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初期の膵臓がんから脂肪肝まで
腹部超音波検査で早期発見を

西大井内科

(品川区/西大井駅)

最終更新日:2022/01/31

西大井内科 初期の膵臓がんから脂肪肝まで 腹部超音波検査で早期発見を 西大井内科 初期の膵臓がんから脂肪肝まで 腹部超音波検査で早期発見を
  • 保険診療

がんは早期発見できれば根治が望める病気となった。しかし、膵臓がんについては今もなお早期発見が難しく、そのため膵臓は「暗黙の臓器」と呼ばれている。なぜなら膵臓は胃の裏側にある上に、大腸・小腸に囲まれているため超音波や内視鏡も届きにくい。その上、膵臓がんは自覚症状も少ないので、気づいた時には病気が進行しているケースが多く、治療も困難を極めるのだ。そんな難治がんの一つでもある膵臓がんをはじめ、肝がんに移行する恐れのあるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の早期発見に有用な腹部超音波検査について、肝臓・胆嚢・膵臓の診療を得意とする「西大井内科」の石橋一慶院長に詳しく聞いた。

(取材日2021年9月9日)

聴診器代わりに気軽に受けられる。病気の早期発見と予防に有用な「腹部超音波検査」

Q膵臓がんとはどのような病気ですか?
A
西大井内科 検査当日、先生から検査の流れについて説明を受ける

▲検査当日、先生から検査の流れについて説明を受ける

膵臓はおなかの深い位置で胃・小腸・大腸に囲まれているので画像評価が難しく、また特有の症状も現れにくいため、がんの早期発見・治療が難しい臓器です。しかも膵臓がんは腫瘍が直径1cmほどの早期から転移・浸潤しやすく、周辺の重要な血管に浸潤したり、他臓器へ転移したりすると根治が難しくなります。また、膵臓がんの約7割が手術困難といわれています。症状として腹痛、背部痛、黄疸、体重減少などが出た時はすでに進行していることがほとんどで、根治の可能性は大幅に低下します。普段元気だった方に突然発見されることが多く、明確な予防法も確立されておりませんが、糖尿病や慢性膵炎等と関連があります。

Q膵臓がんのリスク要因について教えてください。
A
西大井内科 モニターで先生と一緒に腹部超音波画像をチェック

▲モニターで先生と一緒に腹部超音波画像をチェック

ピロリ菌感染と胃がん、タバコと肺がんといった明確で強い危険因子はありませんが、膵臓がんのリスクとしては、喫煙される方、親や兄弟など身内で膵臓がんにかかったことのある人が2人以上いる方、習慣的に大量のアルコールを摂取する方、糖尿病の方、肥満の方などが挙げられます。また、年齢とともにがんのリスクが上がり、60歳以上は膵臓がんが増えますが、50歳未満の方の発症がある場合は家族性膵臓がんのリスクがあります。またすでに糖尿病を患っていて、急激に血糖コントロールが悪化した場合も、膵臓がんの可能性があります。平均年齢の増加や脂肪分の多い食事を取る機会が増えたことで、患者数増加に関与しているといわれています。

Qどのような症状が現れるのでしょうか。
A
西大井内科 エラストグラフィ搭載の超音波機器で検査を実施

▲エラストグラフィ搭載の超音波機器で検査を実施

初期は自覚症状がほとんどなく、気づいた時にはかなり進行しているケースが多く見られます。進行するに従って、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こりますが、黄疸以外は膵臓がんの特徴的な症状ではないため、単なる腰痛や胃痛との区別が困難です。ほかにも急な糖尿病の発症時や、悪化が見られるケースの一部で膵臓がんが関与している場合があります。膵臓がんは背中が痛くなると思われている方が多いですが、みぞおちや、上腹部の不快感や鈍痛もかなり認められます。腹部の不快感が持続する場合も検査が検討されます。

Q腹部超音波検査は、膵臓がんの早期発見に有用だそうですね。
A
西大井内科 検査後は、画像をモニターで見ながら結果を聞くことができる

▲検査後は、画像をモニターで見ながら結果を聞くことができる

膵臓がんの評価には造影CT、MRIが必須ですが、検査の入口には簡単に行える「腹部超音波検査」が適しており、早期発見が期待できます。ただし膵臓周囲の腸管の位置、体型、腹腔内脂肪など条件により超音波検査では評価が難しい場合もあり、その時はMRIなどで補完します。検査自体はおなかに超音波を当てるだけの手軽なもので、膵臓のみであれば当日結果が出ます。おなかの違和感などほかの心配事で検査を受けたら偶然膵臓がんが見つかることも少なくありませんから、気になった時の超音波検査を習慣にしておけば、早期発見にもつながるでしょう。検査頻度は1年に1回、経過観察が必要な場合は半年または3ヵ月に1度を推奨しています。

QNASH(非アルコール性脂肪肝炎)について教えてください。
A
西大井内科 病気の重症化を防ぐ検査・治療をめざしているという

▲病気の重症化を防ぐ検査・治療をめざしているという

NASHは過剰な飲酒やB型・C型肝炎ウイルス感染がないにもかかわらず、肝臓に脂肪沈着や線維化が生じる病気です。非アルコール性の脂肪肝は検診を受けた約3人に1人に認められるといわれ、経過を診るとそのうち1~2割はNASHに進行し、さらに悪化すれば肝硬変や肝がんになる場合も。当院では肝臓の状態を数値化できるエラストグラフィが搭載された先進の超音波検査機器を導入し、積極的に脂肪肝を評価。NASHの進展予防に努めています。早い段階で生活習慣を改善すれば、重篤な病気のリスク回避を図れるので、近所のクリニックで手軽に受けられる超音波検査を健康づくりに生かしてほしいですね。

ドクターからのメッセージ

石橋 一慶院長

超音波検査は近くのクリニックで簡単に受けることができ、CTのような被ばくの心配もありません。また、肝臓や膵臓病変については、条件が良ければCTやMRIより早期発見ができる場合があります。ただし、画像の精度はどうしても機器の性能に左右されるため、当院では検査の精度を高めるため2021年にエラストグラフィ等が可能な先進の超音波機器を導入しました。また肝臓、膵臓、胆囊の手術を執刀してきた経験から、超音波の死角になりやすい部位や見落とされやすい病変に注意し、かつ超音波検査の限界も認識しながらMRIやCT等のさまざまな画像検査の一環としての超音波検査を積極的に行っております。どうぞ気軽にご相談ください。

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