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東京慈恵会医科大学附属第三病院 消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

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東京慈恵会医科大学附属第三病院
消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

ひあるこーるせいしぼうせいかんしっかん(なっふるど/なっふるでぃー)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

概要

肝臓に多くの脂肪がたまってしまう脂肪肝。一般的にアルコールの飲みすぎによるアルコール性脂肪肝と、アルコールを飲まないのに発症する非アルコール性脂肪肝に分けられます。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、非アルコール性脂肪肝と非アルコール脂肪肝炎から肝硬変にまで進行した病態を含めた総称です。現在、国内で人間ドックを受ける人の30~40%が非アルコール性脂肪肝を指摘されていることから、1000万~2000万人の潜在患者がいることが想定されています。その内、10~20%が非アルコール性脂肪肝炎へ進行することもわかっています。将来的に肝硬変肝臓がんを発症するリスクが高くなる一方、進行するまで自覚症状がほぼないことから、注意が必要です。

原因

アルコールの飲みすぎ以外の理由によって、脂肪肝になることが原因です。肥満をはじめ、糖尿病脂質異常症高血圧などの生活習慣病と深い関わりがあります。例えば、生活や食習慣の乱れ、運動不足、睡眠不足、ストレス、昼夜逆転の生活などにより非アルコール性脂肪肝が引き起こされるのです。さらに、その状態を放置しておくと肝臓内の環境が悪化し、肝細胞が次第に弱くなってしまいます。その結果として非アルコール性脂肪肝炎から肝硬変へと進行します。

症状

肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、病気が進行するまで自覚症状はほとんどありません。そのため、自覚症状によって非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎を区別することはほぼ不可能です。非アルコール性脂肪肝炎を発症している場合、肝機能障害は継続して起こっています。徐々に肝細胞が線維化し、肝臓が傷つけられ、どんどん硬くなってしまうことに。治療せずに放置すると、10年後には約10~20%が肝硬変になることがわかっています。さらに、その先の肝臓がんのリスクも高まるため、注意しなければいけません。

検査・診断

問診にて、飲酒や生活習慣、体重歴、糖尿病など生活習慣病の有無などをチェック。また、血液検査で肝機能や生活習慣病の状態などを調べます。その後、非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎を区別するために、超音波検査やCT、MRI、超音波エラストグラフィなど画像検査を行い、確定診断につなげます。必要に応じて、病気の進行具合をチェックするために肝生検も実施。なお、非アルコール性脂肪性肝疾患と診断された場合、定期的な血液検査や画像検査を通して、経過を観察していくことが必要となります。

治療

医師や管理栄養士による生活習慣指導が中心となります。体重を減らすことが改善の鍵となる病気だからです。そのため、まずは非アルコール性脂肪肝を引き起こした生活や食習慣の乱れ、運動不足、睡眠不足などを見直していくことが大切。肥満の場合は標準体重をめざしたり、生活習慣病の場合は薬物治療も行ったりと、患者それぞれの状況に合った治療を進めていきます。

予防/治療後の注意

まずは、自分自身の肥満度を示すBMI(体重(kg)を身長(m)の2乗(身長×身長)で割った数値)と適正体重を知ることから始めましょう。BMIが25以上の場合、脂肪肝を防ぐために食生活を見直し、体重を減らすように心がけてください。ジュースや缶コーヒー、果物などの過剰摂取に注意し、青魚や緑黄色野菜、食物繊維を積極的に取るようにしましょう。適度な運動やウォーキング、ジョギング、筋肉トレーニングなどの運動療法も有用です。しかし、急激なダイエットなど無理は禁物。最終的に7%減量をめざし、毎月500g~1kgずつでも体重を落としていくと効果が期待できるため、根気強く減量を行っていきましょう。

東京慈恵会医科大学附属第三病院 消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

こちらの記事の監修医師

東京慈恵会医科大学附属第三病院

消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

1990年東京慈恵会医科大学卒業。2006年より同大学附属病院の消化器・肝臓内科医長に就任。2012年に同大学附属第三病院へ赴任した後、2018年消化器・肝臓内科の診療部長に就任。医学博士。日本消化器病学会消化器専門医。