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産婦人科から発信する
出産を通じたコミュニティデザイン

井上レディースクリニック

(立川市/西立川駅)

最終更新日:2021/10/12

井上レディースクリニック 産婦人科から発信する 出産を通じたコミュニティデザイン 井上レディースクリニック 産婦人科から発信する 出産を通じたコミュニティデザイン

お産は女性にとって、人生の一大イベントだ。家族が増え、また出産を機に、女性はさまざまな生き方の「扉」を開けて進むことになると話す「井上レディースクリニック」の井上裕子院長。出産を通しながらも、出産だけでなくあらゆる場面での女性たちの一生をサポートする、コミュニティデザインをつくりあげていきたいと語る。具体的にどんな活動を行っているのか、またそれはどのような思いでつくったのかなどを詳しく伺った。

(取材日2015年1月30日)

出産だけを手伝うのではなく、一生を通じたさまざまな人生の「扉」を開ける手伝いをするのが、私たちの役目

Q先生がお産を通して行っていきたいコミュニティとはどんなことですか?
A
井上レディースクリニック 4Dエコーを通して、おなかにいる時から子供の成長をうかがえる

▲4Dエコーを通して、おなかにいる時から子供の成長をうかがえる

当院が「マタニティークリニック」ではなく「レディースクリニック」としているのは、女性がお産を通して、新しい命を産み、子どもを育てていく意味や、親になることの意味を、1つずつ学んでいく場所だと思っているからです。それは、思春期から更年期、看取りに至るまで、一生を通して命のリレーをしていくことだと思っています。いくら計画的にお産をしても、うまくいかないことはいくらでもあります。3人に1人は、へその緒を巻いているし、破水から始まるお産もある。生まれてくる子が障害があるかもしれませんし、さまざまです。お産は女性にとって、人生の1つの「扉」であり、たくさんの扉を、その後も開けていかなくてはなりません。私たちは家庭医として、1つずつ「扉」を開けていく女性たちの健康をサポートし、出産をきっかけとしたコミュニティデザインをつくりあげてフォローしていきたいと考えています。

Q具体的にはどんな活動を行っているのですか?
A
井上レディースクリニック お産の後も、サポートとケアを大切にしている

▲お産の後も、サポートとケアを大切にしている

出産だけを手伝って終わりではなく、出産後のコミュニティづくりに力を入れています。具体的には「抱っこカフェ」と言って、当院で生まれた1歳のお子さんを持つお母さんたちが交流できるように、助産師の主催で、毎月第4日曜日の午後に開催しています。子どもが生まれて生活が変わり、育児で忙しく、日中1人きりになりがちなお母さんたちが、お茶を飲みながら、子連れで楽しくおしゃべりできる時間をつくっています。他にも、メディカルカフェ「オリビア」という、乳がんサバイバーの会も開催しています。歌手のオリビアニュートンジョンの名前からとっていて、自身が乳がんになり、その後啓発活動に力を入れているところから名付けました。現在女性の12人に1人は乳がんを患い、地域の中にも多くの乳がんサバイバーが生活しています。なかなか家族にわかってもらえない悩みや、つらさを話すことで、不安を解消して、生きていこうという前向きな意欲を持っていただけたらと思っています。

Q医院で行っている和痛分娩について教えてください。
A
井上レディースクリニック 幸せな出産に向け、不安なことを事前に知ることができる

▲幸せな出産に向け、不安なことを事前に知ることができる

日本では自然に産みたいと考えている女性が多いのですが、高齢出産が4人に1人いる時代です。当院でも40歳以上の高齢出産が多く、昔よりも痛みに弱い女性が増え、現実に考えると自然に産むということは、とても大変なことなのです。ただ、まったく無痛にしてしまうと、陣痛も感じなくなってしまうので、当院では硬膜外麻酔を使って陣痛をコントロールしながら、腰をさすったり、アロマテラピーや音楽を聴いたりして、痛みを和らげる「和痛分娩」を行っています。麻酔での分娩と聞くと、日本では聞き慣れないためか「大丈夫なのか?」といった風潮が根強く残っていますが、海外ではごく当たり前に行われている分娩方法です。和痛分娩における麻酔の知識を持っていただくために、定期的に「麻酔教室」を開き、リスクとベネフィットをしっかりと説明するようにしています。さまざまな出産方法があることを妊婦さんたちに学んでもらい、悩みながら選択してもらう、それも新たな「扉」を開けることの1つだと思っています。

Q今後どういったコミュニティデザインを作り上げていきたいですか?
A
井上レディースクリニック 生まれた子供の名前を一人ひとり記念樹に刻まれる

▲生まれた子供の名前を一人ひとり記念樹に刻まれる

医療の観点から「予防医学」を、積極的に取り入れていきたいですね。「生活習慣病にならないために」「更年期を少しでも和らげるために」など、病気になってから、クリニックに来て治療をするのではなく、そうならないためにはどうすればいいのかを、医師として女性たちに教えていきたいと思っています。また、当院で生まれた子どもたちが、虐待を受けたりしない様、明るく元気で友達思いの子に育つような「予防教育」ができたらすてきですよね。正しい医療情報や育て方の情報を提供し、お母さんたちが困ったときは、手厚いサポートが行えるように、常に側に寄り添った、コミュニティづくりをしていけたらと思っています。

ドクターからのメッセージ

井上裕子院長

当院は出産だけではなく、不妊治療や婦人科検診(特に乳がん検診)、緩和ケア、看取りまで、女性の一生を、医療と心の面からサポートできるのが、大きな強みです。めざしているのは、スタッフが「出産したい」と思えるクリニックづくりで、出産をきっかけとしたコミュニティから、人との関わりを学んでほしいと思っていますし、1人産んだら、もう1人産みたいと思えるような、コミュニティをつくりあげていきたいと考えています。そのために「扉」を開けるお母さんたちを独りぼっちにせず、いつでもアドバイスやサポートができる体制を整えています。行きつけのお店があるように、病気以外でも通える、行きつけの産婦人科があってもいいのではないでしょうか。

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