花岡 芳雄 院長、花岡 啓子 先生、門阪 真知子 先生、花岡 紗知子 さんの独自取材記事
吉祥寺通り花岡クリニック
(三鷹市/吉祥寺駅)
最終更新日:2022/10/31
吉祥寺駅からバスに乗り6分ほどの場所にある「吉祥寺通り花岡クリニック」。花岡芳雄院長と妻の花岡啓子先生が1998年に開業して以来、心療内科を中心に患者の心と体の不調に向き合っている。閑静な住宅街の中にあり、まるで誰かの家を訪ねたような温かい雰囲気のあるクリニックだ。2019年には長女で管理栄養士の花岡紗知子さんが、2020年には次女で日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である門阪真知子先生が加わり、生活の基本である「快食・快眠・快便」をあらゆる面からサポートするための体制を整えた。外科を専門とする芳雄院長と内科を専門とする啓子先生が、なぜ心療内科に注目しているのか。また家族で診療を行うメリットについても話を聞いた。
(取材日2020年11月7日/更新日2022年10月10日)
家族でめざす、より精密な診断と多角的なアプローチ
開業から20年以上、こちらの場所で診療をされているのですね。
【芳雄院長】私と妻の啓子先生でこの場所に開業したのが、1998年のことです。私は外科、啓子先生は内科が専門ですが、開業時より心療内科の診療にもあたってきました。今も患者さんの多くは心療内科を受診される方。遠方から足を運んでくださる患者さんもとても多いんです。開業時の設計やレイアウトは啓子先生が進めたんですよ。
【啓子先生】「ほっとリラックスできるクリニック」をテーマに、内装は木のぬくもりを生かしました。この辺りは住宅街ですし、心身の不調があればどなたでも気軽にいらしていただけるように。この想いは今も変わりません。管理栄養士の長女と消化器内科医の次女が加わり、さらに幅広いアプローチが可能になりました。
ご家族4人の、それぞれのご専門について教えてください。
【芳雄院長】外科・整形外科は私が診察しています。心療内科の患者さんには「痛み」を訴える方も多く、理学療法が必要なことも多いんです。
【啓子先生】心療内科の患者さんは院長も私も診ていますが、女性の医師を希望された際は私が対応しています。頭痛のお悩みで来院される方もいらっしゃいますね。
【真知子先生】大規模病院で培った経験を生かし、がんや感染症など器質的な問題を見逃さないのが私の役目です。心療内科についても勉強中です。
【紗知子さん】生活習慣病の患者さんに対し、管理栄養士として食生活や運動の指導を行っています。糖尿病などは栄養バランスを整えることが大切ですが、それによって心の状態にまで良い影響を与えるケースもあると考えているんですよ。
これまでの診療から変わった点はありますか。
【芳雄院長】より精密な診断が可能になり、患者さんに多角的なアプローチができるようになりました。心の診断だけをして器質的疾患を見逃してはいけませんからね。真知子先生は都立駒込病院で重篤な症例にも対応してきました。シビアな目を持っていますし判断力にも信頼を置いています。とても心強い存在だと感じているんですよ。管理栄養士の知識と対応は、患者さんの健康管理に大いに役立っています。生活習慣病とストレスには密接な関係があるのですが、医師が説明しても患者さんには響かないこともあります。管理栄養士が具体的な食事提案をすることで、患者さんは「身近なもの」として取り入れてくれやすいんです。紗知子さんは目標設定が実に上手。患者さんにも無理をさせず、着実に健康な体に近づけるためのサポートをしてくれます。
信頼関係を大切にし「全人的に診る」診療スタイル
院長と啓子先生は、なぜ心療内科に注目されたのですか?
