
こちらの記事の監修医師
東京慈恵会医科大学附属第三病院
消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生
ひあるこーるせいしぼうせいかんしっかん(なっふるど/なっふるでぃー)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
最終更新日:2022/03/15
概要
肝臓に多くの脂肪がたまってしまう脂肪肝。一般的にアルコールの飲みすぎによるアルコール性脂肪肝と、アルコールを飲まないのに発症する非アルコール性脂肪肝に分けられます。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、非アルコール性脂肪肝と非アルコール脂肪肝炎から肝硬変にまで進行した病態を含めた総称です。現在、国内で人間ドックを受ける人の30~40%が非アルコール性脂肪肝を指摘されていることから、1000万~2000万人の潜在患者がいることが想定されています。その内、10~20%が非アルコール性脂肪肝炎へ進行することもわかっています。将来的に肝硬変や肝臓がんを発症するリスクが高くなる一方、進行するまで自覚症状がほぼないことから、注意が必要です。
原因
アルコールの飲みすぎ以外の理由によって、脂肪肝になることが原因です。肥満をはじめ、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病と深い関わりがあります。例えば、生活や食習慣の乱れ、運動不足、睡眠不足、ストレス、昼夜逆転の生活などにより非アルコール性脂肪肝が引き起こされるのです。さらに、その状態を放置しておくと肝臓内の環境が悪化し、肝細胞が次第に弱くなってしまいます。その結果として非アルコール性脂肪肝炎から肝硬変へと進行します。
症状
肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、病気が進行するまで自覚症状はほとんどありません。そのため、自覚症状によって非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎を区別することはほぼ不可能です。非アルコール性脂肪肝炎を発症している場合、肝機能障害は継続して起こっています。徐々に肝細胞が線維化し、肝臓が傷つけられ、どんどん硬くなってしまうことに。治療せずに放置すると、10年後には約10~20%が肝硬変になることがわかっています。さらに、その先の肝臓がんのリスクも高まるため、注意しなければいけません。
検査・診断
問診にて、飲酒や生活習慣、体重歴、糖尿病など生活習慣病の有無などをチェック。また、血液検査で肝機能や生活習慣病の状態などを調べます。その後、非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎を区別するために、超音波検査やCT、MRI、超音波エラストグラフィなど画像検査を行い、確定診断につなげます。必要に応じて、病気の進行具合をチェックするために肝生検も実施。なお、非アルコール性脂肪性肝疾患と診断された場合、定期的な血液検査や画像検査を通して、経過を観察していくことが必要となります。
治療
医師や管理栄養士による生活習慣指導が中心となります。体重を減らすことが改善の鍵となる病気だからです。そのため、まずは非アルコール性脂肪肝を引き起こした生活や食習慣の乱れ、運動不足、睡眠不足などを見直していくことが大切。肥満の場合は標準体重をめざしたり、生活習慣病の場合は薬物治療も行ったりと、患者それぞれの状況に合った治療を進めていきます。
予防/治療後の注意
まずは、自分自身の肥満度を示すBMI(体重(kg)を身長(m)の2乗(身長×身長)で割った数値)と適正体重を知ることから始めましょう。BMIが25以上の場合、脂肪肝を防ぐために食生活を見直し、体重を減らすように心がけてください。ジュースや缶コーヒー、果物などの過剰摂取に注意し、青魚や緑黄色野菜、食物繊維を積極的に取るようにしましょう。適度な運動やウォーキング、ジョギング、筋肉トレーニングなどの運動療法も有用です。しかし、急激なダイエットなど無理は禁物。最終的に7%減量をめざし、毎月500g~1kgずつでも体重を落としていくと効果が期待できるため、根気強く減量を行っていきましょう。

こちらの記事の監修医師
消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生
1990年東京慈恵会医科大学卒業。2006年より同大学附属病院の消化器・肝臓内科医長に就任。2012年に同大学附属第三病院へ赴任した後、2018年消化器・肝臓内科の診療部長に就任。医学博士。日本消化器病学会消化器専門医。
都道府県からクリニック・病院を探す
関東 | |
---|---|
関西 | |
東海 | |
北海道 | |
東北 | |
甲信越・北陸 | |
中国・四国 | |
九州・沖縄 |
関東 | |
---|---|
関西 | |
東海 | |
北海道 | |
東北 | |
甲信越・北陸 | |
中国・四国 | |
九州・沖縄 |