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加藤 茉里 副院長の独自取材記事

北田医院

(大阪市鶴見区/放出駅)

最終更新日:2023/07/13

加藤茉里副院長 北田医院 main

内環状線の阪東大橋からすぐ、放出東2の交差点に面する「北田医院」。地域で長く親しまれる同院では現在、北田博一院長の妹である加藤茉里先生も、副院長として診療にあたっている。脳神経内科を専門とする加藤先生は、内科や小児科の診察のほか、高齢患者やその家族からの相談が多い認知症や物忘れの診療も担当。患者や家族の気持ちに寄り添いながら、和やかで負担の少ない診療を行う。また神経難病の患者の往診にも取り組み、在宅での闘病を支えている。 「この領域ではご家族とも長くお付き合いする病気が多いので、迷いや悩みをよくお聞きして、アドバイスしたり元気になってもらえるような診察を心がけています」と優しい笑顔が印象的な加藤先生。これまでの歩みや、同院での診療に対する思いを聞いた。

(取材日2020年10月5日)

祖母の姿に憧れて医師をめざす

先生が医療の道に進まれたのはなぜですか?

加藤茉里副院長 北田医院1

当院は、私の祖母が開業した診療所からスタートしています。子どもの頃は祖母と同居していたので、働く祖母の背中を身近に見ながら育ちました。女性の医師は今ほど多くなかったのですが、祖母を見てきたことで、女性が働くということに抵抗はもたなかったですね。また、祖母は私にとって、「おばあちゃん」というより、手に職をもつ一人の人間として憧れの存在でした。仕事にはとても真面目で、真夜中でも患者さんから連絡があれば往診に向かったそうですし、休みの日にも、講演会などに積極的に出席していたのを覚えています。また、祖母はかなりおしゃれな人で、出かけるときには夜でもきちんと髪を巻いて、帽子なども好きで、身ぎれいにしていました。そういった憧れから私も自然に医師をめざしたと思います。

先生のご専門は、脳神経内科だそうですね。

大学を卒業後、臨床研修で各科を回る中、脳神経内科で見た診療風景がきっかけです。脳神経内科の診察では、打腱器や音叉など昔からある器具を使って、反射や反応を確認します。画像検査や最新の検査機器がなくても、医師が自らの手で診断を確定していくところに、大きな魅力を感じたのですね。いずれ当院で働くつもりはありましたが、それを意識して脳神経内科を選んだわけではないです。でも、こちらに戻ってみると、ご高齢の患者さんが増えていて、物忘れや認知症に悩む方がたいへん多いのです。脳神経内科を専門とする医師は少ないのですが、地域医療で脳神経内科を診る重要性をひしひしと感じています。

では、こちらでの診療内容を教えてください。

加藤茉里副院長 北田医院2

当院は地域のかかりつけ医院ですので、昔からさまざまな症状や年代の患者さんが来られます。私も内科や小児科の診療を日常的に行っていて、さらに脳神経内科の患者さんも診ています。この地域は昔からお住まいの方が中心で高齢化も進んでいるので、ご高齢の方は多いですね。生活習慣病を中心に、さまざまな体調不良や健康のお悩みがあります。また鶴見区では若年人口が増えていて、風邪などで受診するお子さんも多いですし、小児の予防接種もしています。私は午前中は毎日診察をしています。診療科による曜日や時間の枠は決めていませんが、脳神経内科に関しては、初診受付時に伝えてもらえれば、診療をスムーズに進められると思います。

患者の気持ちを思いやり、受診しやすい状況をつくる

脳神経内科を受診されるのは、どのような患者さんですか。

加藤茉里副院長 北田医院3

物忘れの外来には、「半年ぐらい前から物忘れの症状があって心配だ」と患者さんのご家族から相談があり、患者さんと一緒に来られるケースが多いです。物忘れや認知症という言葉に抵抗がある方も多いので、ご本人には健康診断や脳のチェックという名目で来てもらい、検査の間にご家族から話を聞くこともあります。他の医療機関では、物忘れの外来は予約制で、しかもかなり先まで予約できないことも。でも当院は、調子や都合の良いタイミングで気軽に来てほしいので、予約制にはしていません。ホームページ上に物忘れ専用の予診票があるので、ご自宅で書いてきてもらうのも良いですね。それから診断がついて治療や介護が必要になった際、ご家族は動揺して「何をしてよいのかわからない」となりがちです。ですのでご希望があれば、法人内の在宅事業部とすぐ連携して、支援の流れをなるべく早めに具体化しています。

