原因も種類もさまざまな脱毛症。医療機関で診断を受け、早めに治療を開始することが肝心

Q脱毛症について教えてください。

A

▲多くの人の悩みに寄り添う院長

脱毛症で多いのは、コイン型や蛇行した形に毛が抜ける円形脱毛症と、額の生え際や頭頂部が薄くなる男性型脱毛症です。女性は男性型とは違い、頭頂部に広がる、びまん性脱毛、女性型脱毛症が起こります。他にも遺伝性疾患の症状の一つとして起こる脱毛症や、やけどの痕、傷が化膿して毛根がダメージを受けて発毛しなくなった瘢痕性脱毛症などがあります。まれに、ペット感染や、レスリング、柔道などの運動での感染が考えられる白癬菌による脱毛症も。頭部以外に病気がある場合は、その主たる原因を解明し治療していくことになります。円形脱毛症の中には、頭部全体や眉に急速に脱毛が起こることがあり、その場合は病院に紹介します。

Q円形脱毛症や男性型脱毛症、女性型脱毛症の主な原因とは？

A

▲スタッフも優しく、院内も落ち着いていて通いやすい

原因はさまざまあり、明確ではありません。円形脱毛症は免疫機能の異常や過度のストレスなども考えられます。男性型、女性型の場合は遺伝も関連しますが、そればかりではなく、睡眠不足や食生活の乱れなど環境因子も要因となると思います。女性ですと、出産や、更年期の女性ホルモンの減少などもきっかけとなり得るでしょう。髪の毛は、数年の成長期、数週間の退行期と休止期というサイクルを繰り返していますが、加齢とともに次第に成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなります。若い頃は硬くて多かった髪の毛が、軟毛となり細く短くなり、ミニチュア化してくるということですね。

Q男性型脱毛症、女性型脱毛症の治療について教えてください。

A

▲円形脱毛症になる要因は、ストレス以外にもさまざまだという

基本的には自由診療ですが、男性型では飲み薬と外用薬になります。飲み薬は2種類で適応により処方、1日1回の服用で、外用薬は朝晩1回ずつです。女性型では、飲み薬はありません。外用薬は男性型と同じ成分で濃度が低いものとなっています。通院は1～2ヵ月に1度となります。治療の選択肢としては他に、毛根の細胞にまで働きかける光による治療があります。治療開始が早ければ早いほど、時間はかかりますが発毛が期待できると思います。髪の悩みは深刻であり、個人的には保険診療になってほしいと願っています。

Q患者の悩みにどのように寄り添っておられますか？

A

▲丁寧な説明を心がけている

脱毛が進行した方の多くが「髪は生えてきますか」と質問されます。個人差もあり難しいのですが、私は診察時に許可を得て患部の写真を撮らせていただいており、過去の患者さんの経過写真をお見せできるようにしています。皮膚の病気は何でもそうですが、治療の継続がとても大事です。脱毛症の場合はまず6ヵ月やってみて判定しましょうとお話しします。写真で記録しておけば前回と比較できるので、患者さんのモチベーションにもつながり、私もうれしいですね。患者さんと同じように悩み、喜ぶ、その共感が治療に対する前向きな姿勢につながると考えています。

Q日常生活で気をつけることはありますか？

A

▲何かあればすぐに相談に来てほしいと語る院長

加齢による変化は避けられませんが、一つには、原因となり得る生活習慣の乱れをまず改善されることが望ましいでしょう。睡眠が少なく生活が不規則のままでは脱毛が悪化する恐れもあります。また、帽子やヘルメットを長くかぶり続けることや、髪の毛をいつも同じ場所で分けたり束ねたりということも避けるといいですね。また、高齢になると、洗髪が1週間に1度という方もおられますが、衛生面からも清潔を保つようにされると良いと思います。