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玉井 直樹 院長の独自取材記事

玉井眼科

(名古屋市西区/庄内緑地公園駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄鶴舞線庄内緑地公園駅から徒歩4分ほど、上小田井の交差点近くのビル2階に「玉井眼科」はある。緑色の地に黄色の文字で医院名を掲げた看板が目印だ。1987年の開業から30年近く、玉井直樹院長は住民の健康を支えてきた。ときには目だけでなく、奥に隠れた腫瘍や重大な別の病気に気付くことも。「目は全身疾患の入口」と考える院長は「かかりつけ医として、長く患者さんを支え、寄り添っていくことが役割」と丁寧な問診、原因の追究に時間をかける。休日は講習会や勉強会に忙しく、目下の楽しみはインターネットで名作映画を観るぐらいだと教えてくれた。話しやすく親身な姿勢に、2代にわたって患者が訪れることもうなずける。
(取材日2016年6月8日)

患者は乳児から高齢者まで。緑内障もOCTで確実診断

まず開業に至る経緯について教えてください。

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私は藤田保健衛生大学卒業後、研修医として2年たった頃に大学院へ、修了後は名城病院に赴任し、3年余り勤めました。開業は1987年です。場所が少し奥まったところだったので、患者さんで不動産業の方が現在のビルを紹介してくれて1991年に引っ越してきました。眼科医の叔父がいるんですが、私が大学2年の頃、白内障の手術を見学させてくれたことがありました。初めて見る手術に、非常に細かいことをやるんだなと驚いた記憶があります。当時、整形外科にも興味があったのですが、結局眼科に決めたのは、その経験もあったからかもしれません。大学では、網膜剥離や子どもの斜視をよく診ていました。教授が白内障手術の大家でしたので、それ以外の疾患を診ることが必然的に多くなり、自然とそうなった感じです。もともとどんな患者さんにも対応できるよう、すべての疾患を診るつもりでやっていたので、勉強になりましたね。

患者さんはどんな方が来られるのでしょうか。

新生児から来られますよ。目やにや涙が続くという症状が多く、産婦人科や小児科から紹介されて来院されます。先天的な病気で、涙の通過する道が鼻への出口で塞がっている病気もありますし、それによって細菌感染が起こる涙嚢炎(るいのうえん)という病気もあります。高齢の方は白内障、緑内障、眼底疾患など。手術は以前は私が名城病院に出向いて執刀していましたが、今はやらず、名城病院の他、患者さんが希望されるところを紹介しています。術後はもちろん当院がフォローします。緑内障は40歳を超えると20人に1人の割合といわれ、健康診断で見つかることが多いですが、たまたま別の症状で来院されて診察でわかることもあります。コンタクトレンズの使用によるドライアイや疲れ目の症状は市販の目薬ですましている方もありますが、不快な症状が長く続くようであれば受診をお勧めします。

2015年に新しく機械を導入されたと伺いました。

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はい、新型のOCT(光干渉断層計)を入れました。緑内障の経過観察にも使っていますが、非常に役に立っています。以前は眼底や視神経の平面的な観察しかできなかったのですが、光学的な機械を使うことによって目の奥の断層撮影ができるようになり、疾患の理解が深まりました。眼科の診察にとって革命みたいなものです。これまでは病変の位置はわかりましたが、深さを見ることができなかった。この辺だろうという今までの類推も大体当たっていましたが、断層撮影で、どの深さに病変があるか一目瞭然になり、患者さんに早く正確に状態をお伝えすることができるようになりました。

話をよく聞き、しっかり診ることで腫瘍や難病も発見

診療で、目以外の病気もわかるのだそうですね。

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そうですね。糖尿病網膜症は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、ご本人が気づいておらず「糖尿病ですよ」と指摘すると「目を見てわかるんですか」と驚かれます。相当進んでいて、すぐ入院になった方もいました。また「目の近くに赤いできものができたがなかなか治らない」といらした方が、皮膚がんだったこともありました。検査をしていると、たまに腫瘍を見つけるんです。患者さんは目の訴えで来院されるんですが、どうもおかしいと考えて視野検査をすると、脳腫瘍の特徴的な視野欠損のパターンが出る。専門医に紹介すると、脳腫瘍が発見されたということも何例かありました。