脳神経内科では、他にどのような病気や症状を診てもらえるのですか。

今お話ししたように物忘れが目立つ病気、例えば認知症やアルツハイマー病などのほか、パーキンソン病、重症筋無力症、脳卒中、てんかんなど、脳や脊髄、神経、筋肉などが原因で起こる病気を診ています。もし物忘れ、頭痛、しびれ、震えなどが続くようでしたら、一度相談してみてください。大学病院で勤務していた時期には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、神経難病と呼ばれる病気の診断もしていたので、今はそういった患者さんへの往診も行っています。

患者さんとは、ご家族ぐるみで長いお付き合いになることも多いそうですね。

加藤茉里副院長 北田医院4

そうですね、こういった病気では介護が不可欠です。また治療経過が年単位と長いので、患者さんとともにご家族との関わりが大事になります。特に神経難病は治癒が見込める病気ではないので、治療に加えて介護、社会制度などトータルな支援が必要ですし、お看取りまでさせてもらうこともあり、私自身も多くのことを学ばせてもらっています。患者さんや介護される方は日々たいへんな思いをされていますので、私は笑顔でお会いして明るい雰囲気で診療を進め、お話をよく聞き、「先生とおしゃべりしたら元気になったよ」と言ってもらえるように心がけています。介護者は女性が多いので、同じ女性として、悩みを気軽に相談してもらえる存在でありたいですね。

患者も家族も、毎日笑顔で過ごせるような環境を

ところで、ご兄妹での病院運営はいかがですか。

加藤茉里副院長 北田医院5

夫婦でも親子でもなく、同性の兄弟や姉妹でもなく、異性の兄妹で診療している医院は珍しいかもしれませんが、それが良かったと思います。医師が身内の男同士だと意見がぶつかることもあると聞きますが、兄とは昔から仲が良く、また医師としての専門領域は違うので、ちょうど良い距離感で治療内容の相談をしたり、時にはサポートしてもらったり。私が診察を始めた患者さんでも、循環器で気になることがあれば院長につなぎますし、その逆もありますよ。また、スタッフにもたいへん協力してもらっています。当院の法人内には、在宅事業部や介護老人保健施設などがあり、多くのスタッフが働いています。これは父の時代からですが、例えば施設でバザーをするなら他部署のスタッフも協力して盛り上げるなど、横のつながりを大事にしてきました。日頃からの連携の良さが、患者さんやご家族を支えるスムーズなサポートにもつながると思います。

今後、取り組みたいことがあれば、お聞かせください。

今、65歳以下の若い認知症の方が過ごせる場所が足りないと感じています。年齢が若くて体は元気、気持ちもアクティブだけれど、物忘れや認知症状があるという方たちです。デイサービスもありますが、もっとご高齢の方に向けた内容が多いです。座っている時間が長かったり、簡単なレクリエーションが中心であったりすると、若い認知症の方にはなかなかそぐわない。つまらなくなって利用しなくなり、自宅にこもって症状がより進行してしまう、ということもあるのです。元気な方ですから、例えば畑仕事のような軽作業や、簡単なボランティア、何かの製作とか。実現は簡単ではないのですが、若い認知症の方が日中楽しく過ごせるような場所や機会をつくれないかなと、漠然と考えているところです。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

加藤茉里副院長 北田医院6

認知症という言葉はかなり浸透したものの、ご自分や家族がいざ直面するとやはり抵抗は強いです。でも、年を取れば物忘れは起こりますし、誰にでも認知症になる可能性はあると受け止めて、受診してほしいですね。また、認知症の患者さんがいるご家庭では、介護者やご家族が困ったり疲弊してしまうと、当事者の症状も悪化しがちです。患者と介護者はお互いにつながっているので、できれば笑い合いながら毎日を過ごしてほしい。「あれ、ちょっと気になるな」という程度でも構わないので、つらく苦しい状況に追い込まれる前に、ぜひ早めに、気軽に相談してほしいと思います。

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