乳幼児期の皮膚疾患治療
食物アレルギーとレーザー治療
シャルムクリニック
(松戸市/秋山駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、赤あざ、青あざなど、子どもの皮膚疾患はさまざまなものがある。子育てに悩みはつきものだが、特に皮膚疾患は目につきやすい部分のことだけに母親の悩みも大きくなりがち。出産の疲れも癒えぬままに、悩みを抱えて眠れぬ夜を過ごす人も多いことだろう。乳幼児の皮膚疾患の場合、中には食物アレルギーによるものや、できるだけ早くレーザー治療したほうがいいものなどもあり、判断がとても難しい。今回は、長年レーザー治療に関わり、自身もかつてアトピー性皮膚炎を経験した「シャルムクリニック」の櫻井直樹院長に、乳児期から始める皮膚疾患治療について、食物アレルギーとの関連や、各種あざのレーザー治療などの話を聞いた。
(取材日2016年2月2日)
目次
あざのレーザー治療は乳児期に開始することが大切。皮膚疾患には食物アレルギーが潜んでいることも。
- Q乳幼児の皮膚疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?
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A
▲適切な診療を行ってくれるシャルムクリニック
多いのはやはり、いわゆる乳児湿疹やアトピー性皮膚炎、とびひなどですね。しかし、青あざの太田母斑や、茶あざの扁平母斑、赤あざの単純性血管腫、いちご状血管腫、腰やお尻以外の部分にできる異所性蒙古斑の方もいらっしゃいます。また、もともと乳幼児は皮膚の発達が未熟で弱く、湿疹や皮膚炎を起こしやすいのですが、2~3歳くらいまでの乳幼児の場合は身体的にも発達途上なので食物アレルギーも持ちやすい状態にあります。ある程度の期間、外用薬を使い続けても良くならないような難治性の皮膚疾患の場合は食物アレルギーも考慮するべきでしょう。
- Q食物アレルギーはどのように対処すればよいのでしょうか?
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A
▲小児の難治性皮膚疾患をこれまで治療してきた櫻井先生
食物アレルギーを発見するためにまずは血液検査と、乳児は皮膚反応を見るプリックテストを行います。そこで食物アレルギーがわかれば、乳児はお母さんが食事から除去することになりますし、1歳までは完全除去食となります。ここで注意していただきたいのは、乳幼児は成長とともにアレルギーがなくなるケースが多いということです。そのため1歳を過ぎたら再検査をし、必要に応じて施設の整っている小児科で食物負荷試験などを行いながら、細かく症状を見極めていきます。ですので食物アレルギーが出たからといって過度に悲観する必要はありません。
- Qあざなどで乳幼児のうちから受けておくと良い治療はありますか?
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A
▲蒙古斑などのあざを治療できるQスイッチルビーレーザー
総じてあざのレーザー治療はできるだけ早いうちに受けたほうが良いでしょう。レーザーは届く皮膚の深さが決まっています。例えば異所性蒙古斑や太田母斑、単純性血管腫などは比較的皮膚の深いところにありますが、乳幼児は皮膚が薄いのでレーザーが届きやすく治療効果が得やすいのです。またあざの面積が小さいうちに受けたほうが、回数も少なくて済みますし、特に乳児のうちですと施術中の体の動きも少なく麻酔もクリームやテープでの局所麻酔で済みます。幼児くらいになりますと嫌がって暴れる場合もあり全身麻酔になることもありますので、施術自体が難しくなります。当院ではいちご状血管腫に対する生後数日での施術も行ったことがあります。
- Qあざの治療はどこのクリニックでも受けられるのでしょうか?
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A
▲赤あざを治療できるロングパルスダイレーザー
いわゆる青あざや茶あざの治療は比較的どちらでも受けやすいですね。しかし赤いあざに適したレーザー機器を使っての治療は、知識や経験が必要ですし特殊なものです。私は大学病院や美容外科でレーザー専門の外来を長年担当していましたし、赤ら顔などはこうした特殊なレーザー機器でなくては対応できませんので、患者さまのお役に少しでも立てればとの思いから導入しています。
- Qレーザー治療の費用や期間、術後ケアについて教えてください。
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A
▲皮膚科専門の医師、レーザー専門の医師が診療する
今回お話しした乳幼児の食物アレルギー検査やレーザー治療は保険の適用範囲です。保険の規定でレーザー照射の施術は3ヵ月に1回と決まっており、多くのあざの場合は通常5~10回程度の治療が必要です。ただ、いちご状血管腫だけは生後半年から1歳頃までが増殖期で、できるだけ早期に回数多く照射してあげるのが将来的にも良い結果が期待できます。レーザー照射後は、お風呂も入れますし通常の生活が送れます。ただ日焼けや引っ掻きなどには注意が必要で、UVケアやガーゼを貼るなどのケアが必要です。