全国のドクター9,008人の想いを取材
クリニック・病院 160,897件の情報を掲載(2021年5月14日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 疲れやすいの原因と考えられる病気一覧
  4. 甲状腺疾患
  1. TOP
  2. 口・喉の病気一覧
  3. 甲状腺疾患
108

こちらの記事の監修医師
隈病院
院長 宮内 昭 先生

こうじょうせんしっかん甲状腺疾患

概要

首の喉仏のすぐ下にある甲状腺は、体に不可欠な甲状腺ホルモンを分泌している臓器です。甲状腺の病気は、腫瘍(良性・悪性)と甲状腺機能の病気(甲状腺ホルモンの過剰や不足)に分けられます。甲状腺腫瘍については他の項で述べたので、ここでは甲状腺機能異常の病気について述べます。甲状腺ホルモンは、細胞の新陳代謝を盛んにする働きがあり、胎児や小児では成長や発達を促すといった働きがあります。甲状腺ホルモンが体内で多くなり過ぎると甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症と呼ばれる病気に、逆に不足すると甲状腺機能低下症と呼ばれる病気になります。甲状腺機能の異常を起こす原因によって、それぞれいくつかの病気に分類されますが、甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病、甲状腺機能低下症の代表的な病気が橋本病(慢性甲状腺炎)です。

原因

甲状腺ホルモンが過剰であり、ホルモン過剰の症状があるものを甲状腺中毒症といいます。甲状腺ホルモンが体内で過剰に産生され分泌されているのが甲状腺機能亢進症です。このような状態を来すものには、自己免疫疾患の一種であるバセドウ病、良性腫瘍であるプランマー病があり、まれですが甲状腺を刺激するホルモンを作る下垂体の腫瘍、妊娠初期に起きる甲状腺機能亢進症があります。甲状腺機能亢進症と一見よく似ていますが、甲状腺炎で組織が壊れて甲状腺ホルモンが漏れ出る場合(無痛性甲状腺炎と呼ばれます)や甲状腺ホルモンを含む食品の過剰摂取や甲状腺ホルモン剤の意図的、非意図的過剰摂取などは甲状腺中毒症の状態ですが、甲状腺ホルモンを過剰に産生しているわけではないので、甲状腺機能亢進症とは呼ばれません。一方、甲状腺機能低下症の原因は、慢性甲状腺炎(橋本病)、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、ヨウ素の過剰または欠乏、甲状腺摘出手術やアイソトープ療法などです。日本ではヨウ素欠乏はほとんど見られず、1912年に橋本策医師が初報告した橋本病が甲状腺機能低下の原因であることが多いとされています。しかし、橋本病になると全員が甲状腺機能低下を起こすとは限りません。この病気は免疫の異常により、リンパ球が自分の甲状腺組織を破壊して炎症を起こすことがわかっています。

症状

甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症では、甲状腺の腫れ、体重減少、疲労感、手の震え、動悸、息切れ、頻脈、暑がる、下痢、落ち着きがなくなるなどの症状が、一つだけではなく複数同時に出でてくることが特徴です。バセドウ病では、これらの症状に加えて、眼球が突出するなど、目やまぶたに症状が出ることがあります。甲状腺炎やヨウ素過剰摂取による甲状腺中毒症の症状は、時間の経過とともに収まることがほとんどです。一方、甲状腺機能低下症では、眠気、記憶障害、抑うつ、皮膚乾燥、脱毛、むくみ、声がれ、徐脈、体重増加、便秘、寒がりなどの症状が現れます。

検査・診断

甲状腺ホルモンの過不足が関係する甲状腺疾患の診断で、特に重要となる検査は血液検査と超音波検査、シンチグラフィーです。血液検査によって、甲状腺ホルモンとその分泌を促す甲状腺刺激ホルモンの値を測定することにより、おおよその診断をつけることができます。バセドウ病やプランマー病では甲状腺ホルモンの値が高く、甲状腺刺激ホルモンの値は低くなります。橋本病による甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの値は低く、甲状腺刺激ホルモンの値が高くなります。血液検査では腫瘍に関係する検査項目、バセドウ病や橋本病に関連する自己免疫の検査項目もあります。超音波検査では甲状腺の大きさ、甲状腺の血流の多寡や腫瘍の有無が調べられます。また、放射性ヨウ素やテクネシウムによる甲状腺摂取率とシンチグラフィーは甲状腺中毒症の鑑別診断、特にバセドウ病と無痛性甲状腺炎の区別、プランマー病の診断に有用です。

治療

代表的な甲状腺機能亢進症であるバセドウ病の治療では、抗甲状腺薬と呼ばれる薬を服用する治療が基本です。服用すると1~2ヵ月で甲状腺機能に変化が現れますが、ここでやめると再燃するので、2年程度は内服を継続し、服薬を中止することをめざして治療します。現在日本で使用できる薬は2種類ありますが、いずれも重大な副作用を起こすことがあるので、特に使用の初期には注意が必要です。服薬を中止できない場合は、さらに服薬を継続するか、放射性ヨウ素を用いたアイソトープ療法という治療もしくは外科的甲状腺切除術を受けるかを選択します。甲状腺が大きく、抗甲状腺薬で治療が難しい場合や抗甲状腺薬が副作用で使えない場合は、甲状腺摘出手術があります。良性腫瘍であるプランマー病では、甲状腺摘出手術かアイソトープ療法を行います。一方、橋本病や甲状腺摘出手術による甲状腺機能低下症には、人工的に合成した甲状腺ホルモン薬で補充する治療を行います。内服を続ければ健康な人と変わらない生活が送ることが望めます。薬を中止できるかどうかは状況によって変わります。

予防/治療後の注意

以前より甲状腺疾患の患者はヨウ素を含む海藻などの過剰摂取を避けるよう指導されてきました。ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料ですが、不思議なことに過剰摂取は甲状腺の機能低下を来すことが少なくありません。特殊な状況ではヨウ素の過剰は逆に甲状腺中毒症を来すこともあります。しかし、普通の食事であれば海藻類を制限する必要はありません。ポビドンヨード液で毎日うがいをする、民間療法の根昆布療法を行うなど、ヨウ素の大量摂取は避けましょう。また、バセドウ病の治療で用いる抗甲状腺薬は副作用をチェックしながら用量を増減する必要がありますから、定期的な受診を欠かさず、医師の指示どおりの服用を心がけてください。

108

こちらの記事の監修医師

隈病院

院長 宮内 昭 先生

1970年大阪大学医学部卒業後、同大学医学部第二外科へ入局。1979年には米国ウィスコンシン大学への留学を経験した。帰国後は香川医科大学第二外科講座の講師、助教授を務める。1998年隈病院の副院長となり、2001年より現職。2019年から国際内分泌外科学会(IAES)の会長に就き、内分泌領域の専門家として国際的に活動している。日本外科学会外科専門医。