痛みを軽減した痔への注射療法
女性医師による肛門疾患診療も
じんないクリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2021/11/12


- 保険診療
性別に関わらず、痔などのお尻のトラブルに悩んでいる人は多い。しかし、「恥ずかしい」「お尻を見せるのに抵抗がある」といった理由から、なかなかクリニックを受診できず、中には市販薬で自己解決しようとする人もいるのではないだろうか。茨木市にある「じんないクリニック」では、患者のそうした気持ちに寄り添うために、女性医師による肛門疾患の診察に対応し、痛みをなるべく軽減できるよう麻酔を用いた検査・治療を実施。誰もが受診しやすい体制を整えている。「痔だと思っていても、実は大腸がんなどの病気が潜んでいる可能性もあります」と話す水野裕太院長に、肛門疾患や治療する際の選択肢などについて、詳しい話を聞いた。
(取材日2021年5月10日)
目次
お尻のトラブルは自己解決せずに受診を。検査は病気の早期発見にも有用
- Q肛門疾患にはどのようなものがありますか?
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A
▲「お尻のトラブルが少しでもあれば相談してください」と話す院長
受診される患者さんの中で特に多いのが、お尻の痛みやかゆみ、出血などのトラブルです。お尻の皮膚表面の湿疹や、痔による痛み・出血によって悩んでいる方は、年齢や性別を問わずたくさんいらっしゃいます。しかし、どうしても受診に抵抗があったり、恥ずかしさから放っておいたりと、なかなか受診に足が向かないという方も少なくありません。気持ちはとてもわかるのですが、出血があった際は躊躇せずに専門のクリニックを受診していただきたいです。というのも、血が出るということはお尻に何かしらの病変が隠れているか、あるいは大腸がんなどの別の病気が疑われるということなので、詳しい検査を受けていただくことが望ましいです。
- Q痔の種類について教えてください。
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A
▲専用の治療室で治療を行う
大きく分けると、裂肛(切れ痔)・痔ろう(あな痔)・痔核(イボ痔)の3種類が挙げられます。痔ろうは肛門の周囲に膿がたまる状態が悪化したもので、ここから膿が出ることによって痛みが生じたり、発熱したりすることがあります。痔核に関しては、肛門の内側の直腸粘膜部分にある血管の一部がうっ血し、こぶのように腫れた状態のことを指す内痔核と、肛門周辺の皮膚組織の血管がうっ血して腫れている状態を指す外痔核に分類されます。内痔核が生じるとお尻に違和感があり、外痔核の場合は座っているだけで激しい痛みを伴うことも。痔になると、それだけで生活の質が低下してしまいますから、一人で悩まずに医師に相談することが大切です。
- Q痔はどのように診察・治療しますか?
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A
▲患者の要望にも柔軟に対応しているという
まずは問診をして自覚症状などを確認したら、その後患部を触診し、肛門鏡というカメラを用いて内部の状態を診ていきます。その際はゼリー状の表面麻酔を使い、痛みをなるべく軽減するよう努めていますのでご安心ください。治療となると、痔の種類によって方法は異なります。例えば痔核の場合は、内服薬と座薬を使っての治療からスタートし、それでいい結果がなければ患部の血流を遮断する方法や、注射での痔核硬化療法を行います。症状の改善がない場合は、患部を取り除くための手術を選択していただくことも可能です。当院では週に一度、肛門疾患を診療できる女性医師が外来を担当しているので、女性の患者さんも気軽に相談にお越しください。
- Q痔核硬化療法とはどのような治療ですか?
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A
▲痛みを軽減した治療を行っている
痔核の中でも内痔核を対象とした治療法で、保険適用となります。血流がうっ滞することが原因で発症する内痔核は、進行の程度によって1~4段階に分類されており、この注射を用いた方法は、そのうち2段階・3段階の患者さんに適しているといわれています。2種類の薬剤が入っていて、一つの内痔核に対して4回に分けて注射を打っていきます。痛みを和らげるために局所麻酔を使い、また痛みを感じにくい粘膜部に注射するので、治療時は痛みが少ないとされています。この治療法のメリットは、その日のうちに変化を実感できること。日帰りでの処置で済むほか、条件さえ満たせば翌日から職場に復帰できる場合もあります。
- Q処置後に注意することはありますか?
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A
▲定期的に受診することが大切
注射後の副反応として発熱する場合がありますが、処方されたお薬を飲んでいただければ心配ないでしょう。日常生活においては、アルコールや刺激物をなるべく控えて、清潔な状態を維持するために毎日お風呂に入るなど、規則正しい生活を心がけていただければと思います。また、便の状態もチェックしていただき、柔らかすぎたり硬すぎたりした場合は、コントロールするためのお薬を処方しています。通院の頻度としては、処置の翌日と1週間後、それから1ヵ月後を目安にしています。処置をしてもすぐに治るわけではありませんし、ほかの場所に再発することもありますから、なるべく指示どおり通院していただければと思います。