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野中 勇志 院長の独自取材記事

椿クリニック

(川崎市高津区/溝の口駅)

最終更新日:2025/05/14

野中勇志院長 椿クリニック main

通院が困難になった患者のもとへ24時間365日体制で駆けつけている、在宅医療専門の「椿クリニック」。野中勇志院長は、三次救急の現場などで重篤患者と向き合ってきた経験を生かし、日頃の体調管理から末期がんの緩和ケアまで幅広く対応。外来と遜色ない在宅医療をめざして必要な機器をそろえたり、入院が必要になった場合に備え近隣病院と連携したりするなど、常に患者のことを思い尽力している。生まれも育ちも川崎市高津区という野中院長。穏やかで優しい口調でありながら、「医師として人を救いたい、助けたい」という強い思いが言葉の端々からにじみ出る。そんな野中院長に、同院の強みや方針について聞いた。

(取材日2025年1月22日)

フットワークの軽さを生かし、年中無休の対応をめざす

こちらは在宅医療専門クリニックということですが、具体的にどんな患者さまを診ているのですか?

野中勇志院長 椿クリニック1

通院が困難になった、もしくは困難になることが予想される患者さまが対象です。当院では対象を高齢者に限定しているわけではありませんが、実際には高齢の患者さまが多くの割合を占めています。一般的には月に2回ほど患者さまを訪問しますが、病状や患者さまの要望に応じて柔軟な対応を心がけています。訪問予定日ではなくても、患者さまが急に体調を崩された際に往診に伺うこともありますね。患者さまから直接「腰痛で動けなくなったから訪問してほしい」などの相談を受けることも。大きな病院から、末期がん患者さまのご自宅での緩和ケアを依頼されることも多いです。

24時間365日対応しているそうですね。

在宅医療を提供するにあたって、それは当然のことだと思っています。患者さまやご家族は、「具合が悪いのですが、どうしたら良いでしょうか」と私に連絡されますが、夜間や休日に「すぐに家に来てほしい」とは言いにくいこともあると思うんです。ですので、私は患者さまやご家族から連絡があったときは、必ず自分から「今からそちらに行きましょうか」と確認しています。病院から急に退院が決まった患者さまへの訪問にもスムーズな対応を心がけていますし、フットワークが軽いのが当院の強みです。皮膚科や神経内科などそれぞれに専門知識を持つ医師と、和やかで優しいスタッフたち。総勢約20人が「患者さまファースト」の信念を胸に、24時間365日、患者さまとご家族のサポートに尽力しています。

どのような医療処置を受けられるのでしょうか?

野中勇志院長 椿クリニック2

各種検査や経管栄養のチューブ交換、必要があれば輸血も可能です。また、採血、エックス線検査、超音波検査、心電図検査など、持ち運びのできる検査機器を一通りそろえています。エックス線検査装置を在宅での診療に導入しているクリニックは少ないと思いますが、あると検査の幅が広がります。肺炎や心不全、腸閉塞などの検査をしたり、腰痛を訴える患者さまの骨の状態を診たりすることもできますから。検査の結果、入院が必要と判断すれば、設備の整った医療機関への紹介もいたします。

救急科や外科での経験を生かし、がん緩和ケアにも対応

救急科や外科での診療を経験されたそうですが、なぜ在宅医療専門クリニックを開業しようと思ったのですか?

野中勇志院長 椿クリニック3

研修中にいろいろな科を周る中で、自分にはまだ足りないものが多いことを痛感しました。「より多くの経験を積み、どんなときでも患者さまを助けられる医師になりたい」という思いが強くなり、そのためには救急科に進むべきだと思ったんです。救急科で携わったのは三次救急といって、特に重篤な患者さまが運ばれてくる現場。さらにその後は、外科のスキルを高めるために静岡医療センターと関東中央病院の消化器外科に勤務し、がんに関わるさまざまな医療に取り組みました。そんな毎日を過ごす中で、世田谷区で在宅医療に携わっている先輩医師と出会い、在宅医療に携わるようになりました。そこで、在宅医療のように患者さまのご自宅に伺うというスタイルは、外来で患者さまを待つよりも自分に合っていると思ったのです。また、在宅での診療は、私がこれまで情熱を注いできた救急の現場に似ている部分があると感じました。

救急の現場と在宅での診療が似ていると感じたのは、どのような部分でしょうか?

