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松永 慎史 院長の独自取材記事

相生山ほのぼのメモリークリニック

(名古屋市緑区/相生山駅)

最終更新日:2021/10/12

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相生山駅から徒歩5分の場所にある「相生山ほのぼのメモリークリニック」。2020年5月に開院したばかりの老年内科、内科、心療内科、老年精神科を標榜する、体と心を診るクリニックだ。院内は、暖かみのあるオレンジのインテリアでまとめられ、無数の丸いペンダントライトがほのかな明かりで待合室をほのぼのと照らしている。「心が病むと体も悪くなるように、心と体はつながっています。その両方を診られる使い勝手のいいクリニックをめざして開業しました」と話すのは、院長の松永慎史先生。藤田医科大学病院の老年精神科、内科での診療経験と認知症の研究を生かし、診療を行う。終始穏やかで、きっと高齢者にも優しいのだろうという印象の松永先生に、理想とする医療や開院の思いについて聞いた。

(取材日2020年12月14日)

認知症、内科・精神科を総合的に診る医師をめざして

精神科と内科の両方を診る医師というのは珍しいですね。

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私の両親も医師で共働きだったため、私は祖母に育てられたおばあちゃんっ子でした。医師をめざすにあたっては、高齢化が進む時代だからこそ高齢者をしっかり診ることができる医師が必要だと考えていました。目標は、高齢社会に対応した医師になること。しかし、いざ大学に入るといろいろな診療科があり、選択に悩みました。その中で気になったのは、体も心も同時に診ることができる医師があまりいないという現状です。体が病むと心も不調をきたしますし、心を病むと体も不調をきたしますが、体は内科、心は心療内科や精神科など症状が現れた部分に応じた医師が診るというのでは、患者さんも大変ですよね。学生時代には、体も心も両方を診ることができる医師になろうという目標ができました。

心も体も診る医師になるために、どこでどんな経験をされたのですか?

同じ理想を持つ先輩から、「これからは高齢化が進み認知症が増えるのに、認知症を診る医師が不足している」ということを教えてもらいました。診療科を選ぶにあたって、認知症について、体について、心について、何から学ぼうかと考えていた時に、たまたま出身大学である藤田医科大学の精神科に認知症を診る部門があり、まずは精神科の医師となることを決めました。しかし、私の目標は体も心も診ることだったので、内科の経験を積むためにアルバイトもしました。内科の外来や往診、週に1度は「中部国際空港診療所」に勤務し、救急医療も含め、さまざまな経験を積みました。また研究者としては、認知症に関する研究を中心に行いました。医学博士となった後は、藤田医科大学の精神科で、認知症や精神疾患を専門に5年講師を務めました。その後、藤田医科大学の認知症・高齢診療科で認知症の専門の医師として、高齢者を診る老年内科医として2年講師を務めました。

内科、精神科の両方で経験を積んだ後に、クリニックを開業されたのですね。

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体と心を診ることを目標に学び、経験も積んできましたが、その経験から見えてきたことは、医師一人だけでは患者さんやその家族を救えないということでした。医師の知識や技術だけではなく、看護やケア、心理療法、社会福祉制度などの専門科と力を合わせて医療を行うことが大切です。特に認知症の方やそのご家族をサポートするには、精神保健福祉士、看護師、心理士などの多職種が密に連携することが重要になってきます。しかしながら、総合病院ではその組織の複雑さから、患者さんや家族のサポートを多職種で密にすることは難しいと、勤務医の頃から実感していました。理想の医療をするためには、多職種連携のできるフットワークの軽いクリニックを開業したいと思いました。

