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こちらの記事の監修医師
帝京大学医学部付属病院
メンタルヘルス科科長 林 直樹 先生

ぱーそなりてぃしょうがい パーソナリティ障害

概要

認知や感情、行動や対人関係のパターンが一般的な人とは著しく異なり、そこからさまざまな苦しみや社会活動の問題が生じている状態をいいます。パーソナリティ障害には10のタイプがありますが、そのタイプは症状の特徴に基づいて3つのグループに分類されます。それは、A群と呼ばれる妄想性パーソナリティ障害、統合失調質パーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害、B群に含まれる境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、C群と分類される依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害です。

原因

原因ははっきりとは明らかになっていませんが、発達期にあたる子どもの頃に苦しい体験やつらい体験をしたこと、子育てを受ける環境が不十分だったことや生物学的な特性が関係しているという研究があります。発見が遅れたり、適切な治療に結びつけられなかったりすることによって、患者本人の苦しみ、周りの人々への生活に悪影響が強まります。患者と周りの人々との関係がこじれると、余計に悩んだり他の人々を傷つけてしまったりする悪循環に陥ります。この状態では、日常生活を円満に送ることが困難になるため、うつ病や薬物依存、アルコール依存などの他の精神障害を発病する原因となることがしばしばあります。

症状

症状はパーソナリティ障害のタイプによって異なります。A群のタイプは奇妙で風変わりな行動を取るのが特徴で、例えば妄想性パーソナリティ障害の場合は、他人を疑ったり不審に思ったりして危害が加えられることや裏切りを恐れます。統合失調質パーソナリティ障害の人は非社交的で他人への関心が希薄です。B群のタイプは演技的・感情的で移り気な特性を持ち、その中でも境界性パーソナリティ障害の場合は、感情や対人関係が不安定であり、衝動をコントロールすることに困難を抱えています。また反社会性パーソナリティ障害の場合は、他人の権利を侵害したり、暴力行為に走ったりする行動を示すのが特徴です。C群タイプは不安で内向的な特性を持ち、中でも依存性パーソナリティ障害の場合は他人へ極端に依存し、助言や指示を求める行動が見られます。

検査・診断

特徴的な症状が長期間にわたって、さまざまな場面において確認され、他の精神障害や薬物使用などでそれが説明できないとパーソナリティ障害と診断されます。最初からパーソナリティ障害を疑って病院を受診する人は少なく、うつ病、不安、パニック発作、自傷行為、摂食障害、物質依存、対人トラブルなど他の症状がきっかけとなって受診するケースがほとんどです。さらに正確に診断するには、それぞれのタイプに応じた診断基準に一つ一つ当てはまるかどうかをチェックすることが必要になります。特に気分障害や不安障害など、類似する症状が出る疾患と鑑別するために慎重な判別が必要です。複数の特性が見られる場合は、いくつかのタイプのパーソナリティ障害が合併している可能性があります。

治療

患者と医師との間ではっきりとした治療目標を設定し、お互いに協力して治療に取り組むことが必要です。方法としては心理療法(対話療法)や薬物療法があり、心理療法では特徴的な認知・行動パターンを自分で認識し、気持ちを整理して対処法を練習するといった地道な努力を重ねていきます。薬物治療に関しては、抗精神病薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬、気分安定薬などが用いられます。タイプによっては、薬剤が合わないとかえって症状が悪化する危険もあるため注意が必要です。反社会性・境界性パーソナリティ障害など、一部のパーソナリティ障害に関しては、年齢とともに自然に軽快することがあります。強迫性や統合失調型などのパーソナリティ障害の場合は年齢とともに改善する傾向は明らかではありませんが、複数の治療法を組み合わせて使ったり、実際の生活経験の中でさまざまなことを学んだりすることで改善が期待できます。

予防/治療後の注意

以前は、パーソナリティ障害は改善に長い時間がかかるとされていましたが、現在では科学的に効果が確認された治療プログラムの開発が進められています。ただし、治療を受けるにあたっては、患者本人がしっかりと治療と向き合うことが必要条件となります。またパーソナリティ障害は対人関係において問題となるため、周囲の人々が過剰反応しない、温かい気持ちで接するなど、関わり方を工夫することによって本人の回復を促進し、周りの人々の負担を小さくすることができます。本人、周囲の人双方が傷つかないように、苦しみが強まったら無理をせず、専門家に相談しましょう。

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こちらの記事の監修医師

帝京大学医学部付属病院

メンタルヘルス科科長 林 直樹 先生

1980年東京大学医学部卒業。同大学医学部附属病院分院の神経科、東京都立松沢病院精神科、東京都精神医学総合研究所にて研鑽を究める。現在は帝京大学医学部精神神経科学講座で主任教授を務めながら、日本精神衛生会の理事としても活躍。精神医学を専門とし、中でも精神病理学と精神療法を研究テーマとする。主な著書には『パーソナリティ障害とむきあう』や『リストカット-自傷行為をのりこえる』などがある。