認知症患者本人だけでなく家族も含めたメンタルケアをしながら、薬物療法や生活への助言を進めていく

Q認知症はいつ頃から発症し、どんな初期症状があるのですか？

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▲検査を受け、正しい診断を受けることが重要

認知症で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、70～80代で発症する方が多いですが、早いと50～60代から徐々に症状が出るケースもあります。初期症状は、物忘れ、何度も同じ話をする、予定を忘れる、判断力や理解力が低下するなど。年を重ねると人や物の名前が出てこないことはよくありますが、認知症の初期症状の場合の可能性もあり、自分はまだ若いと思っている方も、気になれば検査をお勧めします。またレビー小体型認知症も多い病気ですが、こちらの場合、初期は物忘れの症状は軽いことも多く、夜中に大きな寝言を言う、幻がみえる、気分が落ち込むなどの症状があらわれるので注意が必要です。

Qどのような治療をし、どれくらいのペースで通院するのですか？

A

▲薬物療法と併せて精神的なケアにも注力

治療は薬物療法だけでなく、予防や介護についても助言を行っています。アルツハイマー型認知症は、昨今、レカネマブ、ドナネマブなどのアミロイドβを取り除くための新しい薬が出たこともあり、総合病院とも連携して治療を行っています。また、当院では精神的なケアにも注力しています。怒りっぽい、幻覚や妄想がある、気分が落ち込むなど症状がある場合、それをなんとかしないとご家族も安心して生活できません。最近は他県から来られる方もいらっしゃるので、通院のペースはできるだけご希望に合わせるようにしています。症状が悪ければ1週間に1度、落ち着いていれば2ヵ月に1度くらいが目安です。

Q本人が嫌がって認知症の検査に連れて行けない場合の対処法は？

A

▲本人だけでなく家族も合わせてサポートしていく

名古屋市では「もの忘れ検診」という、無料の検診が年1回受けられ、本人だけだと嫌がることも多いので、ご夫婦で受けてみるのも良いと思います。また、自費にはなりますが、当院は初診前にご家族に先に来ていただいて、受診方法を相談することもできます。物忘れの相談や精神科というとご本人も嫌がるでしょうが、当院は内科も標榜していますので、「健康診断ということにしましょう」「久しぶりの内科ということで受診しましょう」などご家族と打ち合わせをしてから、次回にご本人を連れて来ていただくこともあります。ご家族の心配事や困り事を一緒に考えていきたいと思っていますので、お気軽に相談していただければと思います。

Q家族の相談にも乗っていただけるのですね。

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▲治療の他、支援制度や介護保険についても親身に対応

認知症の介護は、ご家族も精神的、肉体的、金銭的、時間的に余裕がなくなってしまうことが少なくありません。外来では、本人の前で相談しづらいことなど、希望に応じてご家族だけでお話をきくようにしています。しかしながら、限られた診察時間では十分にお話が聞けないこともあり、当院では精神保健福祉士による家族相談も行っています。家族相談では、病院に受診してくれない、怒りっぽい、家族に手が出るので困っている、デイサービスに行ってくれない、近隣の家に勝手に入ってしまうなどさまざまな困りごとについて、精神保健福祉士に相談することができます。また支援制度や介護保険などについてもアドバイスをしています。

Qちまたには「認知症の人に！」とうたわれた商品もありますね。

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▲正しい情報を正しく伝えることを大切にしている松永院長

当院の患者さんからも「こんな方法をテレビで観ました」「こんなサプリメントがありますが大丈夫でしょうか」といった質問をよく受けます。私は学生時代から現在も認知症の研究を続けていて、今も新しい研究論文には目を通すようにしています。お時間をいただければ、研究論文を調べてエビデンスに基づいた正しい情報をお伝えできますので、自己判断でサプリメントなどを購入する前に相談していただければと思います。基本的に、市販のサプリメントに頼るより、専門の医師の診断のもとその方に合う治療やケアを受けられるほうが適切であると考えています。