在宅での診療は、限られたスペースと医療資源で診療するという難しさがあります。外来のように自分の専門とする疾患の患者さまだけが訪れ、整った医療環境の中で診療できるわけでありません。救急の現場も同じで、環境が整っていない状況で患者さまを診るのです。どんな症状の患者さまが来るかわかりませんし、そもそも何の疾患なのか診断さえできていないところから対処するわけです。環境が整わない中で、患者さまの状態に合わせて最善の医療の提供をめざす。これが救急医療と在宅医療に共通する部分だと思います。そしてその難しさが、仕事をする上での大きなやりがいになっています。

緩和ケアに注力したいと思われた理由をお聞かせください。

野中勇志院長 椿クリニック4

これまで病院に勤務する中で、多くの末期がん患者さまと接してきました。「最期は自分の家で過ごしたい」と望む方が多いのですが、ご家族の不安や負担が大きいため、やむを得ず病院で最期を迎えるという方も少なくはありません。しかし私には、「最期くらいは望む所で過ごしていただきたい」という気持ちがあるのです。私が在宅医療を提供することでその願いを実現できるなら、ぜひ力になりたいと思いました。在宅での緩和ケアは痛みをコントロールするための投薬がメインになりますが、食事や薬の服用が難しくなった患者さまには、点滴で栄養を補給したり飲み薬以外の薬を処方したりするなどのサポートを行います。私は消化器がんの診療経験を積む中で多くのがん患者さまと向き合い、手術から緩和ケアまで、がんに関わるさまざまな医療に取り組みました。その経験が、消化器がん患者さまの緩和ケアを行う際に生かされています。

どんなときも「患者さまファースト」の信念を大切に

ご家族とのコミュニケーションも大切になさっているそうですね。

野中勇志院長 椿クリニック5

在宅医療はご家族の支えがないと成立しませんから、患者さま本人と同じぐらいご家族のケアは大切です。結局、私たちよりも長く患者さまと過ごすのはご家族ですからね。治療方針を決める際にはできるだけ、ご家族の負担が少なくなるよう配慮します。点滴が終わったら針を抜いてもらったり、薬の管理や座薬投与をご家族にお願いするケースもあるのですが、できるだけ私たちで完結するような治療方針を考えます。ご家族にもそれぞれ生活がありますし、お仕事の都合などもあると思います。ただ治療を行うだけではなく、皆さんがストレスなくご自宅で療養できるよう、ご本人とご家族の生活リズムも大切にしています。

ところで、先生はなぜこのエリアに開業しようと思ったのですか?

高津区は私が生まれ育った場所なんです。開業にあたってエリアは悩んだのですが、自分の地元に貢献することが、仕事をする上で最も大きなモチベーションになるだろうと思ったのです。クリニック名は「控えめな優しさ」という花言葉を持ち、川崎市の市民の木に指定されているツバキの花にちなんで命名しました。また、私は在宅医療の中でも緩和ケアに注力したいと考えています。この近辺にはがん患者さまを診る大きな病院がたくさんありますし、そちらと連携することで、在宅での緩和ケアを必要とする患者さまやご家族の力になっていきたいですね。

読者にメッセージをお願いします。

野中勇志院長 椿クリニック6

どんなときも「患者さまファースト」の信念をもとに、患者さまとご家族の希望を重視した治療に努めます。例えば、「絶対に手術を受けたくない」というならば受けずに済む方法を模索しますし、明らかに手術したほうが患者さまにとって良い場合は、丁寧に説明して納得していただいてから手術ができる病院を紹介します。外来で診療しているときと比べると、ご自宅を訪問すると患者さまの生活や人生が見えやすいと感じることもあります。それによって、患者さまへの思い入れが強くなるんです。私は常に「患者さまが自分の家族だったらどうするか」と考えて診療しています。在宅医療はハードルが高いと思っている人もいるかもしれませんが、患者さまやご家族に合わせた診療を提供しますので、まずは気軽にご相談ください。

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