重症な疾患が見つかるのですね。

そうなんです。原因が目以外に、頭部や脳の場合もあるわけです。動脈瘤だと破裂したら命に関わります。左右眼からの視神経が交差する奥に、脳下垂体といって大脳から垂れ下がってホルモンを分泌しているところがあるんですが、そこに腫瘍ができると目に症状が現れやすいのです。確実な診断はできないので、疑いが濃厚だということで紹介状を書きます。また重症筋無力症といって、まぶたが下がってくるとか、ものが二重に見える、目の動きが悪くなるなど、そういった患者さんも最初は眼科に来られることがあるんです。本当に意外な病気が見つかったりします。

第一次診療をするお立場として大事なことですね。

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原因は何か、診断をつけることが非常に重要になります。隠れた全身疾患を類推しないといけません。患者さんをよく診て、いつからどういう症状なのかきちんと話を聞く。基本的なことですが、問診が重要なんです。眼科は全身病の入口ともいえるわけです。小児科から依頼されたケースでは、10万人に2~3人という難病の方を発見しました。問診すると、その病気の特徴的な症状を話されるわけです。「すぐ検査を」と大学病院に依頼したらそのとおりでした。その小児科の先生方が「眼科でわかることが結構あるな。眼科にかけないといかんな」とおっしゃっていましたよ。その病気は有名なので頭の片隅に入っていました。どの眼科医でも全身疾患についての知識は持っているはずで、普段からの勉強も欠かせません。

町の開業医として患者に寄り添い、支えていく

毎日の診療の中で大切にされていることは。

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患者さんへの説明をわかりやすくすることを心がけています。もちろんできる限りのことはしますが、完全に治るわけではないこともあるので、それに対する不安や心配については特に丁寧にお伝えするようにしています。たまに大病院へ通院した後にセカンドオピニオンで来られる方がいますが、「治らないから来なくていい」など心ない言葉を投げかけられた経験も聞きます。大病院には大病院の役割があると思いますし、開業医としては、どんな患者さんも受け止め、慰め、支え、寄り添っていくというのが最終的な役割なのかなと考えています。糖尿病の重症の方で治療を続けるも失明した方がいて、その後も15年間診させていただきました。治すことはできないし、大した言葉もかけられませんが、かかりつけ医として寄り添っていきたいと思いました。

常に先生が寄り添ってくださると患者は心強いと思います。

中には「気のせいかもしれませんが」と来られる患者さんもあるんです。だから私は「気のせいじゃなく、何かおかしいと感じたから、来られたんでしょう」と話しかけます。他院で「異常がない」と言われて気のせいかもと不安そうにおっしゃるけど、患者さん自身が自分の体に何か異常を感じているんです。異常がないのではなくて、たまたま今見つからないだけかもしれない。時間をやりくりして来院された患者さんに、できるだけこたえなければいけないと思っています。だから遠慮しなくてもいいんですよ。完璧に解決できるかどうかはわかりませんが、できる限りこたえていく。常にそういう気持ちでいます。

開業されて30年近く、振り返っていかがでしょうか。

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最近では、子どもの頃から診ている患者さんが、お母さんになってお子さんを連れて通ってくれます。その子どもが久しぶりに会うと、またさらに大きくなっている。世代を越えてお付き合いできることはとてもうれしいですね。また開業した頃、私と同じぐらいの年だった患者さんが、近くの会社に勤務していて定年退職され、今も引き続き通ってきてくださるんです。白内障のほかの疾患もあり重症な症状だったのですが、良くなったり悪くなったりを繰り返し、さらに手術もされて、今は症状が落ち着いています。一時はどうなるかと思ったこともありましたが、最終的には信頼にこたえることができて、ほっとしています。その人の一生を見てきたようで、私も一緒に年をとったなあとしみじみ感じます。これまでもこれからも、患者さんの病気が良くなり笑顔で感謝されることが一番の喜びです。

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