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平松 幸治 院長の独自取材記事

平松内科クリニック

(名古屋市緑区/相生山駅)

最終更新日:2021/10/12

平松幸治院長 平松内科クリニック main

地下鉄桜通線相生山駅から車で約7分、「医療法人平松内科クリニック」は、閑静な住宅街の中に溶け込むアンティーク調の外観が目を惹くクリニック。院長の平松幸治先生が心がけているのは、「病気や具合の悪いところを部分的に診るのではなく、患者さんの全体を診ること」。西洋医学と東洋医学(漢方)のそれぞれの良さを取り入れた治療が特徴だ。心療内科もあり、患者にとっては心の不調と体の不調を同時に多角的に診てもらえるのも、このクリニックの魅力の一つと言えるだろう。また、平松院長が特に大切にしているのが、がんの早期発見だ。日々患者の小さな変化を見逃さず、早期発見の努力を怠らない。2階のホールでは演奏会を開くなど、音楽を通して地域と繋がるユニークな取り組みを行う平松院長に話を聞いた。

(取材日2016年5月30日)

バランスの医学「漢方」を治療に取り入れて

治療に漢方を取り入れていらっしゃいますね。その魅力を教えてください。

平松幸治院長 平松内科クリニック1

同級生に薬剤師で漢方に強い人がいて、漢方について話を聞いたりしていました。ちょうど花粉症が騒がれ始めた頃、私も花粉症になってしまい、漢方を試してみたのです。すると、漢方は長く飲まないと効かないと思っていたのに、私の場合は即効性があってたいへん驚きました。しかも副作用を感じなかったので、「漢方って効くんだ!」と認識を新たにしたわけです。一言でいうと、漢方は「バランスの医学」です。漢方ではそのバランスを火と水に例えるのですが、火と水のバランスを比べて、実際に火が勝っている場合であっても、水が不足している場合であっても、どちらも火が勝っているように見えるわけです。それを加減するというのが漢方の考え方であり、そこが西洋医学にはない漢方の魅力といえますね。

愛知県がんセンター中央病院に勤務されていたそうですが、その頃はどんなことをお考えになっていましたか?

25年くらい前、愛知県がんセンター時代に、私は「まったくタバコを吸わない女性肺がん患者の背景はどうなっているのか」という研究をしました。わかったのは、そういう患者さんたちに、精神的にもつらいことがあったのだということでした。当時は、肺がんはタバコを吸う男性がなるものという考えが一般的でしたが、私は、がんになるのは、本当にタバコや遺伝だけなのか、そのほかに何か重要な素因がないかと研究していたのです。今でこそ、サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という学問が出てくるようになりましたが、その当時は学会で発表したら、皆さんキョトンとしていましたね(笑)。その頃から「疾患だけを診るのではなく、精神面まで含めてトータルに患者を診たい」という思いは強かったのです。

先生が一番力を入れている分野は何でしょうか?

平松幸治院長 平松内科クリニック2

がんの早期発見ですね。今は2人に1人ががんになる時代ですから、「あの病院にずっと通っていたのに、気づいたら、がんで手遅れだった」というのは、主治医として任されている以上、あってはならないと思います。早期発見のためには直感も大切にしていて、例えば患者さんがドアを開けて入ってくるところから、毎回よく観察するようにしています。いつもの患者さんと様子が違う、何かおかしいな、そういうことに気づくことが重要ですね。あとは、体の負担にならない検査ならば、少なくとも年1回はやっておくことを勧めています。それで毎回の変化をみながら、その変化がどうして起こったのか、がんによるものか、注意深くみていきます。やはりデータの積み重ねは大切ですよ。

2階の音楽ホールで地域との交流をはかる

医師になろうと思ったきっかけ、開業のいきさつを教えてください。

平松幸治院長 平松内科クリニック3

医者をしていたおじが、私の弟が高熱を出したときなどに様子を見に来てくれていて、その姿を見て「いいな」と思っていました。勉強熱心で、親切かつ丁寧で、尊敬できるおじだったのです。そんなおじの存在が、医者になろうと思ったきっかけですね。私はもともと中区の出身なのですが、大人になって引っ越した緑区で子どもが育っていくうちに、緑区がとても好きになりました。その頃は、まだ町も若くてこれからでしたから、ぜひ緑区で開業したいと思ったものでした。最近は患者さんの年齢層が上がり、内科的疾患以外に関節痛など整形分野の主訴も多く、介護の問題も考えなくてはならなくなりました。

