患者とその家族に寄り添い
訪問診療によって必要な医療を提供
椿クリニック
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2025/06/09


- 保険診療
患者の自宅を定期的に訪問し、必要な医療を提供する訪問診療は、年齢・性別・疾患を問わず、通院が困難になった人のための医療だ。健康管理のほか、各種検査や経管栄養のチューブ交換、薬の処方など、受けられることの幅は広い。高津区を拠点とする「椿クリニック」では、エックス線や超音波などの各種検査機器を備え、基本的には医師・看護師・ドライバーの3人体制で訪問。診療内容は患者や家族の意向を確認しながら決めていく。今回は野中勇志院長に、実際の訪問診療の流れを取材させてもらった。
(取材日2025年1月22日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問診療では、どのような診療が受けられるのでしょうか?
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A
健康管理をはじめ、各種検査や経管栄養のチューブ交換、薬の処方、必要があれば輸血も可能です。当院では血液検査のほかに、エックス線、超音波、心電図などの各種検査機器を備え、基本的には医師・看護師・ドライバーの3人体制でお伺いしています。訪問診療にエックス線検査を導入しているクリニックは少ないかと思いますが、エックス線があることで、肺炎や心不全、腸閉塞などの検査や、腰痛を訴える患者さんの骨の状態を診ることも可能です。入院が必要と判断すれば、設備の整った医療機関への紹介もいたします。また当院では、私がこれまで消化器外科で末期がんの患者さんを診てきた経験から、緩和ケアにも力を入れています。
- Q自宅に来てもらうとなると、費用が高額になるのではないですか?
-
A
そんなことはありません。保険が適用されますし、健康保険の自己負担限度額の上限額も決まっています。ただし、患者さんの健康状態により使用する薬剤や医療機器に違いがありますし、年齢や負担割合によって負担上限額は異なります。疑問やご不明点があれば事前にご相談ください。薬の処方箋はご自宅でお渡ししますので、近くの調剤薬局で薬をもらってくるか、もしくは当院が連携する薬局から薬の配送や服薬指導をしてもらうことも可能です。
- Q先生が、訪問診療の際に心がけていることをお聞かせください。
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A
患者さんにリラックスしてもらえるように、できるだけいつもどおりに過ごしていただきながら診療しています。また、在宅医療ではご家族の支えや協力が必要となるため、患者さん本人だけでなく、ご家族とのコミュニケーションも欠かせません。患者さん本人とご家族、双方から話を聞くことを大切にしています。薬の管理や座薬投与などをご家族にお願いすることもあるのですが、ご家族の負担はできるだけ少なくし、なるべく私たちで完結できる方法を考えます。どんなときも「患者さまファースト」の信念で、患者さんとご家族の希望を重視した治療を行えるよう心がけています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1患者の家族やケアマネジャーが訪問診療を依頼
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患者本人や家族、もしくはケアマネジャーが、電話やホームページから依頼。近隣の病院から患者が退院した際、その後の自宅での緩和ケアを依頼されることも多い。受付担当者は、患者や家族側の疑問や不安な点をヒアリングした上で、後日、患者宅での打ち合わせ日時を決める。
- 2医師と家族が話し合い、診療方針を決定
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医師が患者の自宅を訪問し、患者本人および家族との打ち合わせを行う。患者の病状を把握し、患者と家族がどのような治療やケアを望むのかを確認した上で、在宅医療の方針を決定。訪問のスケジュールや回数については、患者の病状や希望に合わせて設定する。患者と家族が診療計画に同意したら契約締結となり、診療開始。
- 3訪問診療がスタート
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決められたスケジュールに沿って、基本的には医師・看護師・ドライバーの3人体制で患者の自宅を訪問。患者はベッドに横になったまま、もしくは無理のない体勢で医師の診察を受ける。心音や呼吸の状態を確認し、血圧・脈・体温も計測するなどして、まずは患者の健康状態をチェック。問診では、前回訪問時からの変化や現在の体調で気になるところ、痛みの有無などを聞いていく。
- 4必要に応じて検査や測定を実施
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同院では血液検査のほかに、エックス線、超音波、心電図などの各種検査機器を備えている。患者から痛みの訴えがある場合には、当日や後日にエックス線や超音波検査を行うこともある。肺炎や心不全、腸閉塞などの検査のほか、腰痛を訴える患者の骨の状態を診ることも可能だ。検査や問診の結果を踏まえて、必要な投薬など治療を行っていく。
- 5患者の家族や、地域の医療・福祉ともしっかり連携
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診療を終えたら、医師やスタッフ、患者の家族、また状況に応じて地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーともしっかりと情報を共有。患者が高齢の場合は認知機能が低下しているケースもあるため、同院では患者本人だけでなく家族からも話を聞くようにしているという。また、介護をする家族からの、日常生活における相談にも応じている。