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野中 勇志 院長の独自取材記事

椿クリニック

(川崎市高津区/溝の口駅)

最終更新日:2020/07/09

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2020年4月に開院した在宅医療専門の「椿クリニック」は、高齢者を中心とした通院が困難になった患者のもとへ24時間365日駆けつけている。院長の野中勇志先生は、救急科や外科の最前線で重篤な患者と向き合ってきた経験を生かし、日頃の体調管理から末期がんの緩和ケアまで幅広く対応。外来と遜色ない在宅医療をめざして必要な機器をそろえ、入院が必要になった場合に備え近隣病院と連携するなど、常に患者のことを思い尽力している。生まれも育ちも高津区という野中院長は穏やかで優しい口調でありながら、「医師として人を救いたい、助けたい」という強い想いが言葉の端々からにじみ出る。そんな野中院長に、診療方針や在宅医療専門クリニックを開業しようと思ったきっかけなどを聞いた。
(取材日2020年6月29日)

地域への貢献を志し、在宅医療専門クリニックを開院

先生がこのエリアに開業しようと思った理由を聞かせてください。

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高津区は私が生まれ育った場所です。開業にあたってエリアは悩んだのですが、自分の地元に貢献することが、仕事をする上で最も大きなモチベーションになるだろうと思ったのです。クリニック名は川崎市の市民の木に指定されており、「控えめな優しさ」という花言葉を持つ椿の花にちなんで命名しました。高津区には当院以外にも在宅医療に対応するクリニックが多くあるので、ニーズはあるだろうと思いました。また、私は在宅医療の中でも緩和ケアに注力したいと考えています。この近辺にはがん患者さんを診る大きな病院がたくさんあるので、そこと連携することで、在宅での緩和ケアを必要とする患者さんをサポートできるだろうとも思いました。

こちらは在宅医療専門クリニックということですが、具体的にどんな患者さんを診ているのですか?

通院が困難になった、もしくは困難になることが予想される患者さんが対象です。当院では対象を高齢者に限定しているわけではありませんが、実際には高齢の患者さんが多くの割合を占めています。一般的には月に2回程度患者さんを訪問しますが、病状や患者さんの要望に応じて回数やスケジュールなど柔軟に対応します。訪問予定日ではない日に急に体調が悪くなったら、往診に行くこともあります。患者さんから直接問い合わせがある場合は、「腰痛で動けなくなったから訪問してほしい」という相談が多いですね。大きな病院から、末期がん患者さんの自宅での緩和ケアを依頼されることもあります。私は消化器を専門にしており、特に大腸がんなどの消化器がんの診療経験を積んできました。多くのがん患者さんと向き合い、手術から緩和ケアまで、がんに関わるさまざまな医療に取り組みました。その経験が、消化器がん患者さんの緩和ケアを行う際に生かされています。

24時間365日対応しているそうですね。

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在宅医療を提供するにあたって、それは当然のことだと思っています。もともと病院の救急科に勤務していた頃から、24時間患者さんを受け入れるのは当然だと思っていました。患者さんやご家族は、「具合が悪いのですが、どうしたらいいでしょうか」と私に電話してくるのですが、夜間や休日に「すぐに自宅に来てほしい」とは言いにくいこともあると思うんです。ですので、私は患者さんやご家族から連絡があったときは、必ず自分から「今からそちらに行きましょうか」と言うようにしています。フットワークが軽いのが、私の強みだと思っていますので(笑)。今後は患者さんの数をもっと増やしていきたいですね。

救急科や外科での経験を生かし、がん緩和ケアにも対応

救急の現場や外科を経験なさったそうですが、なぜ在宅医療専門クリニックを開業しようと思ったのですか?

