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こちらの記事の監修医師
東京医科大学八王子医療センター
副院長/心臓血管外科科長/教授 進藤 俊哉 先生

きゅうせいどうみゃくへいそくしょう急性動脈閉塞症

概要

心臓にできた血栓や動脈硬化などにより、動脈が急激に詰まってしまう疾患のこと。詰まった部分から先の組織には血液が届かなくなるため、下肢や肝臓や腎臓、小腸、大腸など腹部の内臓の機能低下を引き起こす。これに類似する病気として、徐々に動脈硬化が進行して足の動脈が詰まる閉塞性動脈硬化症があるが、急性動脈閉塞症は突然発症するのが特徴である。心臓に血栓ができ、それが足などの動脈に流れて詰まってしまう急性血栓塞栓症が多い。急に血流が途絶えるため、下肢に発症した場合は激しい痛みや感覚低下、皮膚が紫色に変色するなどの症状が現れる。病状が進行してしまうと患部を切断しなければならないので、早急に適切な治療を受けることが重要となる。

原因

急性動脈閉塞症の原因として考えられるのは2つである。一つは「塞栓症」といって、心房細動など心臓の不整脈によって心臓に血栓ができ、下肢動脈へと流れて急に詰まる状態を指す。これが脳血管に詰まると脳梗塞になる。血栓ではなく動脈中に空気が入ったり、外傷により動脈に脂肪が詰まったりしても発症するが、およそ8割は心原性とされる。不整脈のほか、弁膜症や陳旧性心筋梗塞巣がもととなって同じ症状が出ることもある。予兆は全くないことが多い。もう一つは「血栓症」で、これは動脈硬化が進んで狭くなった動脈が、急に完全に詰まってしまう状態のことをいう。閉塞性動脈硬化症やパージャー氏病など、もともと下肢動脈が慢性的に狭くなる病気を抱えていることが一般的である。それが脱水や末梢循環不全などをきっかけに、一気に詰まって発症に至る。いずれの原因によっても、激しい痛みなどを生じ危険な状態を引き起こす。

症状

閉塞が起きた動脈により症状が現れる部位は異なるが、主に腕や足に出ることが多い。四肢の動脈の詰まりによってもたらされる症状には5つの主徴があり、「激しい痛み」「脈が触れなくなる」「冷たく蒼白の状態」「知覚が鈍くなる」「まひして動かなくなる」ことが挙げられる。いずれも血流が途絶えたことによるもので、関節が固まっていたり、まひしたりしていると、閉塞から時間が経っていることが考えられ、切断の危険性は高い。皮膚が紫色に変色することもある。最悪の場合は救命のために手や足の切断を余儀なくされる。また脳へつながる血管が詰まれば、脳梗塞などの重篤な症状を引き起こす可能性もあり、早急な治療を要する。

検査・診断

手や足に症状が出た場合には、問診で痛みがどの程度か、感覚があるか否か、皮膚の色、手足が動くかどうかといったことを確認する。また実際に手足に触れてみて、脈の有無や皮膚温を確かめることで診断することが可能である。動脈閉塞から6から8時間が過ぎると患部が壊死する危険性があり、まひなどが見られた場合は緊急処置を要する。閉塞している部位や動脈瘤の有無などを特定するため、CT画像を撮ったり、心房細動などの不整脈を診るため心電図を撮ったりもする。心臓内に血栓が残っていると再発の恐れがあるため、必要に応じて心エコーの検査も行う。

治療

薬物療法としては、点滴で血栓を溶かす薬剤を動脈に投与する血栓溶解療法、血管拡張剤や抗凝固剤を投与する方法などがある。いずれも神経障害など重篤な症状がない場合に適用となる。塞栓症による急性動脈閉塞症で、血管の中に血栓がある場合には、バルーンのついたカテーテルを動脈内に挿入し、血栓を取り除く外科手術「血栓除去術」を行う。血栓症による急性動脈閉塞症の場合も血栓除去術や血栓溶解療法などが行われるが、動脈の血流を再開するため、人工血管を使ったバイパス手術が必要となることもある。発症から6時間以内に血流が元に戻れば、手足の切断は避けられる場合が多い。一方、24時間を過ぎると切断を余儀なくされるケースも現れる。また血行が回復した後には筋肉のむくみによる神経圧迫や壊死の危険性が生じることがあり、その際は筋膜切開を行い圧を解除して壊死を予防する。

予防/治療後の注意

心房細動など、リスク要因のある人は、抗凝固薬を飲むなどして血栓ができないよう気をつける。また動脈硬化を予防するため、高血圧、肥満、喫煙、糖尿病高脂血症を避け、食生活の改善などに励むことも大切である。急性動脈閉塞症は、発症後早急に治療を開始しなければ命に関わるため、気になる症状が現れたら速やかに医療機関を受診することが何より重要である。

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こちらの記事の監修医師

東京医科大学八王子医療センター

副院長/心臓血管外科科長/教授 進藤 俊哉 先生

1980年東京大学医学部卒業後、同大学第二外科学教室に入局。2年間の米国留学を経て、山梨医科大学(現・山梨大学医学部)や一般病院に勤務。2009年より現職。日本外科学会外科専門医、日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医。