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日本医科大学付属病院 小川 令 先生

こちらの記事の監修医師
日本医科大学付属病院
小川 令 先生

あざあざ

概要

皮膚の一部が、周囲と異なる色だったり状態が違っていたりするものを一般的にあざという。色によって赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどと呼ばれる。転んだりぶつけたりしてできる内出血によるあざと、皮膚の良性腫瘍であるほくろ(母斑)や血管腫がほとんどだが、まれに皮膚がんもあざと間違えられることもあるため注意が必要である。赤あざは内出血のほか、血管が異常に増えたものである血管腫や、生まれつき血管の形態が異常な血管奇形がある。青あざは、皮膚の深い部分(真皮)の内出血のほか、真皮で発生する母斑である蒙古斑(もうこはん)や太田母斑(おおたぼはん)などがある。 茶あざは表皮のメラニン色素が増加した状態で、扁平母斑(へんぺいぼはん)やベッカー母斑などに分類される。黒あざの多くはほくろであり、大きさはさまざま。また、生まれつきのものと後天的なものとがある。なお大きなものや複数あるものでは、内臓の病変を伴う全身疾患の母斑症である場合がある。さらに、急に大きくなったものや血が出るものは、皮膚がんである可能性も考えられる。

原因

赤あざや青あざの中でも、転んだり、ぶつけたりといった打撲が原因で起こるあざ(内出血)は時間の経過とともに薄くなり、消えてなくなることが多い。ただし、皮膚の奥深くが損傷していたり、加齢や糖尿病などの合併症があったりすると消えにくくなることがある。一方、時間の経過で自然に消えることのないあざは、遺伝や皮膚の局所的な変化によるものである。内出血以外の青あざは、皮膚の深い部分で母斑細胞やメラニン色素が増殖したものである。茶あざは表皮上のメラニン色素の過度な増殖が原因。黒あざのうち、ほくろは皮膚の局所の異常が原因で、加齢でも増える。また大きくて生まれつきあるものは、脳や神経、眼、骨、心臓、腎臓などにも病変が見られ、知的障害や臓器の腫瘍、てんかん、脊椎側弯症などの症状を伴うことがあり母斑症という。この場合、遺伝子や染色体の異常が関係しているといわれる。

症状

皮膚の一部に色などの変化が現れる。ほとんどの場合は痛みがなく、美容的に問題がなかったり、将来的にがん化したりしなければ放置しても問題はない。ただし、生まれつきある大きい、また複数ある母斑の場合は母斑症である可能性があり、全身の検査が必要になる場合がある。赤あざのうちイチゴ状血管腫は、自然軽快する場合がほとんどだが、顔の目立つところにできたりした場合は内服薬を早期に使用することで合併症を予防できる可能性もある。また、黒あざだと思っていたものが実は皮膚がんで、悪性度の高い悪性黒色腫(メラノーマ)だったというケースもある。足裏や手掌にできた褐色・黒褐色のしみが濃く黒くなったものや、手足の爪の黒褐色の縦の筋が徐々に広がったもの、血が出るものは、悪性黒色腫の可能性があるため、早期な受診が必要。また、赤あざだと思っていても隆起してきたり血が出たりするものは有棘細胞癌という赤い皮膚がんである可能性もある。

検査・診断

痛みなどほかの症状を伴わない場合、あざを検査することはまれである。ほとんどの場合、目視や小型の拡大鏡(ダーモスコープ)によって皮膚の状態から良性であると診断される。しかし、大きかったり複数あったり、血が出るといった病変の場合、基底細胞がんや有棘細胞癌、また悪性黒色腫の可能性もあり、その部分を切除して顕微鏡で見る病理組織検査をする必要がある。また、局所だけでなく全身的な異常が疑われる場合や、神経線維腫症1型や結節性硬化症といった母斑症の可能性がある場合はCT検査やMRI検査を行い、脳や臓器になどほかの臓器・器官にどのような病変があるかを確認する。あざが悪性腫瘍であると診断された場合は、全身に転移していないかなどの検査目的でPET検査を行うことがある。

治療

自然に消えるイチゴ状血管腫や蒙古斑などの母斑、目立たない所にある小さなあざは基本的に治療する必要はない。自然に消えないあざで、脂腺母斑のように将来的にがん化する可能性があるものや、顔や首、腕など大きく目立って美容的に問題があるものには、手術やレーザーによる治療を行う。赤あざに対しては、血管の数を減らすことのできるレーザーによる治療、また切除する治療も行われる。黒あざはあざの部分を切除し縫合する手術を行う。手術は局所麻酔によって行われ、日帰りで済むことが多いが、小児などでは安全を考慮して全身麻酔で処置する。また、あざが広範囲にわたる場合は植皮術や皮弁手術をすることもある。一方、茶あざや青あざにはレーザー治療が有効である場合が多く、レーザーを数回照射して薄くしていく。一般的に赤あざや黒あざの切除手術、茶あざや青あざのレーザー治療には健康保険が適用になる場合が多いが、それ以外では自由診療となるので注意が必要。母斑症で脳や目、内臓などに病変がある場合は各症状を抑えるための対症療法を行う。

予防/治療後の注意

後天的なあざは、紫外線をできるだけ防いだり、保湿をこまめに行うといったスキンケアで予防できる可能性がある。治療後も同様にこれらのスキンケアを行う。またバランスの良い食事も肌のコンディションを整えるために必要である。

日本医科大学付属病院 小川 令 先生

こちらの記事の監修医師

日本医科大学付属病院

小川 令 先生

1999年日本医科大学卒業後、同大学形成外科学教室に入局。米国ハーバード大学留学を経て、2015年から現職。日本医科大学形成外科学教室主任教授。専門は熱傷・瘢痕・創傷治療。