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こちらの記事の監修医師
中村 敬 院長

とうごうしっちょうしょう統合失調症

概要

幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などの症状を示す精神疾患。以前は「精神分裂病」と呼ばれていた。脳神経のネットワークがうまく働かず、脳内のさまざまな情報や刺激をまとめる(統合する)ことが難しくなる病気で、根本的な原因は不明だが、統合失調症になりやすい要因を持つ人が、生活する上での過度のストレスなどがきっかけとなり発症すると考えられている。病型は大きく3つに分けられており、意識低下や感情の平板化が中心で、思春期から青年期にかけて発病することが多い「破瓜(はか)型」、極度の緊張や奇妙な行動が特徴で青年期に発病する「緊張型」、幻覚や妄想が主体で30歳前後に発病することが多い「妄想型」がある。罹患率は100人に1人と高い。良好な予後を迎えるためには発症からなるべく早い段階で治療に結び付けることが鍵。

原因

はっきりとした原因は不明だが、一説によると脳の神経伝達物質のバランスが崩れて混乱することが関係しているといわれている。この他に遺伝、環境因子など、いくつかの要因が考えられるも、すべて可能性の域を出ない。原因は1つと決められず、いくつかの危険因子が重なることで発症すると考えられている。病気になりやすい脆弱性があるところにストレスの多い環境などが重なることで発症しやすくなるとも考えられている。

症状

健康な頃にはなかった状態が表れる陽性症状と、健康な頃にあったものが失われる陰性症状の2つに分けられる。陽性症状として代表的なのは幻覚や妄想で、中でも幻聴が多くみられる。突然興奮して叫ぶなどの症状も見られる。陰性症状として代表的なのは意欲の低下、感情表現が少なくなる、周囲に無関心になるなどといった症状がある。また、日常生活に困難をもたらす恐れのある認知機能障害も見られる。認知機能障害では、選択的注意(情報を選んでそれに注意を向ける)、比較照合(過去の記憶と比較する)、概念形成(物事を分類し概念化する)に対する能力が低下する。本人には病気の自覚がないことも多く、これらの症状により、気分や行動、人間関係などに良からぬ影響が出てしまう。

検査・診断

本人および家族へ、妄想や幻聴などの症状の有無や継続期間などの詳細な問診を行う。さらに、生育歴、既往歴、家族歴などについても聞き、それらを診断のベースにする。診断の基準としては、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-5」の2つが主に用いられている。また、統合失調症と症状の似ている病気が複数あるため、CT、MRI、血液検査などでこれらの病気との鑑別を行う。

治療

急性期、慢性期、症状が消失した後の維持期の3つの時期によって治療法が分かれる。急性期は抗精神病薬などを用い、症状を抑える薬物療法を行う。なお、緊急時は電気けいれん療法が行われることもある。慢性期は社会生活機能を回復させることを目標に、薬物療法に並行して心理社会的療法を行う。心理社会的な治療には心理教育や生活技能訓練、作業療法などがあり、個人の状態に応じ、病気の自己管理の方法を身につけ、社会生活機能のレベル低下を防ぐ訓練などを行う。適切な薬物療法と心理社会的療法を行うことで望ましい回復が得られるが、統合失調症は再発しやすく、薬物治療をやめて1~2年以内に50%以上が再発するという報告がある。そのため、再発予防のために維持期治療として服薬を長期間行うことが必要である。

予防/治療後の注意

発症時の症状はさまざまなので、発症してすぐ統合失調症と気づかれないこともあるが、発症からできるだけ早く診断し、治療することで良好な予後が期待できる。再発を繰り返すことが多いため、症状が治まったからといって、自己判断で薬の量を減らしたり中止したりすることは禁物。症状が出ないように薬物療法を続けながら、長期的に病気を管理していくことが大切になる。

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こちらの記事の監修医師

東京慈恵会医科大学附属第三病院

中村 敬 院長

人間心理に関心を持ち、大学は哲学科へ進んだが、より実践的な学問を求めて東京慈恵会医科大学へ入学。1982年に卒業し、同精神医学講座へ入局。同大学院修了。 現在は第三病院院長兼同精神神経科診療医長と、東京慈恵会医科大学精神神経科教授を務めている。