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井上 裕子 院長の独自取材記事

井上レディースクリニック

(立川市/西立川駅)

最終更新日:2021/10/12

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JR青梅線の西立川駅から徒歩7分の立川南通り沿いにある4階建てのビルが、「井上レディースクリニック」だ。1919年に祖父が開業した同院の3代目院長である井上裕子先生は、「女性のすべてに寄り添うことをめざすクリニック」をコンセプトに、婦人科検診から不妊治療、出産、婦人科の診療、さらには心理的なサポートなどまで、女性の病気や悩みに幅広く対応している。「婦人科から始まるコミュニティデザインをめざしているんです」と優しい笑顔で語る井上院長に、同院のことや産婦人科の診療への思いを聞いた。

(取材日2019年6月14日)

女性のすべてに寄り添うことをめざすクリニック

クリニックを紹介していただけますか?

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当院では、分娩や妊婦健診などから乳腺の外来などの婦人科、不妊治療まで、女性のすべてに寄り添う診療をめざし、「女性総合診療科」をコンセプトにしています。それだけ女性が、出産以外のことでも産婦人科にかかるんですね。そして今は、大きな病院は急性期と高度医療を必要とする患者さんを診て、それ以外の患者さんを開業医が診るようになってきていますが、そのような中で女性のさまざまなニーズに応えるクリニックとして診療をしていきたいと考えています。現代は少子超高齢化社会で、年間に約86万人が生まれる中で137万人以上が亡くなっています。国は、高齢者の在宅医療を進めていますが、65歳以上の一人暮らしは増加傾向にあります。つまり、家族と一緒に闘病して、看取ってもらうということが、普通ではなくなってきているんです。そのような社会の中で私は、婦人科から始まるコミュニティーデザインをめざしています。

それは、どのようなことでしょうか?

具体的には、軽い病気は相談してもらう。がんなど大きな病気になったら、対応できる病院に紹介状を書いて、手術を受けてもらう。手術が終わったら帰ってきてもらって、当院で診る。手術の必要のない病気は、当院で診る。つまり、最高のプライマリケアとターミナルケアをめざしているんです。今、妊婦さんたちに、どんなお産をしたいのかを事前に聞く「バースプラン」という活動をしています。そして現在国は、「アドバンスケアプランニング」、人生会議と言って、人生の最後をどのように迎えたいかを事前に家族などと話し合っておくことを勧めています。つまり、子どもができる前から妊娠がしやすい体をつくるための講演会などをして、妊娠をして、出産をする時にはバースプランを考え、その後の子育て、更年期の乗り切り方、亡くなり方までを、その人に寄り添って一緒に歩んでいく。それが、かかりつけ医だと思うのです。

もう少し詳しく教えてください。

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例えば、高齢者についてですが、長寿社会に関するNPO法人をしているある弁護士が、高齢者には「金・筋・近」が大切だと話していました。老後のお金をちゃんとためなさい。筋肉をつけなさい。近所の遊び友達をつくりなさいということなのですが、なるほどなと思います。自分のお金は自分で稼がないといけないですし、歩けなくなったら認知症も増えますから、筋肉をつけないといけない。でも筋肉は一晩ではつきませんから、若いうちから毎日歩くなど、健康を意識した生活をしないといけない。そして、しゃべる機会がない高齢者も多いですから、ちょっとお茶を飲みにいくことができるような友人をつくる。このようなことの啓発や、高齢者だけでなくすべての女性の人生に関わるあらゆることの啓発や機会の提供、サポートをしていきたいのです。

婦人科のがん検診にも力を入れる

そのために、どのようなことに取り組んでいるのですか?

その一環としてこの1月、当院の隣に企業主導型保育所とカフェ、女性専用のフィットネスジムが入った女性のためのコミュニティビルをオープンしたんです。例えば、現在は乳がんで亡くなる方は本当に減りました。そして今、「がんリハ」、すなわち「がんのリハビリテーション」が広まりつつあるのですが、手術で乳房切除をすると肩が凝ったり背中が痛くなったりしますし、血圧が高いから運動をしましょうと言われた方や、出産で太ってしまった方は引き締めないと骨盤がゆがむことにつながり、肩こりや腰痛の原因にもなります。現在は、スポーツジムがたくさんありますが、それらのことに対して利用ができるフィットネスジムが必要だということでつくりました。カフェは、女性が一人でも気軽に来られて、リラックスできるということをコンセプトにつくりました。

婦人科のがん検診については、いかがでしょうか?