クリニックの2階には音楽ホールがありますね。

このクリニックを設計してくれた設計士の先生が、ものすごく音楽好きで、ミュージシャンの知り合いも多い人だったのです。それで「ホールを作りませんか?」と言われ、調子に乗って作ってしまいました(笑)。実は私の趣味も楽器の演奏なのです。ピアノは幼稚園の頃から、バイオリンも20年くらいやっていて、ほかにギターも弾きます。ホールを作らなければ、建築費とか、維持費とかどれだけ楽だったかと思います(笑)。それでも年に1~2回は、プロの演奏家を呼んで演奏会を開き、地域の皆さんに楽しんでいただいています。皆さん毎年楽しみにしてくれているのがうれしいですね。

スタッフとのコミュニケーションで工夫されていることは?

平松幸治院長 平松内科クリニック4

面白おかしく、楽しくということでしょうか。食事会も多いですよ。月1回くらいは「ぶっちゃけ話」ができたらいいかなと思っています。非日常を味わうためにスタッフを連れてお芝居を観に行くこともあります。いわゆるプロではなく、アマチュアの劇団です。友人の奥さんが劇団員だったので、誘われたのがきっかけで観に行くようになりました。すぐ近くで熱演しているのを観るのは、心動くものがありますよ。それから、私はおいしいものが好きなので、名古屋でおいしいお店を見つけると、みんなで行くことも。そのほか毎年ボーリング大会もやるし、セミナーもやります。去年のセミナーは、腸内細菌の花壇ともいう「腸内フローラ」の話でした。

トータルな診療、がんの早期発見がテーマ

患者さんとのコミュニケーションのために心がけていることはありますか?

平松幸治院長 平松内科クリニック5

当クリニックでは、患者さんを診察室に呼ぶのは、私が直接やっています。看護士に呼んでもらうよりも、自分で呼んだ方が自分なりのいいペースが保てるのです。あくまで自分のベストな状態で患者さんと向き合いたいので、そのようにしています。また、今の患者さんはテレビの健康番組をよく見ているので、私も録画して全部見るようにしています。番組によっては、放送翌日には、その内容を質問をしない人はいないくらい、皆さんよくご覧になっていますからね。患者さんが興味を持って質問することに、よく答えてあげたいと思うので、録画した番組をお昼を食べながら見るようにしているんです。勤務医の娘に、「家に帰ってまでよく健康の番組を見るわね」と、あきれられています(笑)。

心療内科では、どのような患者さんが多いのですか?

圧倒的に人間関係でお悩みの方が多いですね。家族だったり、会社だったり。本当にケースバイケースで、画一的なものは何もありません。精神の病気だと思っていたけれど、体のバランスが悪いためにイライラしやすかったという例も、往々にしてありますね。だから脈を診たり、舌を診たりします。もちろん、漢方にも精神に作用する薬はたくさんあります。また、漢方は長期間かかるというのも、必ずしもあてはまりません。症状や疾患によっては、すぐ効果が出る場合もあるのです。西洋医学が悪いものをやっつけるというイメージならば、東洋医学は、悪いものに出ていってもらうという考え方が近いと思います。日本人には、東洋医学があっているような気がしますね。

これから特に取り組んでいきたいことはありますか?

平松幸治院長 平松内科クリニック6

より新しい診断学を取り入れていきたいと思っています。例えばCTでもMRIでも、先進の機器で負担が少なくやれる検査は、どんどんやっていきたいですね。がんがあれば早く見つけてあげたいのです。もう開業して22年になりますが、自分がずっと診てきた方が、残念ながら次々とがんになっていくという現状があります。胃がんの場合、早期発見なら胃の一部を取れば済みますが、遅れたら全摘出です。胃が半分でも残っている人と、全摘出の人では、術後の生活の質が全然違ってきますからね。皆さんも、かかりつけ医をつくって定期的に検診を受けることを、強くお勧めします。早期発見が大切ですよ。

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