日帰り可能で痛みにも配慮
前立腺針生検でがんの早期発見をめざす
つるたクリニック眼科・泌尿器科
(名古屋市北区/黒川駅)
最終更新日:2025/10/22
- 保険診療
前立腺がんは自覚症状が少ない病気であるため、50歳を過ぎた男性は健康診断などの血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を調べることが推奨されている。この数値で異常が出た際に行う精密検査の一つとして、「前立腺針生検」がある。前立腺に直接針を刺して細胞を調べる検査と聞くと、不安を感じる人も少なくないだろう。この検査は1泊2日の入院で行うこともあるが、「つるたクリニック眼科・泌尿器科」では日帰りで実施をしている。今回は日本泌尿器科学会泌尿器科専門医である鶴田勝久院長に、検査の具体的な内容や痛みへ配慮するための取り組み、そして万が一がんが見つかった際の対応まで、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年10月1日)
目次
がんを特定するための最終検査。前立腺針生検をすぐに実施することはないので、まずは気軽に相談を
- Q日帰りの前立腺針生検について教えてください。
-
A
▲日帰りで検査ができるため忙しい人でも受診しやすい
前立腺針生検は、針を刺して前立腺の組織を採取し、がん細胞の有無を調べる組織検査です。一般的に、血液検査でPSAの数値が高く出た場合に検討される精密検査の一つです。この検査には、肛門から針を挿入する「経直腸生検」と、陰嚢と肛門の間の皮膚から行う「経会陰生検」の2種類があります。当院では経直腸生検に比べて出血や感染のリスクが低い経会陰生検を採用しており、低用量の脊椎麻酔を用いて実施しています。検査自体は約20分、準備を含め約1時間で終了します。その後、麻酔の作用がなくなるまで3時間ほどリカバリー室で休んでいただきます。検査後は当日中の帰宅が可能です。
- Q痛みなどはありますか?
-
A
▲検査では麻酔を使用するなど、痛みへの配慮がされている
当院で採用している経会陰生検は、感染症などのリスクが少ないというメリットがある一方で、皮膚に針を刺すために痛みを感じやすいというデメリットがあります。そこで当院は、痛みをコントロールするために低用量の脊椎麻酔、つまり背中から腰骨と腰骨の間に打つ麻酔注射を用いて検査します。脊椎麻酔を行う際も、極めて細い注射針で皮膚に麻酔をしてから行うなど、検査全体を通して痛みを感じにくいように配慮しています。検査終了後も院内で安静にしていただき、体調を確認しながらご帰宅いただきます。
- Qどのような方が検査の対象でしょうか?
-
A
▲検査後のリカバリー室
前立腺針生検の対象となるのは、健康診断などで受けたPSA値が4.0ng/mL以上の方です。ただし、PSA値が高いからといってすぐに生検が必要なわけではありません。当院でさらに詳しく診察をさせていただき、必要に応じて超音波検査やMRI検査などを実施して慎重に判断します。全身状態が悪い方や抗凝固薬を中止できない方などは、合併症のリスクを考慮し、入院設備のある病院での検査をお勧めすることがあります。必要に応じて主治医と相談しながら進めていきますので、ご安心ください。
- Q検査後の注意点はありますか?
-
A
▲検査について説明をする鶴田院長
検査後の注意点としては、主に3点挙げられます。まず、血尿が出ることがありますが、これは針生検によるもので、通常は問題ありません。次に、まれに細菌感染による発熱などの症状が出ることがありますが、検査中は点滴で抗生剤を投与し、検査後は内服薬を処方して、感染予防を徹底しています。最後に、前立腺のむくみにより一時的に尿が出にくくなることがあります。この場合は必要に応じて尿道カテーテルを挿入することもありますが、多くの方は帰宅までに自然に排尿できるようになります。検査当日は安静にしていただき、翌日からは通常の生活に戻れることがほとんどですが、激しい運動は数日間控えてください。
- Q結果が出るまでの期間と、その後の対応について教えてください。
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A
▲検査後の病院連携や、定期的な経過観察もしっかりと行っていく
検査結果が出るまでの期間は10日〜2週間程度です。もし前立腺がんと診断された場合は、当院から総合病院をご紹介し、手術や放射線治療などの専門的な治療を受けていただくことになります。私は日本泌尿器科学会泌尿器科専門医として、大学病院などで前立腺がんの手術に携わってきたので、治療方法などを具体的にご説明できます。不明点や不安なことがあれば何でも聞いてください。患者さんにとってより良い選択ができるようサポートいたします。また、総合病院での治療後も、定期的なPSA値のチェックや経過観察を当院で行うことが可能です。泌尿器科専門医だからこその視点で、丁寧にフォローしていきます。

