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こちらの記事の監修医師
日本医科大学付属病院
副院長/消化器外科部長 吉田 寛先生

たんどうがん(たんかんがん・たんのうがん) 胆道がん(胆管がん・胆のうがん)

概要

肝臓から分泌された胆汁は胆管を通り、一時的に胆のうにためられた後、乳頭という出口から十二指腸へと流れる。この胆汁の通り道を「胆道」といい、胆道の各部位にできる悪性腫瘍をまとめて胆道がんと呼ぶ。一般的には、胆管がん、胆のうがんの2つに分けて解説されることが多い。70代、80代に多く、年齢とともに発症率・死亡率が上がる。性別で見ると、胆管がんは男性、胆のうがんは女性に多い。初期の胆道がんは自覚症状がほとんどない。また、胆道が肝臓から膵臓の中を通って十二指腸へとつながっていること、胆管の壁が薄いこと、近くに重要な血管や細かな神経、リンパ節が豊富に存在していることなど、臓器の構造や位置関係上、がん細胞が広範囲に及びやすい。そのため、診断がついたときにはかなり進行していることも珍しくない。

原因

明確な原因は解明されていないが、胆道に長期的な炎症や刺激が続くことが、がんの発症につながると考えられている。具体的には、胆管がん、胆のうがんともに膵・胆管合流異常が危険因子の一つに挙げられる。膵・胆管合流異常は、膵管と胆管が十二指腸に入る手前で合流する先天性の形成異常。膵液や胆汁が相互に逆流してしまうことで、胆道がんのほか、胆管炎、胆石形成、閉塞性黄疸、急性膵炎などさまざまな病態を引き起こすことがある。また胆管がんは9割以上が結石のある部位に発生しており、肝内結石症との関連性も多く報告されている。胆のうポリープについては、10mm以上で増大傾向のあるもの、もしくは大きさにかかわらず広基性の(茎を持たず隆起がなだらかな)病変の場合、胆のうがんの疑いがあるため摘出が勧められる。

症状

胆道がんは初期の段階ではほとんどの場合が無症状なため、早期発見が難しい。まれに、健康診断の腹部超音波検査や、胆石症に伴う胆のう摘出術の際に、偶然発見されることがある。がんが進行するにつれ、黄疸、みぞおちや右の脇腹の痛み、吐き気や嘔吐、体重減少といった症状が現れる。黄疸は腫瘍が大きくなって胆のう管や胆管が狭くなり、胆汁が血液中に流れ出すことで起こる症状。胆汁に含まれるビリルビンという黄色い色素の影響で、白目や顔が黄色くなる。黄疸は悪化すると、便が白っぽくなる、尿の色が茶色く濃くなる、皮膚のかゆみが出る、といった症状が見られる。なお、黄疸を契機に見つかる胆のうがんは、すでに進行しているケースが多い。

検査・診断

胆道がんを疑う場合、まずは血液検査によってALPやγ-GTP(ガンマGTP)などの肝・胆道系酵素や血清ビリルビンの濃度が高値になっていないかを確認する。ただし、これらの値は必ずしもすべての胆道がんで上昇するとは限らず、また早期発見につながる腫瘍マーカーが存在しないため、血液検査は診断の補助的役割となる。併せて実施を推奨されるのが、腹部超音波検査。胆管が拡張していないか、胆のうの壁が厚くなったり、盛り上がったりしていないかを調べ、病変が見つかったときは、部位や目的に応じてCTやMRIなどより高度な検査を実施する。そのほか、十二指腸まで内視鏡を挿入し、胆管と膵管に造影剤を入れてエックス線撮影をする内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)、先端に超音波装置のついた内視鏡を胆のう付近の胃や十二指腸に挿入し、体内で超音波検査を行う超音波内視鏡検査(EUS)を行うことも。一方、PET検査は、主にリンパ節転移や遠隔転移の有無、再発リスクを調べる目的で行われる。

治療

外科的手術によってがんを取り除くことが基本となる。その方法は発生部位によって異なり、胆管とともに膵臓と十二指腸を切除したり、肝臓も切除したり、膵臓と肝臓の両方を切除したりしなければならないこともある。門脈・肝動脈といった重要血管にがんが浸潤している(拡がっている)場合、切除後に再建の必要がある。なお、肝臓や肺、骨への転移、腹膜へのがんの拡がり、遠隔リンパ節転移を伴う胆道がんは切除が推奨されない。手術が難しい場合は抗がん剤による化学療法、放射線治療を行うが、いずれも治療成績は手術には劣る。黄疸による肝不全を防ぐために、胆のうにたまった胆汁を取り除く胆道ドレナージや、内視鏡を用いて胆管内にチューブや金属製の器具を留置し、胆汁の流れを確保する胆道ステントも行う。

予防/治療後の注意

外科的手術で肝臓や膵臓を大きく切除すると、胆汁や膵液の分泌が低下するため、消化や栄養分の吸収に時間がかかることがある。そのため食事は消化の良いものを、少しずつ何回かに分けて取ることが大切。また、脂肪分の多い食品、香辛料やコーヒーなどの刺激物は控え、タンパク質の豊富な大豆製品や魚を中心にした献立が望ましい。アルコール摂取は医師に相談を。予防に関しては、発症要因の一つとされる膵・胆管合流異常と診断されたら、予防的に手術で胆のうや拡張した胆管を摘出する。同じく発症要因となる胆石症も、予防的胆のう摘出術を行うことがあるが、無症候性胆石症は胆のうがんとの因果関係がはっきりしていないため、切除は行わず経過観察となることもある。ただし発病例もあるため、定期的に超音波検査を受けて、胆のうに異常がないかを把握しておくことが重要。

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こちらの記事の監修医師

日本医科大学付属病院

副院長/消化器外科部長 吉田 寛先生

1986年日本医科大学卒業。1992年同大学大学院修了。同大学多摩永山病院外科部長、病院長を経て、2018年に同大学消化器外科主任教授、同大学付属病院副院長に就任。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。