患者の治療だけでなく、家族も相談ができるクリニック

先生がめざす医療についてお聞かせください。

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医師だけでなく、看護師、心理士、精神保健福祉士などの多職種が連携しながら患者さんとその家族をサポートできる医療をめざしています。当院には、心理士と精神保健福祉士が常勤していますので、心理療法や心理検査も可能ですし、自立支援、精神障害者手帳、介護保険など、さまざまな制度の相談が可能です。地域包括支援センターで長年勤めていたベテランの精神保健福祉士さんは、私よりも地域のことに詳しいので、頼もしいスタッフです。看護師さんも、内科でも精神科でも経験がある方で、患者さんの病状に応じて、優しく手際よく対応してくれています。クリニックとしては、患者さんのかかりつけ医や総合病院、ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問介護ステーションなど、患者さんと家族を取り巻く関連機関とも連携を図り、より包括的なサポートに取り組んでいます。理想は、「ここに来ればなんとかなる」というクリニックにしたいと思っています。

印象的なクリニック名ですね。

認知症や心の病気で受診するのは、まだまだ日本では敷居が高く、クリニック名をどうするかは本当に迷いました。誰もが気軽に受診してもらいたいという思いと、ほのぼのとした雰囲気のクリニックでありたいという思いから、このクリニック名になりました。受付でも、患者さんを呼ぶ際は、番号でお呼びし、個人情報を守るようにしていますので、不安を抱えることなく診察を待っていただけると思います。待合室は、落ち着きのある暖かみのあるインテリアでまとめ、空調も大きな病院でも使っているような大型空気清浄システムを取り入れました。

「患者さん本人が受診したがらない」という場合はどう対応していますか?

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自費になりますが、家族相談というのを設けています。物忘れがひどいとか、冷蔵庫に同じものがいくつも買ってあるなどで家族が心配しても、患者さん本人は病気ではないと思っていて病院に連れて行けないというケースはよくあります。家族だけ先に来ていただいて、受診につながるようなアドバイスや「こういうサービスや制度を使ったほうがいいですよ」というアドバイスをしています。必要な制度を紹介して終わりという場合もありますよ。何でも相談のような感じですね(笑)。

できるだけ早い段階で認知機能を把握してほしい

どんな患者さんがいらっしゃっていますか?

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認知症の方が一番多いですね。心療内科では、うつ病、パニック障害、不安障害、統合失調症など。地域のかかりつけ医としても診療していますので、風邪や高血圧、糖尿病などの内科疾患や、予防接種や健診などで来院される方も見えます。この地域の方以外にも、認知症や精神科の患者さんの中には、他県の患者さんもいらっしゃいます。認知症の方のご家族がインターネットなどで調べて来られているようですね。認知症は発症する前からの予防が大切です。早めに認知機能の状態を把握してほしいと思います。早い段階から認知機能テストや画像検査で脳の機能を把握しておくと、症状が進んだ時に比較ができますしね。また、名古屋市では、65歳以上が無料で受けられる「もの忘れ検診」があり、そういった検診をきっかけに、認知症の啓発が進めばと思っています。

今後の展望を教えてください。

藤田医科大学の精神科での5年間、認知症・高齢診療科で2年講師を務め、当時は研究もたくさんすることができました。お世話になった教授や先輩方のおかげもあり、精神科と内科の両方で研究をすることができたことは、貴重な経験だったと思います。認知症の研究では多くの論文を書きましたが、今後も患者さんの役に立つ研究は続けていきたいと思っています。常に新しい研究や情報に触れるようにして、患者さんにもフィードバックしていきたいですね。また、落ち着いたら、クリニックとして患者さんやそのご家族のために、ボランティア活動が何かできればと考えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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認知症は本人だけの問題ではなく、患者さんを支える家族、そして家庭としての問題です。家族の人生設計にも関わってくるので、早い段階で受診することが理想です。1、2年たつとこういう状態になるという見立てがあれば、家族はそれに合わせていろいろと準備もできますよね。認知症や精神疾患の場合、本人だけでなく家族が不安定になることも多く、家族の精神状態には特に注意するようにしています。患者さんのために一生懸命に頑張るご家族も多いので、患者さんよりも家族へのお話のほうが長くなる場合も多々あります。患者さんの治療だけではなく、家族が共倒れにならないよう、家族全体が健康になることを常に考えながら診療していますので、ぜひ気軽に相談に来てください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

家族相談/3300円

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