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田中 康之 院長の独自取材記事

田中医院

(練馬区/石神井公園駅)

最終更新日:2022/05/27

田中康之院長 田中医院 main

1966年の開業以来、55年にわたって地域医療を支えてきた「田中医院」。石神井公園駅から車で約10分の閑静な住宅地に位置する同院は、一人ひとりの患者と丁寧に向き合う診療スタイルで、地域の高齢者を中心に幅広い世代の患者からの信頼を集めている。2013年から院長を務める田中康之先生は日本循環器学会循環器専門医で、東京慈恵会医科大学附属病院などで研鑽を積んだキャリアの持ち主。心不全や狭心症、不整脈、心臓弁膜症など心疾患の診断・治療を得意とする一方、大学病院では総合内科診療を行う医局に所属し、内科全般を幅広く診療してきたという。「地域の一診療所として、必要な医療につなぐゲートキーパーの役割を果たしていきたい」と話す田中院長に、診療の特徴や今後の展望などについて聞いた。

(取材日2021年5月18日/情報更新日2022年5月25日)

地域の一診療所として、ゲートキーパーの役割を担う

歴史のあるクリニックだそうですね。

田中康之院長 田中医院1

私の父が1966年に開業しましたので、もう55年になります。私は東京慈恵会医科大学附属病院や富士市立中央病院などに勤務していましたが、2008年頃から当院でも診療するようになり、2013年に院長職を引き継ぎました。患者さんには父の代から通ってくださっている地域のご高齢の方が多いのですが、最近は20〜40代くらいのお勤めの方や、ママさんパパさんたちもよく来院されています。また、私が循環器専門ということで、池袋や多摩など遠方から足を運んでくださる方もいらっしゃいます。

クリニックの特色を教えてください。

父が内科医でしたので、父の背中を見て育った私も自然と内科医をめざすようになりました。専門は循環器内科ですが、内科全般を診療できるようになりたいと考えて、大学病院では総合内科診療が可能な医局に入局し、循環器だけでなく消化器、呼吸器、血液、神経など、さまざまな疾患の患者さんの診療を経験してきました。ですから、風邪など急性期の症状から生活習慣病、精神的なストレスについての相談まで、内科疾患に幅広く対応できるのが当院の強みであり、問診や診察、検査などから病状を見極めて必要な医療につなげる、地域のゲートキーパーの役割を果たしていきたいと思っています。

内科の中でも循環器を専門に選ばれたのはなぜでしょうか?

田中康之院長 田中医院2

循環器疾患である心筋梗塞や心不全、狭心症などを発症した患者さんは、入院されるときは生命の危険が高い状態でとてもおつらそうなのですが、血管の詰まりを取り除いていくための適切な投薬や治療で病状の改善が見込めます。循環器疾患のシンプルでダイナミックな治療に魅力を感じましたし、何より治療を終えて元気に退院されていく患者さんの笑顔を見られることにやりがいを感じていました。また、現在、日本で死亡者数が最も多い病気はがんですが、第2位は心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気です。心筋梗塞は突然死の原因にもなりますし、急性期を乗り越えても後遺症が残ることもあります。高齢化が進み「人生100年時代」といわれる今、循環器疾患を中心に地域医療を提供することで、地域の皆さんが人生の最期まで、生き生きと自分らしい毎日を過ごせるようサポートしていければと思っています。

循環器領域の専門的な治療・検査に加え、訪問診療も

循環器疾患はどのように診療していらっしゃいますか?

田中康之院長 田中医院3

循環器疾患は、血管が老化現象を起こして硬くなってしまう動脈硬化症と大きく関わっています。当院では動脈硬化症の診療の一環として、心電図はもちろんのこと、必要に応じて頸動脈の硬化の評価や、手と足の血圧を同時に測るなどの検査を行っています。最近では眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群も、動脈硬化症の危険因子の一つと考えられています。直ちに命に影響するわけではありませんが、早期発見、早期治療が健康への何よりの近道です。当院では、外部委託で簡易型の睡眠時無呼吸症候群検査を行っており、患者さん一人ひとりの症状に応じた治療や、生活習慣のアドバイスをすることも可能です。

特に力を入れている疾患はありますか?

