ドライアイや眼精疲労
疲れ目と侮らず、眼科受診を
玉井眼科
(名古屋市西区/庄内緑地公園駅)
最終更新日:2021/10/14
- 保険診療
30〜50代の働き盛り世代は、自分の健康管理はさておき仕事にまい進しがちである。特に目に関しては、ほかの体の部位の不調より後回しになってはいないだろうか。その結果、自分でただの「疲れ目」と判断し、これぐらいは目薬で何とかしようと薬局で目薬を買い続けることになる。しかし実は、何か他の病気が「疲れ目」の症状として出ていることも考えられる。「疲れ目」の症状が長く続く場合、また少しの作業で疲れが出る場合など、おっくうがらずに眼科を訪れてはどうだろうか。目薬を買い続けるより、正しい診断で原因の発見と症状改善が見込まれ、生活の質の向上につながるはず。ベテラン医師である、玉井眼科の玉井直樹院長に、働く世代に多いドライアイ、眼精疲労について話を聞いた。
(取材日2016年10月21日)
目次
ドライアイや眼精疲労が全身の疾患の症状の一つである場合もあるため、長引く場合は眼科での検査を
- Q働く世代にドライアイや眼精疲労が増えていると言われています。
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A
ドライアイの症状として、目が疲れやすい、ショボショボ、ゴロゴロする、乾燥した感じがするなどがあります。眼精疲労は、眼疲労が進行したもので、目だけでなく肩こりや頭痛などいろいろなつらい身体症状が出てきます。ドライアイも眼精疲労も今では表裏一体ともいえ、パソコンを使うVDT(Visual Display Terminals)作業が増えたことの影響も大きいでしょう。いずれもその原因が単なる目の疲れなのか、体の病気の一つの症状なのか鑑別することが必要で、それは医師の役割になります。眼科では最初から眼精疲労と診断するのではなく、重大な病気はないと確認してから「眼精疲労です」という最終診断になるわけです。
- Qパソコンやスマホなどは目にどういう影響があるのでしょうか?
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A
パソコン作業では近くのディスプレイばかりを見続けることになります。眼球の水晶体の周りには毛様体筋という組織があり、ものを見るときにピントを合わせる働きをしていますが、毛様体筋は非常に小さい筋肉なので、長時間近くに焦点を合わせていると次第に疲労してしまいます。姿勢もずっと同じなので首や肩がこったり、頭痛が出たりしてきます。そうした状態からいきなり遠くを見たときに、ぼやっとして焦点が合うのに時間がかかることがありますが、目が、カメラでいうオートフォーカスの動きが悪い状態になっています。また過矯正といって度が強すぎる、または度の合わない眼鏡をしている人も眼精疲労を起こしやすいので注意が必要です。
- Q今の時代、パソコンを1日何時間もしている人は多いですね。
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A
目を見開いて作業しているため、瞬目といって瞬きが少なくなっています。目の表面が乾き、ドライアイを感じやすくなります。また光も問題で、本を読んだりノートに書いたりというのは、光が本やノートに当たって反射光が目に入るわけですが、ディスプレイだと発行体の光が直接目に入ります。太陽光のスペクトルは赤い色から紫色までに分かれていて、それらが混ざって白っぽく見えるのですが、ディスプレイの光は同じように白く見えても、人工の光ですからある特定の波長の光が多かったり少なかったりします。よく問題になっているのはブルーライト、青い光で、波長は短いのですがエネルギーが強く、それが目に疲労を起こしやすいのです。
- Q眼科ではどんな検査を受けるのでしょうか?
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A
眼精疲労の検査は5分でできます。患者さんは機械の中の指標を見て、ピントがぼけたところでスイッチを押すことを何回か繰り返すだけ。赤外線カメラが瞳孔の動きを拾い、データ化して反応の速さを見るんです。眼精疲労だと疲れで反応が鈍ります。ドライアイは、下まぶたのところに専用の紙をはさみ、涙の量を測ります。これも5分で済みます。眼科ではまず視力を確認することが基本中の基本。視力が保たれていれば、まず大きな病気の心配はないでしょう。内科で血圧を測るようなものです。受診すればそうした基本の検査も含めて確認できますから、安心ですよ。
- Qどういう症状になったら眼科に行くといいのでしょうか?
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やはり不快な症状が1ヵ月以上続くときは来院していただきたいですね。緑内障も、初期には目の疲れという症状から出る場合がありますし、何か他の疾患が隠れている場合もあります。重大な病気の場合、それが進行していくことがないともいえません。ドライアイだと思っていても、例えばシェーングレン症候群のような、涙が枯れてくるのが症状の一つである全身疾患の場合もあります。受診していただき、単なる疲れ目だったとしても、眼科ではその方の体質や生活に合った個別のアドバイスができると思います。