岡田 篤哉 院長の独自取材記事
医療法人仁泉会 MIクリニック
(豊中市/少路駅)
最終更新日:2025/05/08

大阪モノレール線少路駅から千里中央方面に徒歩2分、駅からも見える「MIクリニック」。一般疾患の治療のほか、近隣の大学病院などと連携し精密な検査を提供してきた同院に、2022年春に岡田篤哉(おかだ・あつや)先生が院長に就任した。長年大規模病院などで要職を務めてきた岡田院長。日頃から患者や受検者の不安を和らげるよう丁寧な対応、わかりやすい説明を心がけているという。穏やかな語り口が印象的な岡田院長に、同院の特徴や豊富な検査内容、今後の展望など、じっくり話を聞いた。
(取材日2025年1月20日)
早期にPET-CTを導入し、精度重視の検査を提供
この地でPET-CTを活用した検査を行うクリニックを立ち上げた経緯をお聞かせください。

PETという検査機器は数十年前からありましたが、2000年代初期にPET-CTが発売され、一般の診療に用いられるようになりました。病変がさらにわかりやすくなり、がん患者さんの診断の精度が格段に向上しました。当時の大阪府ではPET-CT検査を実施する施設は少数で、患者さん、医療関係者からの要望に十分対応できない状況でした。そのような中、2005年に当院の理事長がこの地にPET-CT検査を行う施設を立ち上げ、大阪大学医学部附属病院と提携して検査を提供し始めたのが始まりです。
PET-CTは具体的にどのような検査なのでしょうか。
CTはエックス線により体を輪切りにして撮影する装置で、腫瘍の有無を形態学的に観察できます。一方、PETはFDGというブドウ糖類似物質を注射し、この薬剤が体のどこに集まるか観察する検査です。FDGは腫瘍や炎症がある部分に集まりやすく、この性質を利用してがんがある可能性が高い場所の特定を図ります。PET-CTはPET画像とCT画像を組み合わせて診断する機器で、より精密にがんの位置や転移の状況がわかるようになりました。また、腫瘍があったとしても薬剤が集まっていなければ悪性ではない可能性があり、薬剤が集まっている場合、従来は発見が難しかった小さな腫瘍まで捉えることが望めます。
MRIやCT単独の検査も受けつけていらっしゃいますね。

MRIについては、地域の開業医の先生や近隣の病院からのご依頼が多いですね。頭のMRIのほか、整形外科関係、婦人科関係など、エックス線では捉えにくい部位を中心に検査を承っています。MRI装置やCT装置を備えた病院でも、院内検査がキャパシティーを越えている施設もあり、ここ数年ご紹介の患者さんが増えています。当院から病院のサーバーに撮影データやレポートを送ることができる仕組みがあるので、先生方も院内検査と同じような感覚で利用できるのだと思います。手術前の検査で来られた方が、手術後の半年に1回、1年に1回の定期検査の一環としてCT検査を受けることも可能です。
PET-CTを中心とした多彩な検診メニューを用意
どのような方が多く検査に来られますか。

保険診療のPET-CT検査を受けられる患者さんは、近隣の病院やクリニックからのご紹介です。基本的にはすでにがんと診断された方で、手術前に転移の有無や状況を確認するといった目的で来られます。がんの種類によって病期(ステージ)の分類があり、ステージにより治療法が異なります。手術をするか、あるいは抗がん剤治療を先行するかの判断を、精度重視の検査でお手伝いしています。
検診にも力を注いでいらっしゃいますね。
はい、当院では、特にがん検診の一部としてPET-CT検査を実施しています。PET-CT単体コースのほか、MRIと組み合わせたコースなど、いろいろなコースがありますが、希望される患者さんが多いのが「総合がん検診」です。全身のPET-CTと頭や骨盤のMRI検査、脳ドック、頸部の超音波検査、腫瘍マーカーも含めた一般的な採血を行っています。がんだけでなく脳動脈瘤や前立腺がん、子宮筋腫などの早期発見も期待できます。他院で実施される検診のオプションとして、当院のPET-CT検査をご利用いただくケースもあります。
検診希望される方は、どのようなきっかけで来院されるのですか?

