通院が困難でも医療を受けられる
訪問診療
田中医院
(練馬区/石神井公園駅)
最終更新日:2022/05/25
- 保険診療
高齢化が進む中、慢性疾患を抱えながら通院困難になった患者や、自宅での終末医療を望む患者と家族を支える、訪問診療のニーズが高まっている。一方で、どのような医療を受けられるのか、通院するよりも不便なのではないかなど、具体的な内容がわからず利用をためらっている人もいるのではないだろうか。今回は、東京都練馬区で近隣の医療・介護従事者と連携しながら訪問診療を行っている「田中医院」の田中康之院長に、訪問診療についてわかりやすく解説してもらった。
(取材日2021年5月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問診療とは何ですか? 往診とはどう違うのでしょうか?
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A
患者さんのご自宅で医師や看護師などが医療行為を行うことを「在宅医療」といい、このうち医師が定期的に患者さんのご自宅を訪問して診療することを「訪問診療」といいます。「往診」との違いを質問されることも多いのですが、訪問診療が月2回程度、事前に約束した日時に定期的かつ計画的に訪問するのに対して、往診では病状が悪化した場合などに患者さんやご家族からの依頼を受け、医師がその都度、診察に出向きます。ただし、訪問診療を受けている方も具合が悪いときはいつでも相談できますし、必要に応じて往診や入院先の手配などをしてもらえます。また、ご自宅ではなく、有料老人ホームなど施設への訪問診療も可能です。
- Qどのような診療を受けられるのでしょうか?
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A
慢性疾患の管理の確認、症状のチェックなどが中心です。具体的には全身状態の診察に加え、点滴や注射、薬剤の処方、膀胱留置カテーテル管理、経管栄養や中心静脈栄養の管理、在宅酸素療法、心臓ペースメーカーの管理、胸水・腹水などの穿刺・廃液、気管切開後の管理といった医療処置に対応できます。また、血液検査や尿検査、心電図などの検査も可能です。一般的に月2回の訪問が多いようですが、患者さんの状態に応じて訪問診療計画を立て、必要に応じて2回以上訪問することもあります。
- Q費用はどれくらいかかるのでしょうか?
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A
通常の外来受診と同様に、健康保険が適用となります。費用は、1割負担か3割負担かでも変わりますので、ご相談ください。しかし、治療内容や使用機器、処方する薬や訪問回数などによっても費用は変わります。注射や検査を行った場合や、医療行為によっては指導料や管理料が加算される場合もありますので、詳しい内容は医師に確認しましょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師が患者の自宅に到着
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医師が決められたスケジュールで患者の自宅を訪問。同院の場合、訪問回数は月2回が基本で、隔週で決まった曜日に訪問することが多いとのこと。最初に顔を合わせたとき、患者の顔に笑顔があるかどうかが状態を知る大切なポイントだという。
- 2問診を行い、病状や生活状況などを把握
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慢性疾患の症状を聞くだけでなく、「食欲はありますか?」などと患者の生活状況についても尋ね、トータルに診察していく。患者がリラックスして診察を受けられるよう、世間話に花を咲かせることもあるのだそう。
- 3触診のほか、バイタルチェックや検査を行う
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顔や体に直接触れ、痛みや変化がないかを確認。さらに、体温、血圧、酸素飽和度、心拍などのバイタルチェック、必要に応じて検査を実施。同院の訪問診療では血液検査や尿検査のほか、超音波や心電図などの検査も可能。検査の数値だけでなく、患者の顔色や表情、動作にも注意を払い、病状の変化を見逃さないようにしている。
- 4診療の内容を本人・家族と共有
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検査結果を含め、当日の診察内容を患者本人・家族と共有。病状の変化や今後の治療計画などを伝えるだけでなく、本人や家族の話にも耳を傾け、心配や不安感を和らげるよう努めている。次回の訪問時間などを確認し、訪問終了。患者の状態にもよるが、訪問診療は1回30分程。