7番目の歯に影響を与える親知らず
口腔外科で抜くメリットとは
いかわデンタルクリニック豊田
(日野市/豊田駅)
最終更新日:2023/06/16


- 保険診療
上下の奥に最大で4本生える親知らず。抜くかどうかを迷う読者も多いのではないだろうか。痛みや腫れの有無で抜歯の必要性を考える患者も多いが、「いかわデンタルクリニック豊田」の井川浩海院長は「親知らずの隣にある7番目の歯への影響を考えてほしい」と話す。親知らずは汚れがたまりやすく、その細菌が7番目の歯に影響すると、神経まで菌が到達してしまったり骨が溶けてしまったりするリスクがあるそうだ。口腔外科の分野で医学博士を取得し、大学病院では全身麻酔を伴う難症例にも数多く携わってきた井川院長。痛みの軽減を図るため、麻酔薬の選定や注射の方法にも工夫を凝らす。今回は井川院長に、口腔外科と一般歯科の違いも含め、親知らずの抜歯について話を聞いた。
(取材日2023年3月16日)
目次
ほかの歯にも影響を及ぼす恐れのある親知らず。痛み軽減のための工夫や、口腔外科で抜くメリットとは
- Q親知らずは抜いたほうが良いのでしょうか?
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A
▲口腔外科を経験してきた歯科医師の目線から話す
私は抜くことをお勧めします。その大きな理由は、親知らずの前にある7番目の歯への影響です。また親知らずが原因で食いしばりや顎関節症の症状が出てくることもあるんですよ。10代から20代の骨の状態がやわらかいうちに抜歯をすると良いでしょう。若い方は傷の治りが早い傾向にあります。抜歯後は腫れますから、社会人になると仕事への影響も考えなくてはなりませんからね。親知らずは最大4本ですが、生える本数は人それぞれで、4本すべて生えてくる方もいれば、まったく生えてこない方もいらっしゃいます。ただ生えてきた場合はそこに汚れがたまりやすくなりますから、一度でも腫れて「親知らずかな」と思ったら来院してほしいですね。
- Q7番目の歯への影響について詳しく教えてください。
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A
▲親知らずが周りの歯にもたらす影響について話す
虫歯や歯周病などさまざまな影響があります。先ほど「親知らずは汚れがたまりやすい」と話しましたが、7番目の歯に横向きに歯が当たることによって細菌が溜まり虫歯になった場合、すぐに神経に到達してしまうケースが多いんです。さらに親知らずの細菌感染から周囲の歯も溶けていきますから、隣である7番目の歯を支える骨はとても影響を受けやすい。親知らずというと、親知らずそのものの痛みに目が向きがちですが、実は7番目の歯への影響が大きいのです。親知らずの抜歯をするかどうか検討する際には、ぜひ7番目の歯への影響を考えてほしいと思います。
- Q口腔外科と一般歯科で抜くことに違いはありますか?
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A
▲口腔内の構造を把握し、どのようなリスクがあるかを伝える
口腔外科の歯科医師は抜歯のリスクについて熟知しており、その対処法も経験を通じて身につけています。たとえまれなリスクであってもきちんと説明できるかどうかで、患者さんの安心感も変わるのではないでしょうか。私は大学病院で、全身麻酔の経験や全身麻酔を伴うような抜歯の難症例およびインプラントに関する骨再生の研究にも携わってきました。患者さんの質問にはすべてお答えできるように心がけています。治療機器も口腔外科に携わってきたからこその視点で選び、例えばお口が開きにくい方にも対応できるような機器をそろえています。口腔外科の歯科医師が持つ知識と経験が、親知らずの抜歯時にも生かされるのではないかと思います。
- Q痛みに対して不安があります。
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A
▲不安を払拭するため痛みが少ない処置を心がける
上の親知らずの場合、骨の密度がやわらかいので痛みをあまり感じない方も多いです。ですが下の親知らず、特に横に生えていたり骨にしっかり埋まっていたりするケースですと、痛みや腫れはどうしても起こってしまいます。私はさまざまな親知らずのパターンを診てきましたので、抜歯方法やその後に起こるであろう経過を事前にお伝えできます。痛みには個人差がありますので完全になくすことはできません。ですができるだけ患者さんが痛みを感じないよう、麻酔の薬剤も選定し、注射方法にも工夫を凝らしています。またリスク軽減のため、短時間で抜き終えるよう努めています。
- Qこちらのクリニックで抜く際の注意事項などはありますか?
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A
▲抜歯の際に短時間で対応できるよう使用する器具にも配慮
手順を踏んでから抜歯に進みますので、当院では検査当日にそのまま抜歯を行うことはありません。まずは症状の原因が親知らずなのかどうかを、検査結果から確認します。また腫れだけでなく痛みも生じている場合、抗菌薬などで症状の抑制を図らなくてはなりません。それからクリーニングで細菌や汚れをきれいに除去します。口を大きく開けられるかどうかのチェックも必要ですね。親知らずの抜歯に対するイメージは人によって異なりますし、生え方もそれぞれですから、事前説明の時間もしっかり取っています。ただし他院からのご紹介の場合はこの限りではなく、相談しながら進めていきます。