
こちらの記事の監修医師
公益財団法人日産厚生会 玉川病院
膠原病・リウマチ科医長 楠田 岳 先生
しぇーぐれんしょうこうぐんシェーグレン症候群
最終更新日:2021/12/24
概要
中年の女性に多く、自己免疫疾患の一つ。涙や唾液を作り出す組織に炎症がおき、涙や唾液が十分に作り出せなくなってしまう。ドライアイやドライマウスなどが引き起こされる。まれに、全身に炎症性の症状が現れることも。発症のピークは50代とされるが、小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢層の人がかかる可能性を持っている。また、関節リウマチなどの膠原病を患っている人が発症することもある。
原因
大きな原因としては、自分の体を守るはずの免疫機能に何らかの異常が起こり、自分自身の組織を攻撃してしまう「自己免疫」が挙げられる。自己免疫になる背景には遺伝的な要因をはじめ、ウイルスや細菌などの環境要因、女性ホルモンとの関連性、免疫異常などが疑われているが、はっきりとした理由はわかっていない。自己免疫になり得る複数の要因が重なり合い、シェーグレン症候群を引き起こすとされている。
症状
代表的なのは、目や口の乾燥症状。まず、目の症状としては、「目が乾き、コロコロとした異物感がある」といったドライアイが起こり、見えづらさや目の疲れ、痛み、かゆみなどの症状が出てくる。涙で異物を排除することもできなくなるため、角膜や結膜が傷ついてしまい、視力の低下を引き起こしてしまう。また、口の症状としては、「口が乾いて、ネバネバする」といったドライマウスの症状が現れるほか、食べ物を飲み込みづらく感じたり、唾液が減ることで虫歯が増えたりすることもある。そのほか、鼻の乾燥や性交痛などの外分泌に関連した症状を自覚することもある。
検査・診断
まずは、血液検査を実施。「免疫異常の原因となる抗体があるかどうか」などを調べていく。さらに、唾液の分泌量を調べるためのガムテストを行う。眼科で涙の分泌量を調べたり、ドライアイによって目の表面に傷がないか調べたりする。唾液腺の一部を採取し、顕微鏡で観察することもある。他に膠原病が合併していないかも、同時に調べる。
治療
現在、根本的な治療法は確立されていない。そのため、それぞれの症状を和らげるための対処療法が中心となる。例えば、ドライアイに対しては、目の乾燥を防ぐための点眼薬や人工涙液を処方。重度の場合は、ドライアイの改善に向けて、涙点に栓を施す「涙点プラグ挿入術」という外科的療法を行うこともある。また、ドライマウスに対しては、水をこまめに飲んだり、人工唾液のスプレーや、唾液の分泌を促すための薬を使ったりすることもある。他に膠原病が合併している場合はその治療を行う。
予防/治療後の注意
まだ解明されていない部分が多い病気のため、明確な治療法や予防法などはわかっていない。そのため、もしかかってしまった場合には、長期にわたって病気とうまく付き合っていくことが必要となる。

こちらの記事の監修医師
膠原病・リウマチ科医長 楠田 岳 先生
2008年三重大学医学部卒業。日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本内科学会総合内科専門医。専門分野は膠原病一般、関節リウマチ。
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