接種後の発熱、受診目安は?
乳幼児期の予防接種
えがおのこども しもたけクリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2023/05/19


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近年、定期接種できる予防接種の種類は増え、多くの疾患の予防をめざすことができるようになってきている。乳幼児期の子どもが定期接種を受けることは、一人ひとりの重篤な病気の罹患を防ぐだけでなく、社会全体として病気の流行を防ぐことにもつながる。しかし一方で、定期接種のスケジュール管理は複雑で難しくなってきている。そのため「えがおのこども しもたけクリニック」院長の下竹敦哉先生は、接種忘れを防ぐため接種のタイミングをメールで通知するシステムを採用。また、予防接種の際には優しい声かけで子どもの不安を取り除いて、子ども自身が達成感を感じられるよう工夫もしている。発達心理にも詳しい下竹先生に予防接種の重要性について話してもらった。
(取材日2023年4月19日)
目次
子どもには「できた!」という達成感を。親には安心の声かけとタイムリーな情報提供を
- Q乳幼児にとって、予防接種はなぜ必要なのでしょう?
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A
▲院内は清潔感にあふれ、落ち着いた雰囲気
病気を治療することは大事なことですが、それ以上に大切なのは予防です。病気にかからないことが何より大切という考えから、抗体が少なくウイルスや細菌に感染しやすい乳幼児期に予防接種をすることが必要です。個人として病気にかからないこともそうですし、社会全体として予防することで、病気が広く流行することを防ぐことも期待できると考えられます。実際、定期接種できるワクチンが年々増え、接種率が高まったことで、これまで防げなかった細菌性髄膜炎や敗血症などの重篤な病気は減ってきています。予防接種は子どもの命を守るために大切なものなのです。
- Q接種後の発熱など、どのような症状が出ると受診が必要ですか?
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A
▲物腰やわらかく、とても話しやすい下竹院長
予防接種後の熱は、38度以上の高熱が出ることも多いのですが、大体24時間以内に下がるので特に心配ない場合がほとんどです。それ以外に、元気がない・熱が2~3日続く・嘔吐などの症状がある場合は、予防接種の副反応ではなく、風邪など他の病気が疑われるので念のために受診をしてもらったほうがいいと思います。また、生後2~3ヵ月の乳児が初めてワクチンを打って発熱した場合は、その熱が他の病気による可能性もあり重症化するリスクが高くなるので、熱が出たら様子を見ずに早めに受診してください。熱が出ると親御さんも不安になると思うので、子どもさんの年齢にかかわらず心配なときにはご相談していただければと思います。
- Q接種の際に先生が心がけていることはありますか?
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A
▲予防接種時の子どもの負担を軽減しようとさまざまな工夫を凝らす
お子さんを安心させること、褒めること、そして達成感を感じてもらうことです。そのために接種の際は、今から診察をして消毒後に針を刺すこと、それはすぐ終わることなど手順を説明します。それでも不安に感じる子には、紙芝居で次に何をするのかを説明し安心してもらうようにしています。中にはとても注射が苦手な子もいます。その場合も無理に接種せず、本人が自分で受けようと思うまで気長に待ちます。一度、自分の意思で接種することができれば達成感を感じ、次の時には落ち着いて受けることができるでしょう。本当にびっくりするくらい成長するものです。接種が終わった後は、どの子にも大袈裟なくらいにしっかり褒めるようにしています。
- Q子どもの予防接種スケジュールについて大まかに教えてください。
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A
▲予防接種はスケジュール管理が大事
基本的には母子手帳などに明記されているスケジュールで計画しますが、万が一打ち忘れがあった場合、大まかな計画として一つは、重篤な病気を引き起こすBCG(結核)やMR(麻疹・風疹)は早めに打つこと。次に水痘やおたふくなど流行しているものを早めに打つこと。更に不活化ワクチンから生ワクチンの順番で接種すると早く打てるということ。これらを総合的に判断し、いかに効率良く接種するかを計画します。また同時接種することで、一度に複数の病気を早く予防することが期待できます。同時接種により副作用のリスクが増えることはありませんし、抗体ができにくいこともないので、なるべく1回の来院で接種するほうが望ましいと考えます。
- Q保護者がスケジュール調整をしやすいように配慮していることは?
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A
▲予防接種のスケジュール管理をサポート
インターネット上で接種記録を入力していただくと、今後の予防接種のタイミングがメールで通知されるようにしています。さらに期日が近づくとリマインダーのメールも届く仕組みで、接種忘れを防ぎます。定期接種の場合は、定められた期間を過ぎると有料となってしまい、経済的負担も大きくなります。特に2人目、3人目のお子さんの場合は、1人目のお子さんの時と比べて、定期接種の内容が変わっていることもあるので注意が必要です。予防接種の外来では育児の悩みをお伺いすることもできますし、待合室は親御さんたち同士の情報交換の場にもなっていますので、安心した気持ちで来ていただければと思います。