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乳がん検診や子宮がん検診にももちろん力を入れています。それらのがんの検診の受診率は、海外では80%以上の国もあるのに対して日本は30〜40%といわれています。そして乳がんは遺伝も関係していて、当院で診ていると母親、祖母も乳がんの既往がある方も多いんです。そして、特に乳がん検診は、日本人はデンスブレストとも呼ばれる高濃度乳房が多いのに、それには不向きなマンモグラフィ検査が多く、超音波検査がなかなか普及していないと感じています。マンモグラフィで要精密検査となって、病院へ精密検査を受けたら、良性の嚢胞だから治療は必要ありませんと言われる。でも、最初からマンモグラフィと超音波検査の両方をしていれば、その場でがんではないことがすぐにわかる確率が高くなるんです。当院では、もちろんその両方を行っています。

乳腺の診療にも対応しているのですね。

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はい。当院を受診した人には、「乳がん検診を受けていますか」と、かなりしつこく聞いています(笑)。そのため当院の乳がん検診の受診率は、70〜80%で、これまで何十人も乳がんを見つけてきました。そして、乳がんのほかにも、子宮がんや子宮頸がんなども20代の発症は珍しくありません。性交経験のある女性や、不正出血・月経不順のある女性は必ず1年に1回は子宮がん検診を受けましょう。早期発見の決め手は検診ですから、定期的に検診を受けることが大切です。

助産師による子育てのメール相談も

出産についても、教えていただけますか?

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出産では、心を込めた感動的なお産を心がけています。立ち会い分娩はもちろん、帝王切開でも立ち会いをお勧めしています。そして通常出産では、痛みを和らげた和痛分娩を行っています。当院では麻酔科の医師が硬膜外麻酔を行うことで、安全面に最大限、配慮しています。あとは、急な帝王切開にも対応しています。術後は、経腟分娩のママと同じようにすぐに母子愛着形成ができるよう心がけています。術後も痛み止めを使いますので回復も早いです。あとは、帝王切開や出産後に傷を縫合するのにも気をつけていて、傷が少しでもきれいになるように心がけています。私以外の医師にも、自分の奥さんや家族だと思って縫合しなさいと話しています。

子育て支援もしているそうですね。

今は、お産をして1年以内の母親が亡くなる一番多い理由が自殺なんです。お産をして幸せだったけど、その後に育児で悩んでしまうんですね。現代の日本には、食べ物も教育もあるのに、お母さんが自ら命を絶ってしまうんです。ですから、国は育児のサポートをしようと言っていますが、具体的なものはなかなか出てきませんし、保健所や児童相談所も、人員の問題などもあって、なかなか機能してないのが現状です。そこで当院では、助産師たちにスマートフォンを持たせて、メール相談ができるようにしてあります。専用のメールアドレスを登録してもらって、4ヵ月前に生んだけど夜泣きがひどくてとか、おっぱいが出ない、眠れないなど、育児に関することを相談できるようにしてあります。そして、それでも解決しない場合には、臨床心理士もいますので、その方に対応してもらう体制も整えています。

最後にメッセージをお願いします。

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私も立川で生まれ育ったのですが、その立川で生活をしていく中で、女性の皆さんのかかりつけのクリニックとして、いろいろなアイテムやコンセプトをこれからも提供していきたいと思っています。そして、年齢が高くなると治らない病気も多くなってきますが、当院にかかって、私たちと関わっていくことによって、少しでも元気に頑張って生きていきたくなるような、そんな元気の素を、処方できたら良いなと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

乳がん検診(マンモグラフィ・超音波検査併用)/1万2000円~、子宮がん検診/8000円~、不妊治療(人工授精の場合)/1万7500円、すべて税抜表示

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