歯周病や顎関節症にも関係する
「噛み合わせ」治療について
こう歯科矯正歯科
(名古屋市中川区/烏森駅)
最終更新日:2025/04/17


- 保険診療
歯周病や顎関節症は、それぞれ歯のケア不足や食事内容、食いしばりやストレスなどが原因とされることが多い。しかし、そのほかに噛み合わせや、かぶせ物・詰め物の不具合が深く関係していることが多々あるという。さまざまな歯の疾患を根本から解決することを大事にしてきた「こう歯科矯正歯科」の阿部公成院長は、常に口腔内の全体最適化を考え、問診・触診からCT、咬合器などの検査機器を使って大本の原因を追求するよう努めている。治療後に問題が再発してしまうことを防ぐためには原因を解消することが重要になるという。そんな阿部院長に、歯周病や顎関節症と噛み合わせの関係、検査・治療方法やメンテナンスなどについて詳しく教えてもらった。
(取材日2017年9月27日/情報更新日2024年4月3日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯周病の原因と噛み合わせの関係について教えてください。
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A
歯周病は、歯に付着したプラーク(歯垢)や歯と歯肉の間に溜まった歯石に細菌が繁殖したことによる、歯肉など歯の周辺組織の炎症です。歯茎の中にバイオフィルム(細菌の塊)が住んでしまい、慢性化した炎症が歯周組織や骨を吸収してしまう、いわゆる歯槽膿漏と呼ばれる病気です。口腔内の環境悪化や抵抗力の低下などにより発症しやすくなりますが、実はほかに、噛み合わせの不具合による「咬合性外傷」が原因となることもあります。その傷口に細菌が付着して繁殖し、骨の吸収が始まります。誰の口の中にも細菌はたくさんいるのですが、噛み合わせ・歯並びの悪い人は歯磨きが難しいため、それによって歯周病も起きやすくなると言えます。
- Q顎関節症の原因と噛み合わせの関係について教えてください。
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A
顎関節症は、顎周りの筋力バランスが崩れるために起こります。その原因は外傷やストレスであったりもしますが、歯を食いしばる、よく頬杖をついている、舌で歯を押すなどの癖によって噛み合わせが悪くなり、それが発端になることもあります。基本的に歯並びも噛み合わせも良い方であれば大きな問題ではないのですが、噛み合わせが悪い方は噛むたびに顎がずれていきます。そして顎がずれていると「関節円板」という軟骨が損傷され、顎関節症の発症につながります。他に、かぶせ物や詰め物が合っていないことで、顎に余分な力が加わり発症することもあります。また、顎関節症が原因で、噛み合わせが悪くなっているというケースも起こり得ます。
- Qこちらで行う噛み合わせ治療の特徴を教えてください。
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A
歯周病や顎関節症などさまざまな疾患、さらには片頭痛や肩凝り、顎が鳴る、口が開かない、歯がしみるなどの症状の根本原因が「噛み合わせ」ということは本当に多いです。そのため歯周病、虫歯といった主訴でも必ず、部分的な治療だけでなく全体を診るようにしています。まず噛み合わせの状態をしっかり確認し、顎関節にずれがあれば負担のかからない状態を作ります。その上で、咬合のバランスを考えながら、口腔内の歯牙治療を行います。時間や費用の関係で、すべてを一度に治療することが難しい場合には、夜間に装着するマウスピース型装置の使用をお勧めし、可能な範囲での治療、少なくとも現状より悪化させないようにしています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・口腔内のチェック
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初診時に口腔内の写真撮影、レントゲン撮影、歯周検査は必ず行われる。明らかに噛み合わせがずれていれば模型が作製され、ずれと歯並びについて説明される。歯周病も顎の不具合も生活習慣やいろいろな癖が関係している場合が多いので、それについての問診も行われる。歯茎の炎症、歯のしみる場所、虫歯など、どこの部位で起きているのかも判断材料になるそうだ。
- 2精密検査・診断と治療方針の決定
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歯科医師の触診による筋肉の緊張や痛みがないかの確認とともに、CTと咬合器を使った検査、説明が行われる。CTではレントゲンでは見えない3次元画像を確認し、咬合器で噛み合わせを再現。根本原因を突き止めた上で全体的な治療について提案してくれるという。そして患者が何をどこまで治したいのかによって具体的な治療方針が決定される。
- 3噛み合わせ治療
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噛み合わせのずれが小さい場合は、マウスピース型装置を作成して装着し、徐々に調整していく。かぶせ物・詰め物などに原因がある場合は、その新製を行う。歯並びのずれ、噛み合わせのずれ、歯の欠損を伴う場合は、矯正治療やインプラントを勧めることもある。
- 4同時に行う、歯周病の治療
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歯周病がある場合は、その治療も並行して進めることになる。歯科衛生士から歯茎のケアや歯石の除去を受ける。切開が必要な歯石の除去や咬合調整、マウスピース型装置の補正などが必要な場合は歯科医師が担当する。歯のブラッシングの指導も受け、治療後は、3ヵ月ごとを目安に歯の表面の除菌を行う定期検診が勧められるそう。
- 5噛み合わせ治療後のリハビリ
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筋肉の癖などにより長年蓄積された噛み合わせの不具合は、治療後も戻ってしまう可能性が高いため、治療後のリハビリが大切だという。患者自身でも意識できるように、筋肉トレーニング・習癖のトレーニングを受ける。詰め物・かぶせ物が必要な場合は、噛み合わせ治療後2~3ヵ月様子を見てから咬合器を使って調整。さらに3~4ヵ月後に状態を確認し、以降は定期的な歯の検診となる。