります。良いと思って与えた薬で、思いもしない副作用を引き起こすことがある。これを機に漢方をしっかり学んで、日本東洋医学会認定漢方専門医の資格を取得しました。心療内科で漢方専門医は少ないと思いますよ。現在、処方薬は漢方を基本としていますが、患者さんの状態によっては西洋薬を用いることもあります。ただし、漢方と併用します。当院の患者さんは、漢方の処方を希望される方が多いので西洋薬を処方する機会は多くはありません。
- Q漢方薬は作用がマイルドというイメージがあります。
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A
西洋薬に比べ、ゆっくりと作用する薬が多いことは確かです。また、同じような症状でも人によって期待できる効き方は異なります。よく「漢方薬の生薬は苦い」といわれますが、苦くて飲むのが苦痛に感じる薬は、無理に飲む必要はないと思います。長い歴史の中で、漢方はお薬のさまざまな組み合わせについて研究され、また例えばお子さん向けのお薬には膠飴が加えられているなど、飲みやすくするための工夫もされています。必要な場合は西洋薬も使いますが、可能な限り漢方で対応していきたいと考えています。