一度に全身を検査できるPET-CTを活用し、早期がんや隠れているがんの発見につなげる

QPET-CT検査とはどのような検査ですか？

A

▲看護師による予備診断を受けている風景

PET-CTとは文字どおりPETとCTが一体化した装置のこと。まずPETは、がん腫瘍を発見するためのもの。がん細胞はブドウ糖を大量に消費する特性を利用し、FDGと呼ばれるブドウ糖によく似た物質を静脈に注射し、FDGの集まり具合でがんの有無を確認します。一方CTは、エックス線を使って体を輪切りにし、頭頂部から大腿基部まで組織の変化を見る装置です。従来、PET検査では正確な位置を確認することは難しく、がんの位置は別にCTで撮影して確認していました。しかしPET-CTはPET画像とCT画像を同時に撮影し重ね合わせて確認することで、より早くより精密にがんの大きさや形・位置の特定につなげられるのです。

Qこの検査で何がわかりますか？

A

▲PET-CTはPET画像とCT画像を重ね合わせて診断ができる

PET-CTは、従来では見つけにくいとされていた1cm程度のがんの発見に有用です。症状のない間に腫瘍が見つけることができれば、早期治療につなげていけるため、非常に価値があることだと考えます。ちなみに、FDGが集まっているから必ずしも悪性というわけではなく、そこから詳しい検査につなげていきます。また、心配な被ばく量については心配のないレベルです。さらに、受診者の精神的、身体的な負担が少ないことも大きなメリットです。例えば大腸がんを調べる内視鏡検査の場合、痛みや恥ずかしさから検診に対して抵抗がある人も多いですが、PET-CTの場合は寝台に寝るだけ。患者さんにとって負担の少ない検査といえるでしょう。

Qこの検査はどのような人にお勧めですか？

A

▲MRI装置2台を備えている

会社の健康診断では基本的にがん検診が含まれていません。生活習慣病かどうかを中心に診ていることがほとんど。「毎年、健康診断を受けているから大丈夫！」と安心している人も多いかもしれませんが、がんのスクリーニングにはなっていません。年齢が40歳を過ぎた人、がんが気になる人や、親族内にがんにかかった人が多いがん家系の人はPET-CT検査を受けていただきたいと思います。また新型コロナウイルスの流行が3年ほど続き、その間検診を控える方が増えましたが、数年ぶりに検査をすると、がんが進行していたケースが多くなったといわれています。やはり定期的に検診を受けて早期発見して、早期治療するというのが必要だと思います。

QPET-CT検査のデメリットはありますか？

A

▲乳房を圧迫することなく検査を受けることができる

PET-CTは万能というわけではありません。胃や食道などの消化器官粘膜に発生する超早期のがんや、検査で用いるFDGが尿となって体外に排出されるため、腎臓、尿管、膀胱の腫瘍に対しては病変が尿と区別できないというデメリットもあります。また妊娠中の方や、ブドウ糖に似たFDGを投与するためは糖尿病の人は受けることができません。さらに時間的な問題もあります。検査時間前は約4～5時間の絶食が必要で、FDGを注射してから約1時間の安静時間を取った後、撮影をします。撮影時間自体は20分程度ですが、トータルで半日がかりとなります。

QPET-CT検査の費用について教えてください。

A

▲全身PET-CT検査の併用により検診の精度向上をめざす

当院のPET-CT検査の費用は11万円です。現在、PET-CT検査と同じように全身のがん検査を行えるDWIBS（ドゥイブス）検査も注目されています。これはMRIを使用して体の広い範囲にわたってがんや転移を探す検査です。糖尿病の方でも検査ができる一方、「動き」に弱いため。呼吸による体動が画像に悪影響を与えてしまうというデメリットがあります。また撮影する機器や、検査を行う人の技術で精度が左右されてしまう傾向があります。PET-CTはそのようなことはなく、精度の高い撮影ができるため、確実に検査したいと願うのであればPET-CT検査をお勧めします。