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膵臓がんから脂肪肝まで
腹部超音波検査で早期発見と予防を

西大井内科

(品川区/西大井駅)

最終更新日:2023/12/25

西大井内科 膵臓がんから脂肪肝まで 腹部超音波検査で早期発見と予防を 西大井内科 膵臓がんから脂肪肝まで 腹部超音波検査で早期発見と予防を
  • 保険診療

がんは早期発見・早期治療ができれば治癒が期待できる病気となったが、膵臓がんの治療成績は未だに厳しく、特徴的な初期症状がなく内視鏡での発見も困難なため「暗黒の臓器」と呼ばれている。また、食生活の欧米化により肝臓への脂肪沈着(脂肪肝)が問題となっているが、自覚症状がほぼない「沈黙の臓器」であるため、知らぬ間にNASH(非アルコール性脂肪肝炎)となり、一部は肝硬変や肝がんに進行する場合もある。そんな膵臓がんの早期発見やNASHの有無の評価に有用なのが、腹部超音波検査(エコー検査)だ。「西大井内科」の石橋一慶院長は、体への負担が少なく気軽に受けられる超音波検査を積極的に活用しつつ、死角になりやすい部位や見落としリスクを考慮した慎重な評価を心がける超音波検査のエキスパート。そんな石橋院長に話を聞いた。

(取材日2023年9月7日)

気軽に受けられる「腹部超音波検査」で、病気の早期発見と予防をめざす

Q膵臓がんとはどのような病気ですか?
A
西大井内科 超音波検査に豊富な経験を持つ院長

▲超音波検査に豊富な経験を持つ院長

膵臓はおなかの深い位置で胃・小腸・大腸に囲まれています。胃や大腸のがんとは異なり、膵臓がんは通常の内視鏡での発見は不可能です。また、特有の危険因子がなく特徴的症状にも乏しいため早期発見・治療が難しく、健康な方がある日突然診断されることが少なくなく、腹痛、背部痛、黄疸、体重減少などの症状が出た時はすでに進行している場合が多いです。さらに、膵臓の周囲には重要な血管があり、腫瘍が1cmを超えると周囲の重要血管やリンパ節への浸潤、肝転移が生じやすく、そうなると根治が難しいため、発見時には約7割の方が手術困難といわれています。また膵臓がんの有効な予防法も確立されていません。

Q膵臓がんのリスク要因について教えてください。
A
西大井内科 資料を使って患者にわかりやすく説明

▲資料を使って患者にわかりやすく説明

胃がんとピロリ菌感染の関係のような明確な危険因子はありませんが、身内で膵臓がんにかかったことのある人が2人以上いる方は家族性膵臓がんのリスクがあります。また、年齢とともにリスクが上がり、60歳以上になると膵臓がんが増えますが、50歳未満の若年の方が膵蔵がんになる場合は家族性膵臓がんの可能性があるので注意が必要です。その他習慣的にアルコールを大量摂取する方、糖尿病の方、肥満の方などが挙げられます。突然糖尿病を発症したり、糖尿病の方で血糖コントロールが急に悪化した場合も念のため膵臓がんの有無の評価が必要です。平均年齢の上昇や脂肪分の多い食事が増えたことが、患者数増加に関与しているとされています。

Q腹部超音波検査は、膵臓がんの早期発見に有用だそうですね。
A
西大井内科 モニターで院長と一緒に腹部超音波画像をチェック

▲モニターで院長と一緒に腹部超音波画像をチェック

超音波検査はおなかに機器をあてるだけの手軽な検査で、膵臓だけであれば当日結果を出せます。描出が良好な場合はMRIや造影CTに匹敵する画像が期待でき、膵臓がんの兆候の早期発見や精密検査の入り口として有用です。ただし条件により超音波検査では評価が難しいこともあります。その場合はMRIや造影CTなどの追加を検討し、必要な方には速やかに適切な医療機関を紹介します。おなかの違和感で受診したら膵臓がんが見つかったということもありますので「気になった時に近所のクリニックで超音波検査」を習慣にしておけば安心につながるでしょう。頻度は1年に1回、経過観察が必要な場合は半年または3ヵ月に1度を推奨しています。

Q腹部超音波検査では他にどのような病気がわかりますか?
A
西大井内科 先進の超音波検査機器で、病気の早期発見に注力

▲先進の超音波検査機器で、病気の早期発見に注力

脂肪肝、アルコール性肝障害、肝硬変などの肝臓の病気、胆石、胆嚢炎などの胆嚢の病気のほか、腹部大動脈瘤、尿管結石や腎臓腫瘍、前立腺・膀胱疾患などの発見や評価に役立ちます。脂肪肝やアルコール性肝障害は放置すると肝臓の線維化や肝硬変に進行することがあり、胆石や胆嚢ポリープの方の中には胆嚢がんが見つかるケースもあるため、超音波検査で年1回ほど経過観察してください。胆石による急性胆嚢炎や尿管結石による発作が発生した場合はエコーで簡単に評価できます。先進の機材では高度な画像処理技術で高解像度の画像が得られることから、聴診器のように機器を当てるだけで多様な病変を適切に判断することができるようになりました。

QNASHの評価にも有用だとか。
A
西大井内科 早期発見のためにも検査の定期的な受診が必要

▲早期発見のためにも検査の定期的な受診が必要

NASHは過剰飲酒やB型・C型肝炎ウイルス感染がないにもかかわらず、脂肪沈着から慢性の炎症を生じ、年月を経て線維化や肝硬変に至るリスクがある病気です。脂肪肝は国民の30%に認められるともいわれ、その中の10~20%はNASHに進行、さらに悪化すれば肝硬変や肝がんになるリスクもあるとされています。当院では、肝臓の脂肪沈着や線維化を数値化できるエラストグラフィ搭載の先進の超音波検査機器を積極的に活用し、脂肪肝からNASHの進展予防に努めています。肝臓の状態を正確に評価し早期に生活習慣を改善すれば、肝硬変などの重篤な病気の回避が図れますので、健康維持に活用してほしいですね。

ドクターからのメッセージ

石橋 一慶院長

超音波検査はクリニックで簡単に受けることができ、CTのような被ばくの心配もありません。また、肝臓や膵臓の病変については、条件が良ければCTやMRIを受ける前に早期発見ができる場合があります。ただし画像の精度はどうしても機器の性能に左右されるため、当院では検査精度を高めるために先進の超音波機器に更新しました。聴診器を当てるように簡便な検査ですが、描出が難しく見落とされる部位がある点や測定数値の誤差などの限界も認識した上で、患者さんやその家族に安心いただける検査と助言を提供できるような診療に努めています。総合病院での精密検査や治療の入り口として、超音波検査は非常に有用です。お気軽にご相談ください。

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