麻酔科医師が常駐し痛みをコントロール
痔の日帰り手術に対応
豊田クリニック
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2022/10/07
- 保険診療
痔の手術となるとどうしても長期入院をイメージする人が多いかもしれない。ただ、長期の入院は社会的に困難な状況があり、できるだけ早い社会復帰を望むのは当然のことだろう。大腸肛門の疾患に対応している「豊田クリニック」は、ほとんどの肛門の病気に対して日帰り手術を行っている。日帰り手術の一番の問題点は痛みのコントロールだといわれる中、その一端を担うのは鎮静・鎮痛の専門家である日本麻酔科学会麻酔科専門医の資格を持つ豊田沙也花先生だ。同院では、適切な麻酔方法の選択に注力する沙也花先生と、数多くの実績を持つ豊田哲鎬院長がタッグを組み、患者に負担の少ない病院と同様レベルの治療を追求している。沙也花先生に同院が行う日帰り手術の特徴を詳しく教えてもらった。
(取材日2022年5月9日)
目次
適切な麻酔方法の選択と数多くの実績を持つ医師の執刀により、病院と同等レベルの負担の少ない治療をめざす
- Q日帰り手術を希望される患者さんはどのような方が多いですか?
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A
お尻の診察は誰もが恥ずかしいなどの感情から躊躇されると思います。当院は女性医師が常勤しているため、実に女性の初診患者さんの9割以上が私の診察をご希望されます。2021年4月~2022年3月には1000件を超える初診の患者さんに対する肛門鏡検査を行いましたが、そのほとんどが女性です。初診の女性患者さんで多いのは若い学生さんから、妊婦さん、産後にずっと悩んでいたなんて方はもちろん、ご高齢の方までとても幅広い悩みを抱えた患者さんが毎日いらっしゃいます。診断から手術、アフターフォローまで一貫して行えるため、治療を通して患者さん一人ひとりに寄り添い、不安を解消して差し上げるのも私の役目だと思っています。
- Q痔の日帰り手術の流れについて教えてください。
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A
診断の結果、手術が必要になった方は、術前の検査と説明をその日のうちに受けていただきます。次に来ていただくのは手術の当日です。手術の時間は手術内容により異なりますが15~20分程度の短いものがほとんどです。麻酔がきれるまで2時間ほどベッドで休憩した後、自分の足で歩けること、排尿が問題ないことを確認し、お帰りいただいています。手術の翌日に診察に来ていただき、その後は週に1回の通院を1~2ヵ月間続けて通院終了となります。基本的には手術の翌日はお仕事や予定を入れないことをお勧めしていますが、どうしても仕事をお休みできないという方は出勤される方もいらっしゃいます。
- Qこちらのクリニックの日帰り手術の特徴は何でしょうか?
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A
痔の手術では、麻酔がしっかり効いていないと、少し触れただけでもお尻の筋肉が締まって、手術の妨げになってしまいます。よって、確実かつ安全に配慮しながら麻酔を行うのは、肛門手術においてとても重要なことだといえます。その点、当院のように麻酔科専門医が常駐していることは強みの一つであると思います。当院の麻酔方法としては、点滴のところから眠くなるお薬を注入する静脈麻酔をした後に背中に注射をして痛みを遮断する部分麻酔を併用しています。特にお尻の筋力の強い若い男性では別の方法で鎮痛を行っています。眠っている間に手術が終わりますので、手術中のことを覚えている患者さんは少ないと思います。
- Q麻酔と痔の手術、それぞれの専門家が協力し合っているのですね。
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A
院長は大腸・肛門外科の専門であり、大学病院での診察から手術、アフターケアまで一貫して行ってきたエキスパートです。肛門に関する知識や経験が豊富で、患者さんに大きな負担をかけることなく短時間で手術が終えられるのも、技術力があるからこそ。一方、私は手術中は麻酔科専門医として安全を第一に考え、痛みのある方にはお薬を調節していきながら、手術中の痛みやつらさの軽減に努めています。こうした協働体制のおかげで、当院のような入院施設のないクリニックであっても、入院で手術を行う病院と変わりないレベルで手術を提供できていると思います。
- Qスムーズに手術を進めるためにどんな工夫をされていますか?
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A
当院では一日に複数の手術を行うこともあります。私たち医師が手術に集中するためには、スタッフ間の連携がとても重要です。例えば、手術後の患者さんの麻酔からの回復具合、歩行の確認、しっかりと尿が出せるかのチェックなどのケアはスタッフがメインできめ細かに行ってくれているので、安心して手術に集中することができます。術後については、気分が悪くなられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ほぼ時間経過で改善していきますので心配いりません。そういった術後の経過など気になることがあれば、しっかりと説明し、安心して手術を受けていただけるようにサポートしています。