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荏原病院 感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

こちらの記事の監修医師
荏原病院
感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

かんじだしょうカンジダ症

概要

カンジダ属の真菌(かび)による感染症。カンジダは口の中、消化管、腟に常に生息していて、通常は人体に害を及ぼさないが、特定の条件下では、粘膜や皮膚の湿った部分に過剰に増殖する。感染しやすい部位は、粘膜では口の中、食道粘膜、陰部の粘膜、皮膚では鼠径部(そけいぶ)、脇の下、女性の乳房の下、腹のたるみなど。「暑く、湿度の高い気候」「合成繊維の下着」「衛生状態の悪さ」「皮膚のしわに生じる乾癬などの炎症性の疾患」「抗生物質または免疫機能を抑制する薬剤の使用」「糖尿病や免疫機能を低下させる病気」などが、カンジダ症を起こしやすくなる条件として挙げられる。また治療に必要なカテーテルを挿入中の患者に見られる、カンジダ血症(カンジダが血液に入り込む)は重篤な病態である。

原因

発症する部位によって原因は多少異なる。口の中や食道粘膜に出る口腔・食道カンジダ症は、副腎皮質ステロイド薬を投与したときや、糖尿病などで免疫力が落ちている状態のときに、常在菌のバランスが崩れてカンジダが繁殖し発症する。喘息患者らが使用するコルチコステロイドの吸入薬の使用中にも発症例が見られる。HIV感染症/エイズ患者にも見られ、HIV感染症/エイズ発見の契機となる。男性器・女性器のカンジダ症も、抗菌薬の投与、糖尿病の合併症、ステロイド剤の投与がきっかけで発症することが多い。膣カンジダ症については他にも、妊娠中や風邪、寝不足などで免疫力が落ちた状態のときに発症しやすく、生理前、膣内の過剰な洗浄、性交渉の刺激などによって起こることもある。ナプキンの長期使用や下着の締め付けなど、高温多湿の状態が長く続くことがきっかけでも発症する。

消化器系の手術や重篤な病態で口から食事を摂取することができない患者の栄養投与経路として、中心静脈カテーテル(首や鼠径部の太い静脈に挿入する管)という処置がある。この医療処置は治療や栄養確保に必須ではあるが、ここから抗菌薬や栄養を含んだ点滴を投与することでカンジダ血症のリスクとなる。カンジダ血症に伴い、心臓の弁、肝臓・脾臓の中、眼の中にカンジダが入りこみ炎症を起こすことがある(侵襲性カンジダ症)。

症状

症状は感染した部位によりさまざま。皮膚のひだへの感染あるいはへその中に発症するカンジダ症では、赤い発疹がみられ、強いかゆみやヒリヒリとした痛みを伴う。妊婦、糖尿病患者、抗生物質を服用している人に多くみられる腟カンジダ症は、白や黄色のチーズ状のおりもの、腟壁と腟の外部周辺のヒリヒリする痛み、かゆみ、赤みなどがある。陰茎カンジダ症は感染しても症状が出ないことがあるが、亀頭や陰嚢(いんのう)に生じた発疹は、赤くヒリヒリしてかゆみやほてりが生じ、時に痛みを伴う。口の中に発症する「鵞口瘡(がこうそう)」は、クリームのような白斑が舌や頬の内側に付着する。また口角に発症する口角炎は、ひび割れや小さい裂傷ができ、爪に覆われた指先のやわらかい部分に発症するカンジダ性爪炎は、赤くなって腫れ、痛みを伴う。

中心静脈カテーテルから抗菌薬や栄養を含んだ点滴を投与している患者で発熱が出た場合にはカンジダ菌血症も考慮する。カンジダが炎症を起こす部位に応じて心雑音や目が見えなくなるなどの症状が出る。

検査・診断

カンジダ症の特徴である発疹とその発疹から出る濃く粘り気のある白いかすを観察すれば、おおむね診断がつく。また患部の炎症の有無なども確認し、かゆみなどの症状があるかどうかを問診する。診断の確定は、外科用メスなどで皮膚またはそのかすを一部をこすり取り、サンプルを顕微鏡で調べる、もしくは培養して原因となった真菌を確認する。膣カンジダの場合は内診でおりものを採取する。検査結果には長くて1週間程度かかることがある。

カンジダ菌血症では血液を採取して培養を行い、カンジダが検出されれば診断が確定となる。

治療

まずは患部を清潔にし、安静にすること。多くの場合、抗真菌薬クリームを1日に2回塗り、これを7~10日間ほど続けて治療していく。クリームや液体の抗真菌薬では効果が現れない場合には、ゲンチアナ紫という紫色の染料を感染部位に塗り、原因となる真菌(かび)を殺菌する。部位別に見ると、口腔カンジダ症の場合は口の中を清掃し、抗真菌薬が入ったうがい薬、塗り薬、内服薬などを使用する。膣カンジダ症は、刺激の強いせっけんの使用、性交渉などを避け、通気性の良い下着を使うことなどが指示される。また内服薬、軟膏、膣錠などが処方される。1週間程度の連続通院によって膣坐剤の投与、洗浄が行われることもある。爪カンジダ症の場合は治癒が遅く、完治までに6ヵ月から1年以上かかることもある。

カンジダ菌血症では抗真菌薬の全身投与が治療の中心となる。治療期間は併発する病変によって異なる。また場合によっては外科的な処置や針を刺して膿を抜く処置などが必要となる。

予防/治療後の注意

皮膚を乾いた状態に保つと、感染症が治りやすくなる上、再発を防ぐことが期待できる。性器カンジダ症の場合は、締め付けの少ない風通しの良い下着をつけると良い。

カンジダ菌血症のリスクとなる中心静脈カテーテルは治療上必要なものではあるが漫然と留置せず、早く抜去できるよう必要性の評価を常に行う。

荏原病院 感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

こちらの記事の監修医師

荏原病院

感染症内科 中村(内山)ふくみ先生

1996年、宮崎医科大学卒業。宮崎医科大学寄生虫学教室、墨東病院感染症科、奈良県立医科大学病原体・感染防御医学/感染症センターにて基礎医学・臨床の両面から感染症に携わる。2016年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会感染症専門医の資格を持つ。