乱れた歯列に骨格からアプローチする
小児の顎顔面口腔育成
こどもと女性の歯科クリニック
(港区/麻布十番駅)
最終更新日:2022/02/04
- 自由診療
開業以来、数多くの子どもたちを診療している「こどもと女性の歯科クリニック」の岡井有子院長。最近、特に力を入れているのが、顎顔面口腔育成の考えを取り入れた方法だ。これは従来の小児矯正のアプローチと異なり、鼻や上顎周辺の骨格を上前方へ成長させて狭くなった気道と鼻腔を広げ、悪い歯並びの原因となっている口呼吸の改善を図り、正しい歯並びをめざすというもの。近年、口呼吸、ひどいいびきをかく、さらには睡眠時に無呼吸になる、といった子どもたちも増えており、同院はそんな症状への対策を勧めている。具体的にどのような内容を行うのか、岡井院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2019年4月9日)
目次
顔面中央部の骨格を上前方へ成長させて自然な歯並びを導く
- Q子どもの歯列が乱れる原因として、どんなことが考えられますか?
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A
口回りの筋肉と舌のバランスの崩れなどによって、下顎の後方にある舌骨と呼ばれる骨が下方に落ちてしまうことです。この舌骨は筋肉で覆われているため、全身の筋肉が凝ると連動して舌骨の周辺の筋肉も凝り固まり、それに伴って舌や下顎も下に下がって気道が狭くなってしまいます。すると鼻呼吸ができなくなり口呼吸になります。口呼吸は、子どもの歯列の乱れに大きな影響を与えるとともに、虫歯になりやすくなります。このように舌骨や舌、下顎の下垂、口呼吸、気道の狭窄(きょうさく)などが連動して、子どもの歯列が乱れていくと考えられます。
- Qこちらでは顎顔面口腔育成の考えを取り入れているそうですね。
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A
顔面中央部の骨格を上前方へ成長するよう促し、狭くなった気道や鼻腔を広げることで子どもたちの健やかな発育をサポートしていきます。これまでの小児矯正とは考え方が異なり、骨格に働きかけ、口回りの筋肉のバランスや呼吸を正すことで歯並びにアプローチしていきます。鼻から上顎を上に上げることで、下がっていた下顎や舌も引き上げられ、気道が広がります。顔面中央部が十分に成長するにしたがって鼻腔も広がりますので、鼻詰まりに悩まされていた子なども次第に本来の正しい鼻呼吸ができるように促していきます。加えて、口の中に歯が並ぶスペースが確保できるので、そこから正しい歯並びと噛み合わせに誘導していくことが可能です。
- Qどのような人が受けるとよいのでしょうか。
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A
歯列がでこぼこしている、反対咬合になっている、ガミースマイルといって笑った時に上の歯茎が見えている、いつもポカンと口を開けて口呼吸になっているといったのお子さんたちですね。また、いびきや無呼吸の改善も期待できるので、いびきをかく、歯ぎしりをする、いつも眠そうで集中力がないなどといったお子さんの症状で悩んでいるお母さんもぜひご相談ください。気道の通りが良くなって正しい呼吸がスムーズにできるようになることで、これらの症状も改善される可能性が期待できます。
- Q具体的な方法、期間などについて教えてください。
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A
かかる期間はトータルで2年半から3年です。装置は、顔の外側につけるフレーム装置と、お口の中につけるマウスピース型の2つの装置を用います。外側フレームを1日12時間装着していただきますが、12時間連続でなくてもよく、数時間ごとに分けたりして1日トータルでその時間を確保するようにします。それを3ヵ月間毎日続け、さらにこの3ヵ月のサイクルを期間を空けて数回繰り返します。繰り返す回数はそれぞれ症状によって異なるとお考えください。その間、お口の中のマウスピース型装置は続けて装着していただきます。
- Qこの療法は何歳くらいから受けるのがよいのでしょうか。
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A
この療法は子どもの骨格の成長を利用して行うため、スタートは6歳頃が適しています。ただ、将来、矯正の必要のないきれいな歯並びをつくることを考えたら、もっと早い時期から正しい噛み合わせの練習を始めたほうがよいでしょう。本来、歯は口回りの筋肉と舌のバランスがとれたところに生えてきますから、まず口回りの筋肉のバランスを整えることが大切です。歯が生える前から床矯正のような装置に似たプレートを口に装着し、上下の歯を正しく合わせて噛む練習を続けることで、口回りの筋肉バランスや舌の位置を正しいポジションに導く治療も可能です。これにより本来の正しい噛み合わせと自然できれいな歯並びにつなげることが期待できます。
自由診療費用の目安
自由診療とは検査、診断/3万3000円、顎顔面口腔育成/143万円~(5歳から)