先ほど、日本の死亡者数の第2位が心臓の病気とお話ししましたが、中でも多いのが心不全です。心不全は、一般的に「心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、それがだんだんと悪化していくことで、生命を縮める病気」と定義されています。一言で心不全といっても、狭心症や不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞といった心疾患や、高血圧をはじめとする生活習慣病、腎臓病などの心臓以外の病気、加齢など、原因は多岐にわたります。また、例えば心臓の収縮力は保たれていても拡張力が低下しているタイプなど、いくつか種類がありますので、問診・診察に加えてエックス線や心臓エコー、心電図、採血などの検査を行い、患者さん一人ひとりに合った治療を行っています。

外来だけでなく、訪問診療も行っておられるそうですね。

田中康之院長 田中医院4

はい。通院が困難になった方や自宅で最期を迎えたいという希望を持つ方を対象に、月2回、ご自宅を訪問して診察や検査を行っています。私が当院の診療に携わり始めた当時は訪問診療を行っている医療機関は少なかったと思いますが、この地域も高齢化も進み、訪問診療のニーズは高まっていると感じます。実は循環器の領域では近年、心不全の緩和ケアが注目されています。緩和ケアにはがんというイメージがあるかもしれませんが、完治が難しいという点では心不全も同じです。心不全は一般的に症状の悪化と改善を繰り返しながら徐々に心機能が低下し、重症化すると安静時でも息切れや動悸が起こって日常生活に支障を来すようになります。しかし、適切な治療やケアを行うことで生活の質を維持でき、健康寿命を延ばすことにもつながります。循環器内科の専門家として、今後は訪問診療の一環として心不全の患者さんの緩和ケアにも取り組んでいければと考えています。

感染症対策を講じて安心・安全な診療環境を追求

診療の際に心がけていることを教えてください。

田中康之院長 田中医院5

患者さんのお話をじっくり伺い、丁寧でわかりやすく説明することです。先端の治療であっても、患者さんの日常生活が苦しくなってしまうような治療は、良い治療とはいえません。患者さんの生活の質を損なわない治療を提供するためにも、病気や体のことだけでなく、精神的なお悩みや不安なども気軽にご相談ができるような関係を築き、患者さんに納得していただける診療を行っていきたいと思っています。

外来に訪問診療にと忙しい毎日の中、どのようにリフレッシュされていますか?

息子や妻と過ごす家族の時間が私の楽しみでもあり、エネルギー源でもあります。中学校3年生になる息子は反抗期を迎えたようで、歯を磨きなさいや、夜遅くまで起きていないで早く寝なさいなど、小さなことでよくけんかになるのですが、休日には一緒に出かけることもあります。私自身は幼かった頃に見た、患者さんから「良くなりました。ありがとうございます」という言葉を頂いた時の父の笑顔がとても印象に残っていて、それが医師になるきっかけになったのですが、息子には好きなことにチャレンジしながら自分の進む道を選んでいってほしいと思っています。

最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

田中康之院長 田中医院6

医師が私一人という体制が続き、手いっぱいになる面もありましたが、月1回、消化器内科の医師に外来をお願いするなど、診療を拡充するための準備を少しずつ整えています。今後は薬物療法だけでなく、食事の塩分やカロリーを制限する栄養指導や、全身の筋肉量を増やして心臓の病気の病状改善と生活の質の向上をめざす心臓リハビリテーションにも取り組んでいきたいです。また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、院内に簡易体温測定装置を設置し、換気や消毒を行うなど感染症対策を講じています。院内の混雑緩和のため、予約制を導入し、事前のお電話や、来院時に次回の予約を取っていただいて院内の混雑を回避し、院内滞在時間短縮のため受診日には必要な検査や診察をなるべくまとめて行うなどの配慮をしています。これからも、安心・安全な診療環境を整えることに努め、近隣の医療・介護従事者の皆さんと連携しながら地域医療に貢献していきます。

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