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研修中にいろいろな科を回る中で、自分にはまだ足りないものが多いことを痛感しました。一人前の医師になるためにもより多くの経験を積みたい、そしてどんなときでも患者さんを助けられる医師になりたいという思いが強くなり、そのためには救急科に進むべきだと思いました。救急科に勤務していた頃は三次救急といって、特に重篤な患者さんが運ばれてくる現場にいました。さらにその後は、外科のスキルを高めるために静岡医療センターと関東中央病院の消化器外科に勤務し、がんに関わるさまざまな医療に取り組みました。そんな毎日を過ごす中で、世田谷区で在宅医療に携わっている先輩医師と出会い、在宅医療を経験しました。そこで、在宅医療のように患者さんの自宅に伺うというスタイルは、外来で患者さんを待っているよりも自分に合っていると思ったのです。また、在宅での診療は私がこれまで熱意を注いできた救急の現場に似ている部分があると感じました。

救急の現場と在宅での診療が似ていると感じた理由は何でしょう?

在宅での診療は、限られたスペースと医療資源で診療するという難しさがあります。外来のように自分の専門とする疾患の患者さんだけが訪れ、整った医療環境の中で診療できるわけでありません。救急も同じで、環境が完璧には整っていない状況で患者さんを診るのです。どんな症状の患者さんが来るかわかりませんし、そもそも何の疾患なのか診断さえできていないところから対処するわけです。環境が整わない中で、患者さんの状態に合わせて最善の医療を提供する。これが救急医療と在宅医療に共通する部分だと思います。そしてその難しさが、仕事をする上での大きなやりがいになっています。

緩和ケアに注力したいと考えた理由を聞かせてください。

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これまで病院に勤務する中で、多くの末期がん患者さんと接してきました。患者さんは最期は自分の家で過ごしたいと望むことが多いのですが、ご家族の不安や負担が大きいため、やむを得ず病院で最期を迎えるという方も少なくはありません。しかし私は、最期くらいは自分の好きなところで過ごしていただきたいという気持ちがあるのです。私が在宅医療を提供することでその願いを実現できるなら、ぜひ力になりたいと思いました。在宅での緩和ケアは、薬を使った痛みのコントロールがメインになります。最期は食事や薬の服用が難しくなる患者さんもいるので、そういう場合は点滴で栄養を補給したり、飲み薬以外の薬を処方したりするなどのサポートをします。

機器を充実させ、外来と遜色ない医療の提供をめざす

診療時に使用する各種機器を充実させているとか。

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外来と遜色ない医療を提供するために、必要だと思う機器は一通りそろえています。外来と同じように、採血検査、エックス線検査、超音波検査、心電図検査などの検査が実施できます。エックス線を在宅での診療に導入しているクリニックは少ないと思いますが、エックス線があると検査の幅が広がります。肺炎や心不全、腸閉塞の疑いがある患者さんを検査したり、腰痛を訴える患者さんの骨の状態を診たりすることができますから。検査の結果、入院が必要と判断すれば、当クリニックと連携している医療機関への紹介も可能です。

ご家族とのコミュニケーションも大切になさっているそうですね。

在宅医療はご家族の支えがないと成立しませんから、患者さん本人と同じぐらいご家族のケアは大切です。結局、われわれよりも長く患者さんと過ごすのはご家族ですからね。治療方針を決める際にはできるだけ、ご家族の負担が少なくなるよう配慮します。点滴が終わったら針を抜いてもらったり、薬の管理や座薬投与をご家族にお願いするケースもあるのですが、できるだけお願いする作業を減らして、われわれだけで完結できるような治療方針を考えます。ご家族にもそれぞれ生活がありますし、お仕事の都合などもあると思います。ただ治療を行うだけではなく、皆さんがストレスなく自宅で療養できるよう、ご本人とご家族の生活リズムも大切にします。

読者にメッセージをお願いします。

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どんなときも「患者さんファースト」の信念で、患者さんとご家族の希望を重視した治療を行います。もし絶対に手術を受けたくないと言うなら、受けずに済む方法を模索します。明らかに手術したほうが患者さんにとって良い場合は、丁寧に説明して納得いただいてから手術ができる病院を紹介します。外来では患者さんの生活までは見えませんが、自宅を訪問すると患者さんの生活や人生が見えることもあります。それによって、患者さんへの思い入れが強くなるんです。私は常に「患者さんが自分の家族だったらどうするか」と考えて診療しています。在宅医療は敷居が高いと思っている人もいるかもしれませんが、患者さんやご家族に合わせた診療を提供しますので、まずは気軽にご相談ください。

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