定期的に受けたい胃、大腸の内視鏡検査
早期発見から早期治療へ
やながわ内科クリニック
(大阪市城東区/野江駅)
最終更新日:2025/01/16


- 保険診療
胃や大腸の内視鏡検査を行うクリニックは年々増えており、大きな病院まで行かなくても身近な場所で検査が受られるようになってきた。実際に、健康診断の結果を踏まえて内視鏡検査を勧められたり、親族の病歴から「検査を受けたほうがよいかな」と気にしている、という人は多いだろう。特に、胃がんや大腸がんの早期発見には内視鏡検査が有用であるが、「体内にカメラを入れるのがつらそうだから」、「忙しくて時間がとれないから」などの理由で、後回しにしている場合も少なくない。そこで、大学病院で内視鏡検査・治療に携わってきた「やながわ内科クリニック」の柳川雅人院長に、内視鏡検査にはどのようなメリットがあるのか、なぜ早期発見が重要なのか、検査をためらう人の心にも響く言葉で語ってもらった。
(取材日2021年6月6日)
目次
身近にあるクリニックで定期的に受けたい内視鏡検査。胃がんや大腸がんの早期発見に有用
- Q内視鏡検査では、どのようなことがわかるのですか。
-
A
▲清潔感のある院内
胃の内視鏡検査では、胃がんや胃潰瘍の有無を確認することができます。また、胃の粘膜がピロリ菌に長く感染していると、慢性的な胃炎の状態から胃がんになりやすいのですが、ピロリ菌がいるかどうかは、内視鏡で胃の粘膜を観察すればある程度わかりますし、粘膜を採取して判定することもできます。それから大腸内視鏡検査は、主に大腸がんや、大腸がんに変化することのある大腸ポリープの有無を調べる目的で行われます。小さなポリープであれば、検査中に切除することも可能です。なお、胃腸症状を訴えることが多い機能性ディスペプシアや過敏性大腸炎などは、内視鏡検査で胃や腸に特別な所見のないことが、判断基準の一つにもなるのです。
- Qどのような年代の人が、検査を受けるべきですか?
-
A
▲充実の院内設備
胃、腸ともに、40代になったらまず1回は内視鏡検査を受けてほしいと思います。40代では、それ以前に比べてがんになる可能性が高くなってきます。大腸がんはこれまでの診療経験からも、40代に入ると患者さんがぐっと増える印象を持っています。ですから便潜血検査で異常があれば、必ず内視鏡検査を受けてほしいですね。胃も、ピロリ菌の感染歴があったり、胃がんの家族歴がある方は、40歳前後で一度検査を受けたほうがよいでしょう。親がピロリ菌に感染していると、多くの場合子どもも感染しているので、がんが増える年代に入る前に検査を受けて、感染の有無を調べることが大切です。
- Q急いで検査を受けたほうがよい症状はありますか?
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A
▲検査前の更衣室も用意
実は、内視鏡検査で発見したいがんの初期段階では、自覚症状はほとんどありません。だからこそ、症状がなくても内視鏡検査を定期的に受けてほしいのです。実際の診療では、胃であれば胃の痛みや胸やけ、食べ物の詰まった感じなどがあって、検査を考える方が多いです。腸であれば「便が出たときに便器が出血で赤くなった」という訴えが多いです。胃の症状は逆流性食道炎や胃潰瘍からきていることが多いですし、腸のほうは大半は肛門部からの出血です。しかし、これらの症状をきっかけに内視鏡検査を受けて、初期の胃がんや大腸がんが見つかることも多いので、検査を受ける一つの動機にしてもらえればよいと思います。
- Q検査を受けずに放置するリスクについて教えてください。
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A
▲内視鏡検査室
胃がんや大腸がんは、自覚症状がほぼない、ステージ1と呼ばれるごく初期の段階で発見できれば、内視鏡による切除のみで済む場合がほとんどです。また内視鏡切除のみであれば治療期間も短いですし、術後の痛みや合併症、薬の副作用の心配もほとんどないので、治療後はそれ以前と変わらない生活に戻りやすいのです。しかしステージ1を過ぎて進行してしまうと、開腹手術や抗がん剤治療などの大がかりな治療が必要になり、治療後も以前のような生活に戻るのはかなり難しくなってしまいます。受けるべき検査を受けないと、命に関わる可能性がありますし、治療後も「元の生活」には戻りにくくなることが大きなリスクだといえます。
- Qだから、定期的な検査が重要になるのですね。
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A
▲モニターを見ながらの検査受診が可能だ
そうです。がんを早期で発見し治療ができれば治癒も見込めること、それを過ぎて進行がんになると治療に苦労する場合が多いので、定期的な検査が必要であることをぜひ知ってほしいと思います。もちろん、必要な検査の間隔は人によって異なり、前回の検査でがんがなくても疑わしい所見があれば最短で3ヵ月、逆にピロリ菌感染のないきれいな胃で、胃がんの家族歴もないような方では、数年間空けることもあります。まずは1回検査を受けて今の状態を確認してほしいですし、その後も「早期発見」から「早期治療」、そして元の生活へ、という好ましいサイクルをイメージしながら、定期的に検査を受け続けてほしいと思います。