
こちらの記事の監修医師
東京都済生会向島病院
脳神経内科部長 大野 英樹 先生
てんかんてんかん
最終更新日:2022/01/06
概要
突然意識を失い、反応がなくなる、けいれんするなどの「てんかん発作」を繰り返し起こすこと。ふだん、人間が体を動かしたり、感じたりすることができるのは、脳の神経細胞の電気活動のおかげである。その脳の一部の神経細胞が、異常な電気活動を起こすことによって発作が起こり、基本的に症状は一過性のものである。原因不明な「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など何らかの疾患が原因の「症候性てんかん」に分けられる。乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があるが、特に小児と高齢者で発症率が高い。
原因
てんかんが発症する原因はさまざまで、発病の原因により「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分けられている。「特発性てんかん」は原因となる素因がなく、生まれ持った脳の性質によるてんかんである。「症候性てんかん」は、脳に何らかの障害が起きたり、脳が傷ついたことが原因で発症する。出生時に脳が傷ついてしまう、脳出血や脳梗塞、アルツハイマー病なども原因となる。
症状
発作はさまざまな起こり方があるが、主に全般発作(最初から一気に脳全体が興奮状態になるもの)と、部分発作(脳の一部から興奮が始まるもの)の2つに分けられ、全般発作の場合、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身をけいれんさせるなど、患者は周囲の状況がわからないような状態となる。一方、部分発作では意識がある場合もない場合もあり、目の前がチカチカする、手足がピクピク動くなど、患者自身が感じられる症状を示したり、体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、自分では気づかないまま手足や口をモグモグと動かす発作(自動症)などもある。
検査・診断
てんかん発作時の症状、持続時間、頻度などは診断のためにとても重要で、その詳細な問診から診察は始まる。小児の良性てんかんでは、発作時の症状など病歴の聴取だけで診断が可能なこともあるが、脳の異常な電気活動の有無を調べる脳波検査と、CT・MRIなど脳の形態的異常を調べる画像検査を行い、てんかんの診断と原因を確認する。また、血液検査や尿検査でてんかん発作を起こす原因疾患の有無を調べることもある。検査中に患者の意識がないこともあるため、携帯電話などで発作時の様子を録画しておくのも診断において非常に役立つ。
治療
主に抗てんかん薬による治療を行う。てんかんの症状は患者によって千差万別であるため、患者の症状を見つつ薬を変えながら、治療を行う。ひとつの薬だけでは発作が収まらない場合は、複数の薬を組み合わせて治療を行っていく。それぞれの薬には副作用もあるため、医師とよく相談して治療にあたる。抗てんかん薬はてんかん発作を起こさないように、大脳の過剰な電気的興奮を抑える働きを持ち、発作を起こす可能性のある間は、飲み続ける必要がある。いくつかの薬を試しても発作が抑制されないものを「難治てんかん」と呼び、ケトン食などを用いた食事療法や、脳の発作の起こる部位を切除する手術などを行う場合もある。また、医療機関における抗てんかん薬などによる治療以外にも、睡眠不足やストレスの多い環境を避けるといったことも、発作を起こりにくくするための重要なことといえる。
予防/治療後の注意
てんかん発作を再発させないためには、服薬を規則的に守り、中断しないことが重要だ。また医療機関で受ける治療以外にも、疲れすぎやストレス、睡眠不足、風邪などに気をつけるといった生活の工夫も大切である。てんかんの治療には、周囲の協力も大きな助けとなる。周囲にいる人たちがてんかんについて正しく理解し、どのような発作が起こるのかなどを知っておくことが望ましい。学校や職場の人の協力も仰ぎながら、周囲の人たちのサポート体制を整えてほしい。

こちらの記事の監修医師
脳神経内科部長 大野 英樹 先生
脳神経内科を専門分野とし、脳卒中診療のスペシャリストであるとともに、末梢神経疾患にも精通。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医。
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