うつ病と認知症の違いや精神疾患
精神科へ家族で相談のタイミング
相生山ほのぼのメモリークリニック
(名古屋市緑区/相生山駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
新型コロナウイルスの影響から働き方や環境が変化し、うつや不眠症などに悩む人が増えているという。人と会って話す機会が少なくなっているため、そういった悩みを相談する場も減り、ますます自分の殻に閉じこもってしまいがち。自分自身を追い込んでしまう前に、自ら医療機関で相談することが大切だろう。とはいえ、心療内科や精神科というのは、敷居が高く、どう話していいのかもわからないという人も少なくない。そんな中、気軽に相談できるクリニックとして2020年に開業したのは「相生山ほのぼのメモリークリニック」。院長の松永慎史先生は、日本精神神経学会精神科専門医で、大学病院での内科の診療経験もある。心と体の両方を総合的に診ている松永院長に、心療内科との付き合い方について聞いた。
(取材日2020年12月14日)
目次
我慢せず、まずは気軽に受診して。精神疾患と診断されても支援制度を利用して心の負担を減らすことが重要
- Q心療内科を受診するべきタイミングについて教えてください。
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A
心の病気は、どこからが病気という線引きが難しいのですが、気分が落ち込む、意欲が出ない、食欲が出ない、寝れないなどの症状以外にも、我慢強い人は頭痛、めまい、動悸、息苦しさなど、先に体に症状が出ることがあります。当院では内科疾患も診ていますので、体の症状だけでも遠慮なく受診してほしいと思います。身近にいる家族が気づいてあげられれば、受診を促したり、受診の前にまず家族が相談を受けてあげたりするのもいいでしょう。顔色や雰囲気がいつもと違うなども、心のSOSサインになるので、気をつけてあげたいですね。日常生活や社会生活に支障を来すというのが診断基準になるので、仕事でミスが増えたなども注意が必要です。
- Q最近、多いのはどんな病気ですか?
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A
うつ病やパニック障害の方が多いですね。老年精神科を標榜している関係で、高齢者のうつ病、妄想性障害、不眠症、自律神経失調症の方なども多いです。高齢者のうつ病というのは、認知症と重なっていることもありますが、認知症とは違う症状です。認知症の人が自分で認知症だ、と言うことは希ですが、高齢のうつ病では「私は認知症になってしまった、私は頭が働かなくなってきて弱っている、私はもう歳だから駄目だ」といった後ろ向きな発言が多いです。高齢者はうつ病から認知症を発症することも多いので、早めに診断をつけて治療することが肝心です。
- Q初診の際はどのような流れで診療が進んでいきますか?
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A
まずは心理士の問診をしてから医師が診察します。その後、必要であれば心理検査や血液検査、画像検査などをします。うつ病と診断されると、仕事のことや金銭面の心配をされる方が多くいらっしゃいます。病気の不安に加えて金銭的なことまでストレスの原因になるのは避けたいので、早い段階で自立支援医療や傷病手当など利用できる制度について説明するようにしています。そして、患者さんが病気になるとご家族も不安になりますから、できる限り丁寧にご家族にも説明をするように心がけています。
- Q福祉サービスの相談なども対応していただけるのですか?
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A
当院では、心理士や精神保健福祉士が常駐しています。心理士は各種心理検査、心理療法などを行い、精神保健福祉士は認知症、精神疾患、介護、福祉サービスに関する相談に対応しています。地域でどんなサービスがあるのかや、精神疾患に応じて使える行政の制度など、病気になってみないとわからないことも多いです。そういった制度を紹介し、精神障害者の自立・社会復帰をサポートします。また、かかりつけの他院の先生や地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護施設などと連携をとって包括的に患者さんをサポートしています。
- Q精神疾患の患者さんがいる家族が気をつけるべきことは?
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A
高齢者のうつ病の場合、自殺のリスクが高いといわれています。家族の方はそういったことも念頭に、何か異変がないか注意しながら見守ることが大切です。少しでもおかしいと思ったときは、受診してもらえればと思います。また、介護する家族も同様です。介護が長く続くと、肉体的、金銭的、時間的に余裕がなくなるので、介護者が孤立しないようなサポートが必要だと思います。当院では精神保健福祉士などが相談をお受けしますので、わからないことがあれば何でもご相談ください。安心して治療を続けるためにも、ぜひ支援制度を利用して、早めにサポートを受けていただきたいと思います。