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こちらの記事の監修医師
同愛記念病院
アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

はいけっかく肺結核

概要

肺や気管支に結核菌が感染することで起こる病気。かつては国民病とも呼ばれるほど感染者が多く、日本人が死亡する病気の1位でもあったが、治療薬が開発されたことで現在では完治が見込めるようになった。それでもまだ年間で2万人近くの発病者が見られる状態が続いている。結核菌は咳やくしゃみなどを介してうつるが、結核菌に感染しても発病しないことも多い。初期症状は風邪と似ているため、最初の段階では見逃されることもある。早いうちに治療を行えば重症化を避けられ、人へ感染させる危険も少ない。このため、早期発見・早期治療が重要なポイントとなる。

原因

結核菌は飛沫(ひまつ)感染するため、肺結核を発病した患者の咳やくしゃみを通して、人から人へ感染していく。ただし、結核菌に感染したからといって、必ずしも肺結核を発病するわけではない。たいていの場合は、体の免疫機能が働いて結核菌を抑え込むことができる。抑え込まれた結核菌は、活動を停止しそのまま体内にとどまった状態となる。感染するだけで発病していなければ、人に結核菌をうつすことはない。感染者のうちで発病する確率は、およそ1割から2割程度といわれている。発病する場合も、基本的には感染直後というより、数ヵ月から1、2年の時間が経ってからのことが多い。加齢など何らかの理由によって免疫機能が低下すると、冬眠状態だった結核菌が活動をはじめ、感染から数十年が経過していても発病することがある。なお、患者が使った食器などから感染することはない。

症状

主な症状としては、咳、たん、発熱、倦怠感、体重減少、寝汗などが見られる。初期は進行が遅く症状が軽いため、風邪と間違えられることもある。見分けるポイントとして、2週間以上咳が続く場合は、肺結核の疑いがあるので医療機関を受診したほうがよい。また、血が混じったたんも肺結核のサインとなる。病気が進行すると重症化して呼吸困難になったり、他の臓器にも病気が広がる可能性がある。症状が重篤になるのを防ぐとともに、周囲の人への感染を食い止めるためにも、なるべく早い段階で発病に気がつき、治療を開始することが望ましい。高齢者は自覚症状が乏しいケースもあるので注意が必要。

検査・診断

すでに肺結核の発病が疑われている場合は、胸部エックス線検査やCT検査を行い、結核菌の病巣が肺に見えるかどうかを調べる。また、たんを採取し、顕微鏡検査や培養試験で結核菌が含まれるかどうかの検査を実施する。結核菌に感染しているかどうかを調べるには、ツベルクリン検査や血液検査を行う。ツベルクリン検査では、結核菌に感染していれば注射した箇所が赤く腫れるが、BCG接種を受けた履歴がある人にも同様の反応が見られ、判断が難しい場合がある。このため、最近ではIGRAと呼ばれる、インターフェロンガンマを測定する血液検査を行うことが増えている。

治療

基本的には薬物治療を行う。患者の状態によって状況は異なるが、通常は数種類の抗結核薬を6ヵ月の間、毎日服用しなくてはならない。たんの検査で結核菌が含まれていることが判明した場合は、周囲の人にうつしてしまう可能性が高いため、結核病棟に入院した上で治療を行う。治療隔離入院勧告による入院治療であれば、国や自治体からの医療費補助の対象となる。入院中は、DOTSと呼ばれる直接服薬確認治療という方法が取られ、看護師など医療従事者の目の前で薬を飲むことが求められる。入院期間は1ヵ月から3ヵ月が目安だが、平均するとだいたい2ヵ月程度で退院できることが多い。ただし、退院後も通院治療を通じて薬の服用は続く。途中でやめると結核菌に薬が効かなくなってしまうことがあるので、医師の指示に従い、治療が終わるまでしっかり薬を飲み続けることが重要。

予防/治療後の注意

肺結核による重症化を予防するにはBCGのワクチン接種が有効とされ、現在では1歳までに受けることになっている。ただし、これはあくまでも結核菌への免疫をつくり、発病後に重篤な状況になることを防ぐもので、結核菌の感染そのものを予防するものではない。結核菌に感染したことがわかっていて、さまざまな状況から発病のリスクが高いと判断された場合は、化学予防という治療措置を取るケースがある。結核菌に感染することを予防するのは難しいが、定期的に健康診断を受けていれば早期発見につながり、感染の拡大や重症化を防ぐことができる。

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こちらの記事の監修医師

同愛記念病院

アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

1991年佐賀医科大学卒業。国立国際医療研究センター、東京大学、都立駒込病院、英国インペリアルカレッジ留学を経て2008年より現職。専門領域の講演・論文多数。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。