【芳雄院長】私たちの学生時代は「心と体のつながり」について学ぶ機会は少なかったんです。ですが診療の現場では器質的疾患の治療が終わったのに、なぜか体調がすぐれない患者さんもいらっしゃる。私生活でもストレスから体調を崩される方に接し「体だけではなく、心のケアが必要なのだ」と私も啓子先生も強く感じました。外科の患者さんの中にも、つらい心理的要因が背景にある方もいらっしゃるんですよ。医学的に必要のない手術を何度も受ける「ポリサージェリー」にも心の問題が関係しています。
医院にはストレスをケアするための施設が併設されているんですね。
【啓子先生】ストレスに対するセルフコントロールの方法を知っていただく場所です。公認心理師によるカウンセリングに基づき、自分を見つめ落ち着いた状態を取り戻すことをめざした訓練を提供しています。
心療内科と精神科の違いを教えてください。
【啓子先生】心療内科というと、多くの方は「精神科より抵抗なくかかれるところ」と感じているのではないかと思いますが、役割が異なります。心の病気や行動障害を診る精神科に対し、心療内科はストレスによって発症した内科疾患を取り扱います。心療内科の症状の多くは自律神経の不調から現れるのですが、患者さんご自身ではわからないこともあるでしょう。当院では初診時に説明用のチラシを用意し、精神科の専門家にお願いしたほうがよい場合には、ご紹介することもあります。患者さんにとってベストな診療を考えた対応に努めています。
診療の際に心がけていることはありますか?
【芳雄院長】信頼関係をとても大切にしています。初診の際は皆さん緊張して来られますが、信頼関係が生まれると笑顔で帰っていくようになるんです。特に心療内科ではプライバシーを気にする患者さんもいらっしゃいます。内科・外科・整形外科と心療内科の当院内での連携、また医師も管理栄養士も家族だという点は、患者さんにとっての安心につながるのではないでしょうか。
【啓子先生】生活環境やこれまでの人生まですべて含めて患者さんを診ています。「全人的に診療していく」という本来の心療内科の在り方です。心と体は密接につながっているもの。生き方や考え方の癖があって、器質的疾患が覆いかぶさって不調として現れると考えているのです。それを1つずつクリアして前に進めるようにサポートをしていくのが、私たちの基本姿勢です。
快食・快眠・快便をサポートする「街のお医者さん」
ご家族で医院を営まれるメリットは何でしょうか。
【紗知子さん】お互いに相談しやすく連携をとりやすいことが、まず挙げられます。時にはプライベートの一家だんらんの場で、先生にアドバイスをもらうこともあるんですよ。患者さんからすると、私や真知子先生が「娘」ということで親近感を持ってくださるようです。皆さん何かしらの不安や痛みがあって来院されますから、それで打ち解けてくださるのはうれしいことですね。
【真知子先生】私は両親に憧れて医師になったのですが、院長と啓子先生の診療への向き合い方を見ることで、より一層尊敬の念が強くなりました。細部まで配慮が行き届いているのは「さすがだな」と思います。紗知子さんの栄養指導や患者さんへの接し方にも、とても勉強になる部分が多いです。フランクに相談しあえて強い信頼関係で結ばれているのが家族。家族でチーム医療に取り組めるのは素晴らしいことだと実感しています。
今後の展望をお聞かせください。
【芳雄院長】患者さんとの信頼関係を大切にし、頼ってもらえるクリニックであり続けたいです。「過去にどんなことがあろうとも、私は今のあなたの味方なんだ」というスタンスで、心を込めて診療していきたいですね。真知子先生と紗知子さんにもこれから活躍してもらえるよう、診療内容や医療機器の充実も図っていきたいです。その一環として2021年には新たな内視鏡を導入し、より専門的な検査が可能になる予定です。
【啓子先生】開業以来、心身の不調は何でも相談できる「街のお医者さん」をめざしています。この辺りは子どもの頃から慣れ親しんだ場所。緑も多く、きれいでいい街だなあと今も感じています。これからもこの街で、皆さんの健康管理のお手伝いをしていきたいと思っています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
【啓子先生】生活の基本は「快食・快眠・快便」。当たり前の行動に思われがちですが、ここにいろいろな意味が含まれているんです。当院は家族4人体制になったことで、栄養管理・心療内科・消化器内科と、まさに「快食・快眠・快便」のトータル的な対応が可能になりました。もし皆さんが「快食・快眠・快便」ができていないなと感じたら、心身のバランスが崩れているのかもしれません。もう一つ、私は患者さんのストーリーを大切にしているんです。人生には良い時もあれば悪い時もある。でも最終的には、患者さん自身が前向きになれるかどうかが大事。大丈夫、必ず自分の足で立てますから。ご自身の力を信じてくださいね。