内視鏡検査に対する不安を軽減
地域における受診率アップを図る
横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック 鶴見院
(横浜市鶴見区/鶴見駅)
最終更新日:2024/06/13


- 保険診療
内視鏡検査の目的は、消化器がんの早期発見、早期治療の実現。胃の内視鏡検査では先端にカメラが装着された管を口あるいは鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を観察。大腸内視鏡検査においては肛門から管を挿入する。検査の特性上、内視鏡検査に対して、抵抗感を示す人は少なくない。その代表的な理由は、検査時に伴う痛み、苦しさの他、忙しいから時間を確保できない、面倒くさい、専門クリニックが近くにない、なども挙げられるという。「当院がめざすのは不安のある方や忙しい方であっても受診しやすい内視鏡専門クリニックです」と話すのは、「横浜わたなべ消化器内科・内視鏡クリニック 鶴見院」の石部敦士院長。同院の内視鏡検査の流れや「地域から消化器がんで苦しむ人をゼロにしたい」という石部院長の熱い想いをレポートした。
(取材日2024年5月24日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査とはどのような検査なのでしょうか?
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A
内視鏡検査には胃の内視鏡検査と大腸内視鏡検査があります。胃の内視鏡検査ではカメラを口から挿入して食道や胃、十二指腸の状態を確認。胃がんや食道がんなどの早期発見に有用です。口から入れるのが苦手な人は、経鼻による方法も選択できます。一方、大腸内視鏡検査では、肛門からカメラを挿入して大腸粘膜の状態を観察。大腸がんや大腸ポリープなどの有無を調べますが、若い世代の間でも増加傾向にあるのが、潰瘍性大腸炎で、こうした炎症の有無も確認できます。検査時間の目安は胃の内視鏡検査だと1時間ほど、大腸内視鏡検査の所要時間は下剤服用を含めて4時間半程度です。どちらの検査においても、鎮静剤の使用が可能です。
- Qどのような症状があれば大腸内視鏡検査を受けるべきでしょう。
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A
大腸内視鏡検査を推奨したい症状の代表的なものは、腹痛、腹部の張り、下痢、便秘、細い便や血便などです。切れ痔の罹患者が血便を伴った場合、一般内科で痔治療薬の処方にとどまるケースが散見されます。その血便が痔によるものではなく、大腸がんのサインである可能性があるので注意が必要です。昨今さまざまなメディアを通じて、大腸がんが増えているという情報を耳にする機会もあるのではないでしょうか。そうした状況下においても、まだ検査を受けたことがないという人は大勢います。気になる症状があれば一度検査で現状を確認することをお勧めします。2年続けて検査し、異常所見がなければ2~3年おきの受診を案内されるのが一般的です。
- Q痛みが不安という人にはどのように配慮していますか?
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A
内視鏡検査における一番の不安は、検査時に伴う痛みです。当院では、胃と大腸、いずれの内視鏡検査においても鎮静剤の使用を推奨しており、眠ったような状態で検査を受けていただきます。また、当院で導入している新型の内視鏡システムは、従来のシステムに比べて検査時間を短縮できるので、患者さんの負担軽減につながります。ただ、検査には肉体的な痛みだけでなく、不安や恐怖といった心的な負担も伴いますから、スタッフによる、心的ストレスを和らげるためこまやかなコミュニケーションも重要です。検査前に「不安なことはないですか?」検査後には「お疲れさまでした。大丈夫でしたか?」など、こまめな声かけも行っていきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査に関する事前説明
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同院ではウェブで検査予約を受けつけている。院内で予約が確認されると、患者あてに確認メールが届く仕組みだ。メールには内視鏡検査内容の説明動画のURLが記載され、患者は一度も受診することなく検査に関わる情報をインプットできる。検査当日はまず、医師による口頭説明が行われる。気になる箇所があれば組織の一部を採取し、病理検査を行うことなども伝えられる。不明箇所がなく納得したら、患者は同意書に署名する。
- 2検査準備
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胃の内視鏡検査が午前中の場合は、前日20時までに夕食を済ませる。検査の1時間前まで水などの水分摂取は可能。大腸内視鏡検査では、正確な検査を行うために事前に腸内をきれいにしておく。同院では前日の3食は消化の良い検査食を推奨。検査食がない場合は、動画に従って消化の良いものを取るのが望ましい。当日の水分摂取は胃の検査と同様、検査の1時間前まで。血糖降下剤を服用している場合は検査当日の服用を中断する。
- 3患者の不安軽減を図り、内視鏡検査スタート
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内視鏡検査における患者の不安は何かというと、大腸内視鏡検査の場合、事前の下剤服用が大きな心的ストレスになっているという。そのため同院では院内にトイレつきの個室を備え、下剤服用時に生じる心配事はすぐにスタッフに相談できる環境を整備。いよいよ検査が始まったら、検査時に伴う苦痛も大きな不安要素であるため、胃、大腸いずれの内視鏡検査においても鎮静剤の使用を推奨。眠っているような状態の中で検査が行われる。
- 4検査後の流れ
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検査終了後は、ストレッチャーに寝たまま、リカバリールームへ移動。検査時に鎮静剤を使用した場合は、鎮静が覚めるまで休憩し、手元のナースコールで覚めたことをスタッフに知らせる。その後は落ち着いた雰囲気の院内カフェに移動。ホテルライクで落ち着いた色調でまとめられたじゅうたん敷きの空間には高級感のある家具が配され、ドリンクサービスも利用可能。ゆっくりとくつろぎながら体を休めることができる。
- 5検査結果の報告
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院内カフェで過ごした後、診察室へ移動。診察室では画像をモニターに映して所見を提示。検査結果に基づいた症状や、治療の要否について説明が行われる。検査中に組織を採取し病理検査を行った場合は、検査からおよそ2週間後に結果がわかる。同院の場合、検査結果の報告は再来院して直接話を聞く以外に、患者の負担軽減を図りオンライン診療で結果を知らせる選択肢も用意されている。