高齢の方が多いものの、若くても健康意識の高い方、40代で年齢的に病気のリスクが高まると自覚されている方や、家族や友人など身近に病気になった方がいてご自身の健康が不安になったという方もいるようです。大阪だけではなく遠方からも来院されていますね。また当院では豊中市と池田市の乳がん検診にも対応しているので、地域の人々に利用していただいてます。いずれも一度検診を受けると、健康を維持したいというモチベーションが高まるのではないでしょうか。それが定期的な検査につながっていれば、うれしいですね。
検診後、医療相談にも応じているとお聞きしました。
検診後は検査に関するレポートとともに、総合所見をつけています。早期受診が推奨される方を中心に、医療相談に応じています。その上で必要であれば、紹介状を書いて近隣の病院を紹介させていただくこともあります。特に悪いところが見つからなくても、毎年検診を受けられている方の中には昨年と比べてどうだったか、何か気をつけるべきことがあるかといったことを聞きに来られる方もいらっしゃいます。検査するだけでなく、その結果をその後の健康管理に生かしていただけるとうれしいですね。
クリニック一丸となり、さらに良質な検査をめざす
乳房専用PET装置も導入されているのですね。

一般的に乳がん検査として行われているマンモグラフィ検査は乳房を圧迫して撮影する検査です。圧迫度が高いほどきれいな写真が撮れるのですが、苦手だと感じる方もいらっしゃいます。当院では、PET-CTの検診コースのオプションで乳房専用PET装置(マンモPET)を用意しています。マンモPETは全身のPET検査に続けて行われ、FDG(ブドウ糖類似物質)により腫瘍を捉えます。横になって受けていただく検査で、大きな痛みを伴うものではありません。
検査において心がけていることをお聞かせください。
不安を抱えている方が多いため、医師、スタッフ一同、なるべくその不安を和らげるよう心がけています。当院は1階に看護師が患者さんの予備診断を行うブースを複数用意し、来院されるとまずはそこで検査について詳しくご説明し、他院からの検査依頼書の情報を確認したり、追加でお話を伺ったりしています。その上で3階の診察室へお越しいただき、医師からもさらに説明を加えて、安心して検査を受けられるよう努めています。また検査着ですと寒い時もありますので、ブランケットをお渡しするなど、目配り・気配りを大切にしています。検査後は、1人の医師だけではなく、2人以上で確認し、見落としを防ぐ体制を取っています。
最近のクリニックの変化があれば教えてください。

2023年に2台のMRIを1.5T(テスラ)のものから、3Tの機種に入れ替えました。MRIは検査中に受診者が動くといい画像が撮れないものですが、新しい機械は少々の動きなら画像に影響を与えない機能にこだわった機種です。また極小の動脈瘤など非常に細かいところまで観察することも望めます。これまで以上に鮮明な画像を主治医の先生にお返しできるようになりました。さらに、前立腺がんの転移を探すPSMA-PET装置を新たに導入しました。先進の検査機器を活用し、さらなる検査の品質向上に努めていきたいと思います。
最後に、検診に抵抗がある人へのメッセージをお願いします。
「がんが見つかると怖い」「仕事が忙しくて時間が取れない」「検診に行くのが面倒くさい」などさまざまな理由から、検診を先延ばしにしている方も多いと思います。会社員であれば年に1回、健康診断を受けているとは思いますが、その項目には基本的にがん検査は含まれておらず、なかなかがんを発見することは難しいと思います。ご自身のお体のために、やはり1年に1回、または2年に1回ぐらいは、がん検診を受けたほうがいいと思います。結果、何もなければ安心できるでしょう。生活習慣病であれば、中には何か取り組んだほうがいい方もいらっしゃいますので、経時的な変化も含めて丁寧に説明させていただきます。早期発見・早期治療のためにも、ぜひ積極的に検診を受けていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはPET-CT検診コース/9万9000円、PET-CT基本がん検診コース/12万2100円、総合がん検診コース/20万1300円、マンモPET乳がん検診(オプション)/5万5000円、脳ドック/3万3000円~